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生徒あるある②  「ニトリ」??

私は高校の英語教員として25年間勤め、今年の3月に定年退職をしました。4月からは、非常勤講師として引き続き教壇に立っています。現在勤めている高校は、高校入試の倍率も高い人気校です。生徒たちは行事にも授業にも積極的に臨んでおり、活気に満ちた学校で授業をしていてもとても楽しい。

普段授業では、教科書の英文を一人一人指名して読ませることはしていません。効率が悪いと思っているからです。それよりも、ペアやグループでの音読に時間を割いています。音読方法はいくつもあり、やり方を変えて何度も読ませるので、寝る暇もおしゃべりする暇もなく、気づいたら10分くらいで最低6回は読んでいたという活動をしています。

ただ、その日はどういうわけか、私は一人ずつ読んでもらうという個人的には好まないやり方をしました。そして、ある生徒が一文を読んだ時に???となり、英文を見直しました。彼女は「Supermarkets want a variety of beautiful vegetables displayed neatly.」という文章を読んでくれました。特に問題なく終わるはずでしたが、最後の単語がどうしても浮かんでこず、私は本文を見返したわけです。彼女はneatlyをニトリと発音していました。明らかに、日本語のニトリです。私は、状況がわかり、思わず満面の笑みを浮かべて“ありがとう、めちゃくちゃ大きな気づきがあったわ”と彼女にお礼をいいました。本人も周りもなぜ私が喜んだのかすぐには合点がいかない様子です。「ニトリとneatlyが似た音だと今気づかせてもらって、とっても勉強になったから」、と言いましたが、それでも皆きょとん、です。その後、発音の訂正をし、なぜ「ニトリ」というふうに聞こえたのか説明して理解してもらえました。

さて、この生徒はなぜneatlyの音をニトリと発音したのでしょう?

理由は大きく分けて2つです。(ここでは英語の母音、子音の発音についての詳細は省きます)日本語は”ん”以外の音全てに母音が存在していることをふまえて、以下を読んでください。

1つめはneatlyのneaは“ニー”と長母音になりますが、彼女はそれを短く発音していました。

2つめはneatのtに母音のオは存在しません。あえてカタカナで表記するなら“トゥ”です。それを彼女ははっきりと「ト」と発音したわけです。

ちょっとした発音の違いで全く意味が通じなくなるということは、こういうこと
か、と体感したわけです。当たり前ですが発音はとても大事、母音、子音の発音を初期の段階で徹底してやるべきです。高校生は中学時代に発音については授業で学んでいるはずですが、発音に時間を割いているゆとりはないかと思います。どうしても発音練習は各自の努力に任されるところが大きいため、生徒間での発音の差が出ています。そうは言っても、私も授業で発音を体系的に教える時間のゆとりがなく、音読の際に特に注意してほしい箇所を説明して練習するくらいです。母音、子音の区別、音声変化について時間をとって教えようと思った出来事でした。


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