見出し画像

『最近聴いてる音楽の話』 #8月

8月は正直もうフジロックとサマソニでいっぱいいっぱいで新譜を追う余裕なんてものは一切なかったので、ほとんど前からずっと聴いていたものの新譜ばかり。思えば8月も一瞬だったな…。毎月毎月あっという間過ぎて怖い。このペースだと明日にはクリスマスで明後日には正月、気付いたら老いぼれ。怖過ぎ。勘弁して。ということで日々自分にタスクを課しながら適当に生きないように踏ん張って参ります。もうすぐ夏が終わる気配は見えてきたけど、夏はやめる気あんのかな。


SONG


Official髭男dism "Chessboard"

■第90回NHK全国学校音楽コンクール中学校の部課題曲のために制作されたOfficial髭男dismの新曲、"Chessboard"。ヒゲダンは曲がリリースされるたびに楽しみで仕方ないアーティストの1人。ヒゲダンらしい空間の広いリバーブの効いたギターとピアノから始まり、壮大な展開を想像させる。Queenオマージュしたロックオペラ的な展開もあって、合唱曲というところをロックオペラに変換するアイデアが、彼らの音楽性の下地にある様々な影響を今回も感じてとても好き。途中のパートでマイケミの"Welcome to the Blackparade"みたいなフレーズのところがあって、みんなに言ってるけど誰にも伝わらない。
こんな曲を合唱コンクールで歌ったら泣いてしまうな。歌詞の意味に気が付くのはきっと10年、20年後かもしれないけど、ふと懐かしくて口ずさんだ時にポロッと記憶の中から溢れでた言葉たちに救われる日が来るかもしれない。それも含めて美しい歌だと思う。"その答えが待つ日まで 知らないままで息をする"


Fred again.. "adore u feat.Obongjayar"

■今年名前の挙がる機会のやたら多いプロデューサー、Fred again..がナイジェリア出身のシンガー、Obongjayarをフィーチャーした楽曲。爽やかな青空のアートワークが似合う、爽快で多幸感に溢れたハウスミュージック。少しずつトラックに音が足されていく高揚感と解放感が最高に気持ちいい。
そろそろFred again..の音楽の元で踊り倒したいものよ!


星野源 "生命体"

■星野源がいよいよ次の章へと走り出した。ここ数年はコロナ禍によるステイホームで、内側に篭ってベッドルームに寄り添う楽曲を作り続けてきた星野源がいよいよ外へ飛び出す楽曲"生命体"をリリースした。リズム・アンド・ブルースを前面に出した心からの躍動をテーマにした楽曲で、つい身体が動き出してしまう。また、リズム・アンド・ブルースでありつつそこにはSAKEROCK時代から裏テーマとして音楽性に潜んできた星野源の内側にあるパンクロックからの影響が大きく出ているような気がする。時代に対する笑顔のアンチテーゼ。"死ぬな 研ぎ澄ませ 行け 走れ"。今日も爽やかに地獄に中指を立てる星野源。俺たちの星野源だ。


XG "NEW DANCE"

■XGはすごい。タイミング的にNewJeansと比較されがちな存在だけど、全く分野が違うと思っている。K-POPじゃないとかそういう話ではなく、単純に向かってる先が違う。日本人7人で構成されたXGは、自らをK-POPでもJ-POPでもなくX-POPと呼び、これまでの枠に縛られないスタイルを求めていく姿勢が好きだなと思って、その部分にすごく共感している。でもそんな概要は正直どうでも良かったりする。
9月27日に発売される1stミニアルバム『NEW DNA』に収録される先行曲"NEW DANCE"。とにかくXGの曲は聴くだけですぐに分かってしまうのだけど、シンプルにかっこいい。その理由も歌っている内容もシンプルで潔い。"All of my ladies are fire"、XGはこのコンセプトを下地に持ちながらずっとここで誰にも似てない踊りを踊り続ける。超かっけえのだ。


ALBUM


Cory Wong / The Lucky One

Cory Wong / The Lucky One

■まさに最高である。今年のフジロック、フィールドオブヘブンでの最高の夜の記憶が新しいうちにリリースされたCory Wongのニューアルバム。Louis Coleをゲストに招いた先行曲"The Grid Generation"もすでにフジロックで披露されたが、その期待値を悠々と超えていくのだからCory Wongは最高。現代の最高のファンクバンドVulfpeckのギタリストにして、現代の三大ギタリストの一人であるCory Wongの音楽性とギターセンスがこれでもかと詰め込まれた最高のアルバム。特にBrasstracksをフィーチャーした"Flamingo"なんて感涙ものです。好きと好きが掛け合わされて、その良さが倍以上になった時はもう誰に感謝したらいいのか分からなくなって最終的に自分自身に感謝してしまう。こんなに最高な音楽を好きな自分、ありがとな!


Sea Lemon / Stop at Nothing

Sea Lemon / Stop at Nothing

■米シアトルを拠点とするミュージシャン、Natalie Lewのソロ・プロジェクトであるSea Lemon。ただ音楽を聴くのが好きで、時々趣味でギターを弾く程度だった彼女がコロナのパンデミック中に曲を書き始め、2022年に『Close Up』というEPをリリースしたことで突然音楽の道が開かれた。今ではHatchieのツアーに参加したり、今作にはDay Waveが参加している。ひょんなことから思わぬ方向に出来事が向かうことはある。やりたいと思った瞬間が何かを始めるタイミングなのだ。そんなことを思いながら新作『Stop at Nothing』の曲を聴いていると、ドリーミーでエバーグリーンなメロディと相まってグッときてしまう。みんな好きなやつね。


Manic Sheep / Morning Fragment

Manic Sheep / Morning Fragment

■台湾インディーロックシーンを切り開いてきたバンド、Manic Sheepがようやく再始動! 今年待望の来日公演、そして4年ぶりの新曲のリリースと完全に動き出したManic SheepのEP『Morning Fragment』。これまでのノイズポップな面よりも、よりダークな面が色濃く出ていて4曲目の"Tawdry Clip"は浮遊感のある音像が美しく際立っている。前作よりもずっと台湾を代表するシューゲイザーバンドとしての貫禄が出てきているような気がする。おそらく現在製作されているであろうアルバムがますます楽しみになってくる。


Willie J Healey / Bunny

Willie J Healey / Bunny

■これまで何度かWillie J Healeyの曲は取り上げてきたし、収録された"Tiger Woods"は昨年のベストソングでも選んだ。そんな待望のアルバム『Bunny』がようやく出た! モフモフの大きな犬のような人懐っこさを感じるアルバムだ。全部のモフモフの大きな犬が人懐っこいとは限らないけど。初めて聴いた時からずっとそばにいたような親近感すら覚える。温かくて、人が作った手触りのある音楽が好きです。夏の終わりにもぴったりかと。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?