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振袖火事(その2 全3回)

ところがねこの振袖が古着屋さんに出されていったんだって。ステキな振袖だったからね。寺では35日の法事ほうじむと、振袖を古着屋へ売り払うと言うしきたりがあったからさ。

しばらくしてから今度は本郷元町の粷屋さんの娘さんのお花さんがそれを買ったんだって。そしたらね、その振袖を着ていたお花さんも急に病気になってしまってすぐに亡くなってしまったんだって。16歳だったと言うんだよ。やっぱりその振袖はお花さんの棺に掛けられて葬られて行ったよ。振袖はステキなものだったからね。もったいないから古着屋さんにまた出されて行ったんだ。

しばらくすると今度はね、麻布の質屋伊勢屋さんの娘さんのおたつさんが買って行ったんだ。おたつさんがその振袖の袖に手を通して着てみるとまたまた急に病気になってしまったと言うんだよ。そうしてやっぱり16歳で亡くなってしまったんだって。

1月16日のことさ。おたつさんのお葬式が本妙寺であったんだよ。ちょうどその日娘さんの法要ほうようで本妙寺に来ていた大増屋さんと粷屋さんの家族の人たちは棺に掛けられている振袖を見てびっくりしてしまった。

その振袖を着た3人の娘さんたちは皆1月16日にしかも16歳で亡くなってしまっていたんだからね。そこで3家族が話をしてね、本妙寺の和尚さんにわけを話して供養してもらうことにしたんだ。

今日はここまで。読んでくれてありがとう!同じ振袖を着た娘さんが3人とも同じ1月16日、同じ16歳で亡くなってしまったってなんかちょっぴり怖いね。お休み、ポン!

#江戸時代 #明暦の大火 #火の用心

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