見出し画像

スペースコブラ最終兵器TRPGを回数やってみてわかったこと。

 タイトル通りですが、1983年(82年という説もある)発売の、おそらく(ドンキーコマンドを除けば)日本初の商業TRPG、バンダイから発売された「スペースコブラ最終兵器TRPG」のお話です。

 筆者は最近、このゲームの付属シナリオを何度も回しています。
 回すたびに違う展開になる、
子供向けに調整してあるところが素晴らしい、
能力値の割り振りがたまらない、
戦闘の選択肢が戦術レベルである等、魅力が色々あるので、これはちょっと見かけたら買いだぞ、と思いレポートにしてみることにしました。

 そもそもホビージャパン発売のRPGオールカタログで、入手難易度1(ほぼ手に入らない)ゲームと紹介されていましたが、近年は中古市場が活発化しておりますので、難易度は高いものの、手に入れる機会は0ではないと思います。

 内容物(コンポーネント)はイラスト綺麗なマップブック、アドベンチャーシナリオブック、ゲームプレイングマニュアル、チットトレイ、打ち抜き式チット、キャラクターカードがたくさんです。

 コンポーネントはどれも練り込まれております。

 ゲームプレイングマニュアルは薄いながらも、「ゲームマスターとは」の欄が二箇所もあり、購入者がマスターをするときの心構えが書いております。このゲームにはゲームマスターの権力に難易度が設定されており、不慣れなマスターはE級、慣れたマスターはA級とされていますが、

 特筆すべきは、下から2番目のD級でも、「あらかじめ決められた回数だけ、ダイスの目を変更することができる」と、表記されていること。ここのダイス目変更は「プレイヤーが危ないと思った時に使って欲しい(意訳)」という説明がついています。

 楽しくならないのならダイス目なんでいじってよし、というシナリオ運営方法。制作者側の意図が透けて見えます。自分のキャラが死んだ時、恨みがましい目で睨まれるのを防ぐシステム。素晴らしい。

 戦闘バランスも、基本は格闘、ピストル、レーザーガン、サイコガンですが、一つ一つに特色があります。
格闘を挑まれた相手は格闘でしか返せないというルールがあり、これによって戦術の幅が広がります。
ピストルは一度攻撃に使ったら次はリロードしないと使えない。
レーザーガンは命中も高く使いやすいのですが、クリスタルボーイには効きません。
コブラのサイコガンは正体がバレる可能性が付きまといます。その代わり高い命中率を誇ります。

 能力値は移動力、探知力、カリスマの三つですね。1d6を振って能力値以下を出せば成功。結構ドキドキします。

 アドベンチャーシナリオブックはゲームブック形式のシナリオが載っております。これもゲームブック形式となると「14番にいけ」という無慈悲な選択肢があるのかと身構える人もいるかもしれません。

 安心してください、ほとんどそんな選択肢はありません。あまりにも愚かな選択肢を選ぶと事故りますが、マスターから助言すれば回避できるものがほとんどです。

 どの選択肢も、「かっこいい演出のやり方」程度であり、どの選択肢が正解かと悩む形のシナリオではないです。ゲームブック表記にしているのは分かりやすさ優先でしょうね。本当にこのゲーム作った人は頭がいいわ。

加えて、選択肢の豊富さにも触れておきます。シナリオにランダム要素がふんだんに入っているため、似たような展開にならないのがすごいところ。一度参加した人が2度3度と遊べる仕様って凄いですよね。

 マップブック、よく出来てます。射程の概念がありますので、立ち位置には気を配ります。何より絵が綺麗で雰囲気があります。

 チットも台座が付属しており、この台座が良い仕事をしております。平置きでもゲームができるのに、台座付きなのがありがたい。

 1990年代に周囲でオマージュ作品を軽視する風潮がありましたが、日本のTRPGはここから始まったとすると、オマージュ作品はむしろ原点なんですよね。この後も、クラッシャージョウ、スタートレック、WARPS、ウィッチクエストと続き、原作付きTRPGとして女神転生、マギウス、リプレイによる世界観補完の流れ、があると思っております。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?