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お気に入りの店を求めて

世界各国の物書きによるリレーエッセイ企画「日本にいないエッセイストクラブ」。今回のテーマは「お気に入りの店」、インドネシア在住の武部がお送りします (前回の記事「(服を)買う・手放す・生き返らせる」はこちら)。
ハッシュタグは #日本にいないエッセイストクラブ 、ぜひメンバー以外の方もお気軽にご参加ください。
過去のラインナップは、随時まとめてあるマガジンにて!

 私はジャカルタのいい店(飲食店)をよく知っていると思われがちだが、実のところそうでもない。友人と集まる時はたいてい韓国焼肉、ジンギスカン、餃子、火鍋だし、娘らもそれが好きなので、だいたい同じ店ばかり通っている。だからお気に入りの店といえばそれらの店なんだろうけど、記事にするにはイマイチ面白みに欠ける。在住日本人ならみんなが知っている店だ。せっかくなんだから、「実はこんな隠れ家的なお店が…」とか言ってみたいじゃないか。まあ、それを言うならもう前回、隠れ家中の隠れ家的な店のことは書いてしまったのだった。

 しかし、残念ながらここ(SUBO)は完全予約制なので、行きたいときにひとりでふらっと行くわけにはいかない。私の求める条件に合ったお気に入りの店が欲しい。すごく欲しい。
 じゃあどんな店ならいいのか。条件は3つある。

① 仕事帰りにふらっと寄り道できる
② 事務所よりは自宅に近い
③ ひとりでゆっくり本を読める(十分な照明)
④ WIFIがあって、動画を見たりこうやって記事をかいたりできる
⑤ 揚げ物ばかりじゃなくてちょっとヘルシーなおいしいつまみがある
⑥ ビールがある
⑦ 知り合いに会わない
⑧ 店員が店員同士や常連客とで盛り上がっていない
⑨ 店員がなれなれし過ぎない
⑩ ヒット曲のボサノバ・バージョンがかかっていない
⑪ タバコ臭くない
⑫ 蚊がいない

……3つにおさまらなかった。

 2年前まで私は北ジャカルタに住んでいた。工業地帯に隣接したちょっと殺風景なエリアだ。そこから南に引っ越すとき、「すてきなお店といえば南ジャカルタ」というイメージがあったので、素敵なお店開拓を楽しみにしていた。
 ところがどっこい、なかなか「これ!」という店は見つからないものだ。

よいつまみの例。
ただここは南ジャカルタの若者の超オサレスポット/インスタ映えスポットで落ち着かない。
これもよいつまみの例。
この店は選曲もよいし、適度に雑多でいいんだけど帰宅ルートからは外れるのと、ビールがクラフト系だけなのでちょっと高くつく(ヘッダー写真の店)。

 そんな中でむしろ思い出すのは北ジャカルタの素朴なお店。週末の朝ジョギングをした後寄ったこの店とか。

珈琲と半熟ゆで卵、ときどきあんまん。ビールないけど。

 肉骨茶の店とか、やたらビールが安い中華系串焼きの店とか。南にはないんだよなあ…。普段着でウロウロできること、豚肉率が高いこと。北ジャカルタの暮らしが恋しくなるときは多々ある。 

 こうしてみると、すべてを満たす究極の場所は自宅なのであった。うーん。我ながらオチがつまんないが仕方あるまい。許して。

前回の走者はベルリン酒場探検隊さんでした。

 ああ、こういう店だったらひとりでいるときに周りに話しかけられてもいいなあ。長女をケルンに留学させていたことがあるので、彼女をガイドにドイツを旅して、おかんだけ抜け出してこんな店にふらっと寄ってみたいなあ…と夢は広がる。

次回の走者はカタール在住のフクシマタケシさん。

 インドネシアでは多分厳しいことは直接は言われないし、見た目だけでも真似をしていたらウェルカム、だけど裏で何を言われるかわからない怖さはあるかな…。まあ場所とシチュエーションによるけども。さーてそんなフクシマさんのお気に入りのお店とは?!

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