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自分の思考に、合格点を出す基準

しっかり考えた!と自信を持つために、大事なツールとは?

こんにちは。
理学療法士19年目のyokoです。

これは、患者さんと理学療法士(PT)の「より良い20分」を創るために、あれこれ考えるブログです。

いきなり「自分で考えろ」と言われても困ります!

先日、考えられる理学療法士になるためには、良い問いを立てて、まずは、しっかり自分で考えよう!それから皆と話してみよう。という記事を書きました。
問いは山小屋であり、そこまでどんなルートでいくのか、正解はない。
まずは自分なりのルートを見つけよう、自分なりの答えを出そう。
そんな話でした。

前回イラストより:山小屋に辿りつくために、自分なりのルート(考え方)を持とう。

しかし、いきなり「自分で考えろ」と言われても、10年前の私だったら頭が真っ白になっていたと思います
まだまだ知識は浅いし、もっとインプットしないと考えることなどできないでしょ。と。

ではPTが自分で考える、自分なりの答えを出す、とは一体どういうことなんでしょう。
私の周りには、知識を教えてくれる先輩はたくさんいましたが、「PTは何をもって考えたと言えるのか?」を教えてくれる先輩はいませんでした。

今日は先日行った講義準備の話から展開していきたいと思います。

PTが考える、とは具体的なものに落とし込むこと。


先日「肩の求心位」という整形外科PT独特の概念について、スタッフに講義を行いました。
これは肩の患者さんを見る上で、大変重要な考え方なのですが、いざ調べてみると、それについての明確な定義や評価方法などを書いた書籍が見当たりません。
(求心位について知らなくても、ここから先の話はついて来れるので安心してください。もしリハビリ関係の方であれば、現場でよく使われている言葉に置き換えて読むとわかりやすいかもしれません。)

そのため、まずは自分が「肩の求心位」とは何か?どういう状態がそれを指すのか?をきちんと考える必要がありました。

現在手元にある資料では、自分が納得できる記述や、そのための方法論がまとまっていないので、まずは自分自身が納得いく形に整える必要があったのです。
PTにとっての「納得いく形にする」とは、概念のような抽象的でフワッとしたものを、具体的な評価方法やプログラムという形あるものに変化させるということです。
この間に「PTの思考」が存在します。

せっかく考えるなら、思考の合格点を目指そう。で、合格点って何?

この思考を人に伝えられるくらい形にできた状態。これが私の「思考の合格点」です。
この合格には2つの意味があって
「自分が納得がいくラインを超えた」という文字通りの合格の意味。
そして、自分なりの答えを、いろんな人にぶつけて話し合う準備ができた。いわばGOサインの意味。
決して正解じゃなく、合格点(GO格点!)を目指せば良いのです。

私が、自分の思考を形にするためによく使う手法は、考えていることを言葉でなく、図にするという方法です。表でもいい。
大事なのは、一度言葉に頼らずに表現してみる、ということです。
そして、なぜその図や表になるのかを、自分の言葉で説明してみます
これができると、思考が合格点に達しているのか、自分でとてもわかりやすくなります。

例えば、肩の求心位についての講義で、「求心位とは何か」を説明するにあたり、私はこんな図を使いました。
これが一般的にいう、求心位。

でも、肩についてはこうだ。このままでは簡単に脱臼してしまう。

小さなおチョコの上の大きなボールを維持しておくために、どんな組織が存在するのか。

クサビにあたるのはこれらの組織。

この機能を保証するのに、どんなリハビリをしたらいいだろう?・・・
という感じです。

経験上、ひたすら考えてシンプルな図にしたものほど、人に伝わり、ディスカッションが身のあるものになる気がします。
このスライドを当院に勤務する肩の権威の医師に見ていただきましたが、図を見た瞬間すぐに意図を理解してくださり、その上で、「俺はこのナンバリングはPTを誤解させるから必要ないと思う」「俺が考える優先順位はこうだな」と先生なりの考えを話してくれました。

先生の講義は何度も聞いてきたけれど、自分の考えた結果(図)を見せた上での学びは比べ物にないくらい大きなものでした。

本質を見つけるために思考する

後日、この先生に、お礼のメールをしたら、次のような返信がきました。
「yoko君が肩を深く理解しようとしていることがよく分かりました。本質は割に簡単なものです。目新しい専門用語に惑わされないように。」

本質は割に簡単なもの。
考えを削いでシンプルな図にする過程は、あながち間違ってはいないのかな、と感じました。

知識は広げ、思考で削ぐ、そして人と磨く

PTの本質を知るために、これからもその過程を楽しみたいと思います。

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