君の瞳に映る
彼女は僕の顔を見てニヤリと笑う
何を言うわけでもなく、ただ僕の顔をじっと見つめて余裕そうな顔でクスッと微笑む
僕は彼女が何を考えているのか分からない
こんなことがあった。
「今日、星綺麗だね。外見てみて。」
電話口でそう言われた僕は外に出た。
星なんかひとつも出ていない。曇り空だ。
〇〇「星なんか見えないけど」
さくら「へへっ」
〇〇「からかうなよ...」
彼女は、とても変わった子だ。
降水確率90%の日に傘を持たずにずぶ濡れになって帰ってきたり、何もせず図書館でぼーっとしていたり、「前髪切りすぎた」と言って突然髪の毛の写真を送りつけてきたりする。
謎だ。本当に謎。
思えば、あの日もそうだった。
〇〇「急に呼び出してごめんね。君に話があって。」
さくら「話ってなーに」
〇〇「遠藤さんのことが好きです!付き合ってください!」
さくら「ほぉ〜直球ですねぇ」
〇〇「.....お返事は?」
さくら「どうしよっかな」
〇〇「今すぐじゃなくてもいいんだけど...」
さくら「考えとく。」
〇〇「うん。」
次の日の夜、僕は彼女に呼び出された。
〇〇「びっくりした。『ブランコの前集合』なんて初めてだよ。どこの公園か教えてくれないし。」
さくら「でも、知ってるからここに来たんでしょ」
〇〇「そう、だね」
〇〇「ここしかないと思った。」
彼女はいつも同じ公園で同じブランコを漕いでいる
さくら「座りなよ」
〇〇「うん」
さくら「私、ブランコ好きなんだぁ」
〇〇「知ってる」
さくら「なんでだと思う?」
〇〇「うーん、、分からない。教えて。」
さくら「空に、近づけるから」
〇〇「空に近づけるから...?」
さくら「そう。前に漕いだら一瞬にして目の前に満天の空が現れる。離れてはまた戻って、強く漕げばまた空に近づける。」
〇〇「空に、、近づける、、か。」
さくら「いつも一人だった。」
〇〇「え...?」
さくら「いつも一人で、空を見てた。青空も泣き空も、空だけが私を包んでくれた。」
〇〇「.....」
さくら「あなたは、私の空になってくれるの?」
〇〇「空に、、僕が、、」
さくら「私を包んでくれるのは空だけ。」
〇〇「空に、、空になるよ君の」
さくら「ありがとう。」
〇〇「うん。」
空になるの意味、完全には理解できないけれど
彼女と過ごす日々の中で、
少しずつ空に近づけている気がしてる。
隣で楽しそうにブランコを漕ぐ彼女が好きだ。
ブランコを漕ぎながら彼女はこちらを見た。
「今夜の空、綺麗だね。」
そう言って笑う、
君の瞳には何が映っているのだろう
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