見出し画像

身体を鍛える:不便益2.日本家屋住む

 昔ながらの家を日本家屋と言います。日本家屋は、身体にとってとてもよく考えられた構造だとつくづく実感します。
 そこで、日本家屋の良い点をまとめてみたいと思います。

段差には意味がある
 日本家屋は段差があります。例えば、玄関と部屋の間には段差があるのが一般的です。また、古い家では急な階段などがあったりもします。土地が狭いから仕方がないのかもしれませんが、それにしても段差があります。しかし、今の時代はバリアフリーということで、家屋には段差をなくしています。そのため、きっと多くの人は段差がない方がいいと思っているのではないでしょうか?それは違います。
 段差は住んでいるとめんどくさいものです。しかし、段差があるということは、その段差で毎日運動をしている。逆に言うと日本家屋は住んでいるだけで運動が行えるトレーニングジムみたいな構造をしているのです。この構造はとても都合がよい。だって、トレーニングジムへはモチベーションが高くないときはいかないので、トレーニングジムに行かないということは運動はしない。しかし、家でモチベーションが高かろうか、低かろうが、毎日住んでいれば運動をしなければいけない。「運動や健康は継続が力なり」と言われるように、続けることが一番難しいのですが、住んでいるだけ運動にななるなんて、とても素晴らしいシステムなのです。

何で段差が必要なのか?
 ちなみに、日本家屋の段差はトレーニングジムにしたくて作られているのではありません。日本の土地は狭いので、高温多湿の島国では、床の下に空気を入れる構造を作ることで風通しが良くし、冷房を使わなくても涼しいように、また湿気がなまらないような構造にすることで、家を長く持つようにしているのです。また、日本は農耕民族であるため、外で泥だらけになり働くことが多いため、段差があることにより外の埃や土が入らないように工夫がされているのです。さらに、関戸下枠や建具の敷居にある段差は、すきま風や別室の光の漏れを防ぐために作られた段差で、いわば生活の知恵から生まれたものです。一方、浴室出入口の段差は、日本の風呂は、洗い場で湯水を流すため、洗面所・脱衣室にその水が流れ出ないようにするためにやや高めの段差を設けています。
 このように暮らしやすくするために作った段差が、最終的には身体を鍛えることになる。まさに生活の知恵なのです。

隙間風にも意味がある
 昔の家ではよく隙間風を経験します。建付けが悪いから隙間風があると思っている方もいるかもしれませんが、そんな理由ではありません。実は気流を設計して、換気のよい状態を作っていたのです。
 家において換気はとても重要です。家の中のCO2やCO濃度が高まると、身体の健康を害します。そのため、多くの建物では、24時間換気扇を回しっぱなしにしなければ、家の中を空気が循環しないため、室内のCO濃度が上昇してしまうのです。しかし、日本家屋は換気をしなくても風の流れをデザインし、換気ができるようにしているのです。
 さらに、風通しを良いと室温が定期的に変わります。そのため、温度差に応じで体温を調整しないといけないため、自律神経が頻繁に働きます。そのため、自律神経が鍛えられ、最終的には免疫力が上がる。こまめに温暖差を作ることでこまめな体温調節を行うことになり、その結果自律神経を鍛えている。しかし、今の時代は温度差がない住宅で生活をしているために、自律神経の調節機能が弱くなり、その結果病気になる。昨今、自律神経失調症が多いのは、自律神経を調整する機会がないからこその副産物であり、便利な生活が引き起こした現代病かもしれません。
 そう考えると不便な日本家屋に住むことは、身体にとって不便益であり、意味があるのだと思います。不便益は素晴らしいですね!
 今の時代にこの不便益を健康に生かしたいと思う今日このごろです。


 



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?