『千年ジュリエット』初野晴（角川書店 2012/3/29）

清水南高校、文化祭間近、晴れの舞台を前に吹奏楽部の元気少女・穂村チカと残念系美少年の上条ハルタも練習に力が入る。そんな中チカとハルタの憧れのひと草壁先生に女性の来客が。奇抜な恰好だが音楽センスは抜群な彼女と先生が共有する謎とは？『エデンの谷』文化祭で巻き起こる笑って泣ける事件の数々。頭脳派ハルタと行動派チカは謎を解けるのか？
高校部活、青春ミステリ、ハルチカシリーズ第４弾
『イントロダクション』、『エデンの谷』『失踪ヘビーロッカー』
『決闘戯曲』『千年ジュリエット』４話連作短編集。

・わたしには決めていることがある。
大人になって高校時代のことを話すときがきたら、
辛かった思い出話は決して口にしないと。
その代わり、どんなに苦しいときでも、
みんなと素敵な寄り道ができたことを伝えたい。
どんなに厳しい環境でも、
ちょっとだけ遠まわりして楽しく生きてきたことを教えてあげたい。
それが許される有限の時間は、だれにでも必ずおとずれるのだから　P14

・青春という名の旅にゴールはないの。
成長を諦めたひとが勝手につくってしまうものなの　P36

・考える時間は無駄じゃないのよ　P63

・生まれ持った才能なんてこの世にない。
あるとすれば生まれ持った環境よ。
どんな分野でも、まだ幼い頃から十数年もやっていれば、
まわりから頭角をあらわすことくらいできる。
真面目にやりさえすれば、実力と実績も兼ね備えることができる。
ただそれだけで食べていけるかどうかだけは、
音楽の世界に限っていえば時代の変化という波に乗って、
運という強風を待たなければならないの　P68

・困難が立ちはだかったとき、
失ったもののせいにするのは本人だけじゃないの。第三者も声を揃える。
いい？　ぜったいに流されちゃ駄目よ。
幸せや不幸を決めるのはあなた本人なんだから　P79

・ここで取り上げる決闘は、
背中合わせで一歩、二歩、三歩と歩いて、ふり向きざまに銃を撃つ方式だ。なぜ話し合いという解決をしないのか。
そこで首を傾げるひとは、出逢いが足りないことを自覚してほしい。
もっと生きて、世の中には本物の悪人がいることを知ってほしい　P174