岡田遥平 | Yohei Okada(救急医)

救急医/救急医学の研究者です。救命センターでの臨床、京都大学大学院を経てシンガポール大…

岡田遥平 | Yohei Okada(救急医)

救急医/救急医学の研究者です。救命センターでの臨床、京都大学大学院を経てシンガポール大学のDukeNUS medical schoolでポスドク研究員をしています。 Twitter:@OkadaYohei 救急、蘇生、外傷 救急専門医、集中治療専門医、外科専門医

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noteをはじめる。

noteをはじめる。いつまでつづくかわからないけど、自分の研究や論文の紹介をしたり、興味を持った論文や研究の備忘録として書いてみる。 研究は医学や医療における臨床疑問を解決し、より良い医療を提供するために行われる。 しかしその研究結果のほとんどは英語で、英語を読む習慣のない人にとってはハードルが高い。 僕も日本人だし、英語を読むのはもちろん日本語より得意なわけじゃないので、できれば日本語で読みたい。 日本語で論文の内容が紹介されていたら、そっちを見てしまう気がする。 ま

    • シンガポールで研究者をするまで~海外での研究への道のり~

      はじめに2022年10月から国立シンガポール大学のDuke-NUS Medical schoolのPost-doctoral research fellow(博士研究員)としての生活をはじめました。この記事では海外の研究に向けた準備と経緯について書こうと思います。これから海外で研究したいなと思っている人の参考になれば幸いです。 なんとなく海外憧れ期大学院に入るまで 大学6回生(医学部は6年制)の時に初めて一人でニューヨークに1週間海外旅行に行きました。海外が好きになり比較

      • シンガポール渡航~家探し編~

        はじめに2022年9月にシンガポールに移住しました。2年間、国立シンガポール大学のDuke-NUS medical schoolのHealth Services and Systems Researchというところで博士研究員として研究に従事します(研究留学)。 ここではシンガポールに渡航し生活をセットアップするまでのことについて書こうと思います。 特に ・家を決める、引っ越し ・銀行や保険 ・子供のこと、家族が妊娠している場合 などについて備忘録と次に同じような経験をす

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        • シンガポール渡航準備~Work Pass編~

          はじめに 2022年9月にシンガポールに移住しました。2年間、国立シンガポール大学のDuke-NUS medical schoolのHealth Services and Systems Researchというところで博士研究員として研究に従事します(研究留学)。 留学に至った経緯や研究内容についてはおいおいに記載するとして、ここではシンガポールに渡航し生活をセットアップするまでのことについて書こうと思います。企業の駐在員の方は、多くの場合、会社の人事部門が手配してくれるの

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        • 症例報告の書き方!
          3本
        • 臨床医から大学院へ
          6本
        • 救急に関する研究、論文紹介
          4本
        • 予測に関する臨床研究のまとめ
          5本
        • 院外心停止、蘇生に関する研究の紹介
          3本

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          ECPRの予後を年齢、初期波形、搬送時間でまとめてみた。

          ECPRとは?その実施基準は?ECPR(Extracorporeal cardiopulmonary resuscitation)は膜型人工肺(ECMO)を用いた蘇生で、通常の心肺蘇生で自己心拍が認められないときに用いられます。しかし、侵襲的で医療資源を必要とするため、誰に行うべきか、その基準はまだ確立されていません。 SAVE-J研究という日本発の研究で「75歳未満、初期波形がショック適応、病院搬送まで救急覚知から45分」という三つの基準が参考にされていることが臨床上多い

          ECPRの予後を年齢、初期波形、搬送時間でまとめてみた。

          産後出血のShock Indexは有用か?

          産後出血を予測することの意義産後出血の対応にはたくさんの人と物が必要 出産後に出血が止まらずにショック状態となったとき救急医が産婦人科医の診療の応援をすることがあります。救急医は大量の輸血を含む全身の管理や止血のサポートを行います。 件数は多くないですが、こうした産後の危機的な出血が起きた場合には産婦人科医のみならず複数の部署、診療科をまたぐ対応が必要になります。救急科や麻酔科など全身管理を行う人、大量の輸血の準備、止血処置(塞栓術や手術)を行う人間も場所(カテーテル室や

          産後出血のShock Indexは有用か?

          外科的気道確保の時に注意すべきこと

          この記事では、救急医として必須の手技である外科的気道確保(特に輪状甲状靭帯切開)の手技における注意点について解説します。 外科的気道確保(eFONA)とは?外科的気道確保とは、読んで字の如く「外科的に気道を確保する」方法、手技です。輪状甲状靭帯穿刺、切開、緊急の気管切開などを指しています。 英語ではeFONA(Emergency Front Of Neck Access airway)とも呼ばれます。 この手技は、直ちに気道確保が必要である(例えば異物による気道閉塞でSp

          外科的気道確保の時に注意すべきこと

          大学院に入ったらやるべき10のこと

          もうすぐ大学院も卒業です。この4年間の大学院生活を振り返って、臨床医が大学院に入って臨床研究を実施するのにあたって、研究のこと以外でやるべきことについて書いてみます。 1. いいパソコンを買う臨床医の生活だとあまりパソコンを使うことはないかと思います。少なくとも一日中パソコンに向かうのは、学会前に慌ててスライドを作るとか、抄録作成の時くらいではないでしょうか。 しかし大学院生の生活のほとんどはパソコンと向き合うことです。授業の課題もパソコンでの作業必須、Google do

