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②初めての抜糸体験

手術から2週間、今日が抜糸の日だ。

ポール先生と女性のポニーテールの看護師さんが待っててくれた。

わたしが来る日は、ポール先生は気を使っているようで、いつも必ず誰か女性を部屋に同伴させる。


手術も初めてだったので、抜糸も今回が初めて。

ボール先生は、ピンセットとハサミを使って、端から慎重にひとつひとつの糸を抜いていく。

想像していたよりも、痛みを感じない。意外と簡単はものなんだ。

抜糸後も、縫合跡を分厚いガーゼで圧迫して厳重に上からテープをはる。その上から包帯で胸をグルグル巻にする。

「もう1週間、こうしてほしい」とポール先生は強調する。

(わたし)シャワーは入っていいですか?

「いいよ」


ポール先生、また前回のつづきのホットな話題を話し始める。

「どうするか決めたかい?」

(わたし)キモセラピアは受けたくないです。

「えっ、検査結果はちゃんと読んだの?」

(わたし)はい!理解しています。

「ぼくは君のことが、本当に心配なんだよ。なぜすぐに治療をはじめないんだ。日本でもメキシコでもどこでもいいから」


ポール先生は頑固なわたしに呆れ返る。

よっぽどの面倒くさがり屋なんだろうと想像したのか、画期的な提案をした。

「すぐ上の階に腫瘍専門のドクターフランコがいる。彼に会いに行くといい。紹介状を書くから」

上の階なので、断る理由が見つからない。その提案は受けることにした。

(わたし)ところで、ポール先生次のアポはいつですか?

「一ヶ月後でいいよ。日本に帰るなら、来なくてもいいからね〜」

ポール先生は、わたしが日本に帰って治療を受けることを期待しているようだ。

病理検査の結果が出てから、いろいろと自分で調べてみた。

医師が書いた化学療法の体験記、一般の方が書いた代替医療も含めた体験記、現役医師が書いた化学療法に対する否定的な本などを手当たりしだいに読む。 

ユーチューブにある国立がん研究センターや米国のがん患者サポートサイトもチェックした。

この十日間くらいで自分の病気について、理解がすすんだはずなので、腫瘍専門のドクターフランコの話しを聞いて、自分の理解度をチェックするのに良い機会かもしれない。

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