【掛け合い】助手のコーヒーと教授とマンション【台本】

教授「君は助手だな?」

助手「なんですか急に」

教授「そうだろう」

助手「そうですが」

教授「では何故いつも私がコーヒーを淹れるんだ? 」

助手「先生がコーヒーを飲むからです」

教授「しかし君の分まで私が淹れるのは何故だね。自分のコーヒーは自分で用意しなさい」

助手「私は先生にコーヒーを淹れてくださいと頼んだ事はありません。たまたま先生がコーヒーを淹れようとしていた時に、私も、と呟いただけです」

教授「それが頼んでいるんじゃないのか?」

助手「一言もコーヒーとは言っていませんが」

教授「言ってなくても そんな風に呟かれたらコーヒーを頼まれたと思うでしょうが」

助手「では先生。たまたま先生がマンションを買っている場面に居合わせた場合、私もと呟けば、私にもマンションを買ってくださるんですか?」

教授「そんなわけないだろ」

助手「では、ナゼ私のコーヒーを淹れたのですか?」

教授「コーヒーとマンションは違うだろう。一緒にするんじゃない」

助手「コーヒーとマンションの違いとはなんですか?」

教授「コーヒーとマンションなんて比べるまでもないだろ。君はマンションを飲むのかね」

助手「マンションは飲み物じゃありません」

教授「叩くぞ」

助手「失礼。今のは冗談です。私が聞きたいのは、マンションは買ってくださらないのにコーヒーは淹れるという先生の中に、ココまではしてやってもよいという線引きがあるのかということです」

教授「コーヒーを淹れるのはタダだろう」

助手「豆代水道代ガス代カップソーサー代……」

教授「言い直そう。マンションのほうが、明らかに高くつくからだ」

助手「ではマンションとPS5だとどうなりますか」

教授「君の言っていることが全く理解出来んのだが、どうしたことだ」

助手「PS5がマンションよりも安いことは明らかですが、買ってくださらないのですか」

教授「そもそもなぜ私が君のPS5を買ってやらにゃいかんのだ!」

助手「……欲しいです」

教授「ダメだ!」

助手「私にPS5を買うか、毎日私にコーヒーを淹れるか。どちらか選ぶとしたら、先生はどちらを選びますか」

教授「そりゃあコーヒーを淹れるほうを選ぶに決まっている」

助手「私にPS5を買うくらいなら、毎日私にコーヒーを淹れるほうがいいということですか」

教授「そうだ」

助手「それは私にPS5を買わないで済むのなら、毎日私にコーヒーを淹れたいということですね?」

教授「そ・う・だ! 何度も同じ事を言うなっ」

助手「では今のままでいいじゃないですか。一体なにが不満なんです?」

教授「よく動く その口だよ」



(原題「助手と教授」2010/12/10 公開)


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