          大学院に入ったらやるべき10のこと

          一番わかりやすいROC曲線とAUCとC統計量

          はじめに 「この検査値で生存と死亡のROC曲線を描くとAUCは0.89でした」みたいな説明を一度は学会で聞いたことがあるかと思います。しかし、実際その数字を聞いて、その検査値がどの程度患者のアウトカムを識別できているのかイメージできる臨床医はあまりいないのでは無いかと思います。 臨床研究、特に予測モデルの研究の論文を読むと頻出する、ROC曲線とAUC、C統計量という項目について解説し、これらがどのような特性を表しているのか解説したいと思います。 ROC曲線のAUCは検査の

          一番わかりやすいROC曲線とAUCとC統計量

          症例報告の書き方!(3)考察

          症例報告論文を書いてみたい!そんな人の参考になるように、自分が論文を書いたり査読してきた経験をまとめて重要だと思う点について解説します。 テーマは決まりましたか? 症例報告のテーマが決まれば、論文作成にむけて準備をしていきます。テーマについては、前回の記事「症例報告の書き方!(1)テーマの選び方」も併せて読んでいただければ幸いです。 背景と結語は書けましたか? テーマに沿って、「背景、症例提示、結語」の部分は書けましたでしょうか?「背景、症例提示、結語」の部分は前回の記事

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          症例報告の書き方!(3)考察

          症例報告の書き方!(2)執筆にむけて

          症例報告論文を書いてみたい! そんな人の参考になるように、自分が論文を書いたり査読してきた経験をまとめて重要だと思う点について解説します。 テーマは決まりましたか? 症例報告のテーマが決まれば、論文作成にむけて準備をしていきます。テーマについては、前回の記事「症例報告の書き方!(1)テーマの選び方」も併せて読んでいただければ幸いです。 今回の記事では論文執筆の重要ポイントについて説明します。 (以下、100円ですが、有料にしました。有料の方が気合をいれて記事を書こうとい

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          症例報告の書き方!(2)執筆にむけて

          臨床医から大学院へ6: 研究テーマ続

          救急医である自分が大学院生活を振り返っていきます。大学院進学を考えている臨床医の参考になればと思います。 この記事では自分の大学院生活における「臨床研究のテーマの決め方」について前回に続いて紹介します。 参考)前回の記事: 前回の記事で、大学院に入って研究テーマを考える上で臨床研究の初心者がデータあつめることの難しさについて書きました。もう少し研究テーマについて書きます。 本命と保険と練習臨床医が4年間の大学院生活で無事に論文を出版し卒業し、学位を取得するために、研究

          臨床医から大学院へ6: 研究テーマ続

          臨床医から大学院へ5:研究テーマどうする

          救急医である自分が大学院生活を振り返っていきます。大学院進学を考えている臨床医の参考になればと思います。 この記事では自分の大学院生活における「臨床研究のテーマの決め方」について紹介します。 参考)前回までの記事: 臨床研究のテーマどうやって決めるか?大学院に入学すると指導教官からまず初めに聞かれるのはこれです。 「君の大学院の研究テーマ何にする?」 博士課程では学位を取得するためのメインの研究を計画、準備しないといけません。研究テーマについては、指導教官からテーマ

          臨床医から大学院へ5:研究テーマどうする

          症例報告の書き方! (1)テーマの選び方

          症例報告論文を書いてみたい! という若手医師や医療従事者の方、実は結構いるのではないかと思います。症例報告論文は、症例の経過を要約記述し臨床的に意義のある経験を共有するための論文です。医師やその他の医療従事者の学術活動の第一歩になることが多いと思われます。 一方で、「職場の上司が論文執筆の経験が豊富で症例報告論文の書き方を丁寧に指導してくれる」というような先生はそんなにいない、のではないかと思います。自分も最初の一本目の症例報告論文を書いたときは、どのように書けばいいかわ

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          症例報告の書き方! (1)テーマの選び方

          心不全の長期予後の予測スコア

          この記事は以下の論文の紹介をしています。 Takabayashi, K., Okada, Y., Iwatsu, K., Ikeda, T., Fujita, R., Takenaka, H., Kitamura, T., Kitaguchi, S., and Nohara, R. A clinical score to predict mortality in patients after acute heart failure from Japanese regist

          心不全の長期予後の予測スコア

          臨床医から大学院へ4:研究の時間

          前回のつづきで、救急医である自分が大学院生活を振り返っていきます。大学院進学を考えている臨床医の参考になればと思います。 前回までの記事: 臨床医から大学院へ1 臨床医から大学院へ2:学位とは? 臨床医から大学院へ3:MCRコース この記事では自分の大学院生活における時間の確保について紹介します。 時間をいかにして確保するか?大学院生活、研究生活をする上で「時間」を確保することは非常に重要だと思います。先日、大学院の同期に研究成果出すために必要なものについて、アン

          臨床医から大学院へ4:研究の時間