見出し画像

日記の効用

何をやっても三日坊主の私が唯一続いている記録がある。
個人的な日記のようなメモだ。
スマホで日付と思ったことをちゃちゃっと書くだけ。
もう2年くらい続いている。

何となく過ごしていて、ある日気づいた。去年の今日は何をしていたんだろうか。
びっくりするほど何も思い出せない。
何か残しておかないと、今日一日が何もなかったことになってしまう。それがとても怖いと思った。

その日から日記を書くことにした。天気と食べたものしか書いていない日も結構あるけれど、日記を書くようになると毎日の流れを意識するようになった。
日が長くなった。満月だ。梅が咲いた。
そんな小さなことに喜べるようになった。感覚が前より繊細になったのかもしれない。

日記はその日の出来事や自分の感情が、文字になって氷漬けにされているみたいだと、ふと思った。ときどき読み返せば、書いた当時の感情がほどけて過去の自分の匂いのようなものが立ちのぼってくる。
自分はあまり過去を振り返らない性格だけれど、ふとした瞬間、自分は何をしているのだろうという気持ちに陥る。
そんなとき、過去の日記を読み返せば記憶の断片が鮮やかに蘇る。
それを味わいたくて日記を続けているのかもしれない。

落ち込んだり迷ったりしたときに、自分で綴った言葉を読んでいると自然と落ち着いて前向きに考えることができたりもする。過去と今はひとつづき、それなら未来もひとつづき。自分の心の持ちようでどうにかできる気がしてくるのだ。

苦くて、甘くて、苦くて、甘くて。
過去の自分がミルフィーユみたいに何層にも重なって今の自分ができているんだって、日記を書いていたから気づけた。
これからも、未来の自分のために今の足跡を残しておいてあげようと思う。

1日ひと言であとあとじんわり効いてくる。
私にとって日記は書く薬のようなものだ。



この記事が参加している募集

スキしてみて

眠れない夜に

よろしければサポートおねがいします!いただいたサポートは次のnoteを書くための活動費にします!