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2022年読書評12 金田一耕助と赤川次郎、星新一

「新説 金田一耕助」
横溝正史。エッセー。
今回は小説ではなくエッセーを取り上げてみました。
最近読みたい本がないので、段ボールに仕舞ってある本を漁って、仕舞った後、箱に入れ忘れた本が1冊。それがこれで、それじゃ読んでみようと読んだわけです。

大昔読んだときは面白かったです。現在までの間、なぜか読み返そうとは思いませんでしたが、今読んでみるとやはり面白かったです。

ただ、横溝正史や金田一耕助、推理小説に興味がないと面白くないかも知れません。

イラストは和田誠が書いています。

私自身は横溝正史をいくつも読みました。10くらい、20はなかったと思います。子供の頃、八つ墓村から読み始めました。
悪魔の手毬唄はあまり面白くなかったと記憶しますが、現在ではお勧めミステリでこれが取り上げらられたりしています。

そして最近になって、人形佐七の短編集の1つを読んでみました。
佐七は特別なキャラクターではなく普通の捕物帳だと感じました。でも読みやすかったので、他のものも読んでみたいのですが、現在では佐七全集は出ていないらしく、手に入れやすいものを出版して欲しいものです。
(調べてみたら全集が出ていました~全180篇の完全本。しかしお高いし、手に取ってみましたが読む前に食傷気味。文庫で10篇程度の読みやすいものにすべき)

その他、最近読み返したのは「夜の黒豹」「夜歩く」「幻の女」などです。
どれも別に面白いということはありませんでした。「白と黒」は途中挫折。

~金田一のキャラクターは良いです。ポアロもそうですが、クリスティの本も私はあまり面白いと思いません。しかしポアロのキャラがいいのです。

ここにクリスティと横溝正史の共通点があります。トリック重視の作品であると。私はそれがおそらく気に入らないのだと思います。
横溝さんは小説を書く時、まずトリックからだと言っていますから。

彼はクリスティに傾注していて
「獄門島」などは「そして誰もいなくなった」からヒントを得ているそう。なるほど、孤島の話ですからね。

金田一耕助はそれにしても日本を代表する探偵になりました。
愛される理由はやはりキャラクターにあるのだと思います。

「僕らの課外授業」
赤川次郎の児童もの。

中学生の主人公、東京駅で迷い、人気のない階段を下るとそこに美しい少女と遭遇する。しかし少女が去った後、跡を追うが彼女は曲がり角で消えてしまう。残ったのは定期入れ。彼はその住所を元に少女の家を訪ねるが意外なことに少女は既に亡くなっているという。
それを同級生の女子に話すと好奇心旺盛な彼女は一緒に謎を解くと言い出す。

タイトルだけで内容を知らずに読み始めたのですが、どうやら少年少女ものの本らしいです。
そういう意味では読みやすいものでした。

議事堂のある霞が関の地下鉄の駅はなぜ深くに作られているかというと、いざという時の核シェルターにするためという噂が昔ありましたが、この本は1981年作。単なる噂ではなく実際に政府はそんな風な対策を取っていることでしょう。

そして物語は、事故で死んだはずの人を治療し、表面上は死んだことにして生き残ったその人を核シェルターの住人にしようとする政府のたくらみだ、
という話になります。

この辺は、核戦争とか、核とか、政府が隠したい問題なのかも知れないと思いましたが、実際、政府はそのような問題から国民の目を逸らしたいということもあるかも知れないと思いました。

ですからこのような本もあまり普及して欲しくないでしょうし、逆に言えば一般の人に広まると面白いという映画や小説は多々あります。

「ゼイリブ」などは庶民が洗脳され、国の都合の良いように動かされていると暗に語るものですが、
あるいは頭の悪い一般人には伝わらないかも知れないとも私は思うのです。

「なりそこない王子」
星新一。再読。

これを選んだのはショートショートではなく、短編と言っていい長さがあったから。ある程度長さがないと面白くないと感じたのです。ショートショートは昔は楽しみましたが、今だとせわしなくて面白く感じません。
本編は12の短編から成っています。
そして特に「ミドンさん」を読み返したかったからです。これはずっと印象に残っていて、当時おもしろいと感じたのではないのですが、不条理小説として印象に残っていたのです。

結論から言うと、全体として作りは良くできていますが、小説としてはあまり魅力はないかなと感じました。
私のベストは「きまぐれロボット」と「どこかの事件」です。

そして私のモットーとして高学歴に優れた作家はいない、で、星新一もそう。
小説は読んでいて楽しいものであるべきですが、「やれやれ、なんとか読み終えよう」と思うのは優れた小説ではないということでしょう。
これもそうでした。








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