迷い その2(全3回)


日本中から駆けつけていた武将たちとその家来たち、城を取り囲んだ秀吉軍28万人は自分たちの持ち場で退屈な見張りを何日もしていなきゃならなかった。ところがね、変わったことのない場所での見張りの仕事ってのはとっても飽きてしまうんだ。刀を振り回して戦いたいと思っている家来たちにとっては、たいくつ過ぎてイライラすることも多かったらしいんだよ。たまに塀越しに鉄砲での打ち合いをしたくらいなんだからね。秀吉は暇つぶしに茶の湯や能を開いたりしていたんだってよ。

ポンと昔。秀吉の家来に宇喜多秀家(うきたひでいえ)という17歳の武将がいたんだよ。ある日のこと、秀家の家来で、花房職秀(はなぶさもとひで)という者が馬に乗ったままで兜(かぶと)も脱がずに、堂々と本陣の前を横切って行ったんだ。本陣とは、秀吉がいる場所のことさ。家来たちはこの本陣の前では馬から降りて歩いて横切らなくてはならないというルールがあったんだよ。だから、万人(ばんにん)が馬から降りて歩くようにと注意をしたんだね。これを聞いた宇喜多家内でも短気で頑固者と言われている職秀(もとひで)は、
「戦場で遊び惚ける(ほうける)腰抜けの大将に、馬から降りて行く必要なないわい」
とイライラとして言ったんだって。職秀はね、いつまでも小田原城に攻撃を仕掛けない秀吉にイラっとしていたんだね。これを聞いて秀吉はそりゃあ怒ったさ。すぐさま秀家を呼びつけるとね、こう言ったんだ。

うーん、今日はここまで。
また明日。
読んでくれて、ありがとう。ポン!

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