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ツンデレお姫様

「どう?この柚菜可愛い?///」

そう言って自撮りの写真を見せてくるのは

僕のお姫様、柚菜先輩だ。

柚菜は会社の1つ年上の先輩である。

僕は柚菜先輩に密かに想いを寄せていて
平静を装っているがいつも内心はドキドキだ。


柚菜先輩は、距離が近い。

柚菜「〇〇君、今日の昼空いてる〜?」

〇〇「空いてます!」

柚菜「お昼休みそこの新しくできたカフェにランチ行かない?」

〇〇「行きます!ぜひ!」

柚菜「ねぇ〜最近髪色少し変えたんだけどどう?」

〇〇「凄く似合ってます!」

柚菜「ほんとかよ〜」

〇〇「ほんとです、柚菜先輩にめっちゃ似合ってます」

柚菜「ん〜、テキトー言う男はモテないぞ〜!」

〇〇「適当じゃないです。マジです。」

柚菜「それならいいんだけどぉ」


柚菜先輩は自分から「今日の柚菜可愛い?」とか聞いておきながら、可愛いと答えると、「嘘つけ!思ってないでしょ!」と突き放してくる。


素直じゃない。



でも、そこが可愛いのだ。

心の中では『ツンデレお姫様』と呼んでいる。


ツンデレお姫様は、いつも頑張っている。

誰よりも早く出社し、誰よりも遅くまで

眉間に皺を寄せながら仕事に向き合っている。


〇〇「柚菜先輩、今日仕事終わったらご飯でもどうです?」

柚菜「〇〇君の奢りなら行く」

〇〇「いいですよ、今日は。奢ります!」

柚菜「じゃあ行く!」


仕事終わり、僕達は近くのラーメン屋さんに入った。


〇〇「柚菜先輩、何食べます?」

柚菜「醤油ラーメン、あっさりめで」

〇〇「こことんこつが有名なとこですよ。とんこつじゃなくていいんですか?」

柚菜「太るから」

〇〇「こんな時間にラーメン食べてる時点でそんな変わらないですよ(笑)」


ツンデレお姫様は顔をしかめる。


〇〇「ごめんなさい、怒らないでください。僕が悪かったです。」

〇〇「可愛いお顔が台無しですよ。」

柚菜「うわっ、なにそれ。調子乗んな〜!」

〇〇「照れてるじゃないですか」


柚菜先輩は顔を赤らめる。可愛い。


〇〇「柚菜先輩、失礼ですけど今彼氏さんとかいらっしゃるんですか?」

柚菜「気になる...?」

とろけた声にドキッとした。

〇〇「はい、気になります。」

柚菜「じゃあ、先に柚菜の質問に答えて。」

〇〇「分かりました」

柚菜「〇〇君は、彼女いるの?」

〇〇「いないです」

柚菜「そっか。柚菜も、いない。3年ぐらい。仕事忙しいもん」

〇〇「そうですよね〜こんなに仕事三昧なら恋愛する暇ないですよね、、」


柚菜先輩がこちらをじっと見つめてくる。

〇〇「ん、どうしたんですか?」


柚菜「〇〇君、私と付き合ってよ...」

〇〇「えっ...?」


柚菜先輩が視線を下にそらす。


柚菜「ダメなの...?」


なんなんだ、この急展開。

〇〇「え、いや、もちろん。もちろんです!」

柚菜「OKってこと...?」

〇〇「はい、喜んで。僕なんかでよければ。」

柚菜「やった...」


柚菜先輩は頬を赤らめ、下唇を噛む。

ツンデレお姫様がよくやる仕草だ。


柚菜「明日も、、」

〇〇「ん?なんですか?」

柚菜「明日も一緒に仕事頑張ろうね!〇〇君!」

〇〇「はい!もちろんです!」



後ろ髪をゴムで強く結んだスーツ姿のその笑顔は

僕だけが見える絶景だ。



ツンデレお姫様は、僕だけのもの。


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