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第14次労働災害防止計画に「理学療法士等の活用」が明記された件

働く人へ理学療法を届けるために、情報収集をしていたら、嬉しい内容がありました。

今年4月に厚労省が提示した第14次労働災害防止計画。

「労働災害防止計画」とは、労働災害を減少させるために国が重点的に取り組む事項を定めた中期計画です。
 厚生労働省は、中小事業者なども含め、事業場の規模、雇用形態や年齢等によらず、どのような働き方においても、労働者の安全と健康が確保されていることを前提として、多様な形態で働く一人ひとりが潜在力を十分に発揮できる社会を実現に向け、国、事業者、労働者等の関係者が重点的に取り組むべき事項を定めた 2023年 4 月~ 2028年 3 月までの 5 年間を計画期間とする「第 14 次労働災害防止計画」を2023年3月8日に策定し、3月27日に公示されました。

厚労省HPより
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000197308.html


実はここに、「理学療法士等」の名前が初めて明記されたのです。
ちょっと長いですが引用します。

(2)労働者(中高年齢の女性を中心に)の作業行動に起因する労働災害防止止対策の推進

(ア) 労働者の協力を得て、事業者が取り組むこと
・転倒災害は、加齢による骨密度の低下が顕著な中高年齢の女性をはじめとして極めて高い発生率となっており、対策を講ずべきリスクであることを認識し、その取組 を進める。

・筋力等を維持し転倒を予防するため、運動プログラムの導入及び労働者のスポーツ の習慣化を推進する。

・非正規雇用労働者も含めた全ての労働者への雇入れ時等における安全衛生教育の 実施を徹底する。

・「職場における腰痛予防対策指針」(平成 25 年6月 18 日付け基発 0618 第1号)を 参考に、作業態様に応じた腰痛予防対策に取り組む。

(イ)アの達成に向けて国等が取り組むこと
・事業者が安全衛生対策に取り組まないことにより生じ得る損失等のほか、事業者の 自発的な取組を引き出すための行動経済学的アプローチ(ナッジ等)等について研 究を進め、その成果を広く周知する。

・「健康経営優良法人認定制度」等の関連施策と連携し、転倒・腰痛防止対策の具体 的メニューの提示と実践に向けた事業場への支援等を図る。
・転倒等災害防止に資する装備や設備等の普及のための補助、開発促進を図る。
(中略)

理学療法士等を活用した事業場における労働者の身体機能の維持改善の取組を支援するとともに、筋力等を維持し転倒を予防するため、「Sport in Life プロジェ クト」(スポーツ庁)と連携してスポーツの推進を図る。

・骨密度、「ロコモ度」、視力等の転倒災害の発生リスクの見える化の手法を提示・周知する。
(以下略)

奇しくも、私が産業理学療法の分野に興味を持ったのが、この防止計画がリリースされたのと同じ時期。
なんか巡り合わせを感じてしまいました。

この文面では、中高年女性の転倒が職場内労災にて多いことから、その対策を中心に理学療法士の活躍を期待されているように見受けられます。

この防止計画に理学療法士が明記されたことにより、
理学療法士が事業者に仕事を請け負うにあたり、「私はこういうものです」と説明するハードルが少し下がりました。

この防止計画では、
事業者は筋力等を維持し転倒を予防するため、運動プログラムの導入及び労働者のスポーツ の習慣化を推進する必要があり、
理学療法士は労働者の身体機能の維持改善の取組を支援するとともに、筋力等を維持し転倒を予防することに対して、活用できる職種であると言っている。

前の記事にも書きましたが、理学療法士・作業療法士の仕事は、まだほとんどの人が知らず、多くの事業者からしてみれば「君は何者?何をしてくれるの?」という状態です。
このような公的な文面は使い方によっては強い味方になってくれます。

この5年間で、理学療法士・作業療法士がきちんと機能できれば、第15次においてもその名において活躍できる場所が増えていくかもしれません。
逆に居ても変わらないね、となれば、次期には消えるかもしれない。

理学療法士・作業療法士が世の中に必要だよね、と認識され、病院以外の場でも仕事を請け負える世の中を作ることが私の夢です。
この文面を読み込んで、これから先に作りたい世界を見据えて、情報発信していきたいと思います。




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