見出し画像

「目的」と「目標」 - KPIは笑顔を生むのか-

日々の業務を遂行している中、皆さまは"この会社の目的は何か?"、"このプロジェクトの目的はなんだったか?"、とふと考えることはありませんか?

かのアルベルト・アインシュタインが"手段は全て揃っているが、目的は混乱しているのが現代の特長のようだ"という言葉を残していますが、コロナ禍で生活習慣や時間の流れ、環境も変化することによって仕事や人間関係を考え直す機会になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「我々は何の為に生きているのか」
「企業組織は何の為に存在するのか」

自分の存在意義とか目的とかを改めて考えるところから、弊社はクライアントと仕事をしてます。

「目的」を設定する

前述したように仕事を開始する際に、私は必ずこのことをご一緒する皆さまに問いかけるのですが、企業もそこで働いている従業員の方々の回答はこの「目的」というものを忘れていたり不明確であったり、時にはなかったりしているな、という印象が強いです。

目的と目標

そして、一番多いのは「目的」と「目標」の混同
企業において…特に外資系企業の場合は、「目標値(KPI)」/例えば、対前年比◯◯%up等;は間違いなくお持ちなのですが、ご担当の方の言葉の中にそのプロジェクトの「目的」を見つけることができないことが多いのです。突き詰めてお話を伺っていると、担当プロジェクトの「目的」について、ご自身で語る言葉を持っていない、いやそもそも「目標」を「目的」と勘違いしたまま語っていらっしゃるなぁ、、という印象でしょうか。

これは細やかながら…"何の為に活動し、どのようなことを実現しようとしているのか"という目的設定の前に、目標値としての"昨対◯%の売上やシェア、利益率などの数値"によってKP Iを設定している企業が多いのではないかという問題提起です。さらにいえば、半年か一年後にその数値をみて、仮に達成していなくとも、それを振り返ることなく解決策を施していない企業も多々みてきました。

そういった意味において、私たちは「目的を設定する」という大切なことを軽視しがちなところがあるかもしれません。いや、もしかしたらそのことにすら気づいていないのかもしれないと危惧するところです。

マイクロソフト社のミッション

マイクロソフトでは「地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする」を企業ミッションにしています。これまでの規模と効率追求をやめたそうです。

 同社CEO兼会長のサディア・ナデラは、KPI(重要業績評価指標)の達成状況を細かいエクセルシートで眺めながら、報告や議論をする取締役会は廃止し、代わりに役員は従業員に対して、自分たちの「生きがい」の物語り語るようになりました。これによって、横行していたセクショナリズムはなくなり、組織の壁は無くなったと言われています。

「失敗の本質」(野中郁次郎他著)

私の師でもある野中郁次郎先生の著書の中で、戦略の失敗の筆頭に挙がるのが、戦略目的の曖昧さです(第2章)。日本軍には、戦争をどのように終わらせるかという目的が明確ではなかった、と。

ここで注目すべきは、日本軍にはここの作戦を有機的に結合し,戦争全体的をできるだけ有利なうちに終結させる「グランドデザイン」が欠如していたことであるという点です。

目的の曖昧さは、「グランドデザイン」の欠如にまで至ってしまうのは、日本軍の欠点としてだけではなく、現在の我々の多くの組織でも同じなのかもしれません。

「目的」を定めるために、まずは自分ゴトで考える

コロナ禍で一気にデジタル化が加速、生活時間帯も変化しかつVU C Aの時代と言われ、予測不可能な時代にこそ「自分ゴトで考える力をつける」、「何をやりたいのか、どんな自分(会社)になりたいのか」について熟考し創出させることから始まると私は思います。

自分ゴトだから、自分で発言した言葉に責任もちますし、ワクワクすることもあるでしょう。自分の思いが、果たして様々な方に共感されるかどうかを不安に感じるからこそ、伝えるために対話を徹底的にすることが大切となり頑張り…いや楽しめる。。自分の言葉でストーリー化する、まさに実践であり効率論で話せることではありません

これが私が魅せられ推奨している「ビジョン思考」であり、カールワイクの提唱した「センスメイキング理論」なのです。

予告として…

センスメイキング理論」を現場立場からのアプローチとして、食品、小売業、化粧品、トイレタリー、家電、ペットフード、金融などのジャンルでの実績を積んできた弊社ですが、いくつかの事例についてのご紹介したいと思っています。

目的を明らかにしながら自社の存在意義を考えることによって、経営者とミドルマネジメントと現場が共に考える「場」をメンバー自らで創出していく。社長経営陣からの命令の形ではなく、みんなが同時に共に考えられる体制となることの副産物は何か。

それは、こちらもハッとさせられるメンバーの笑顔です。

(続く)