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血液型の性格占いってさ。

2024年3月23日に、佐藤友美さん主催「さとゆみゼミ」を卒業。卒業後も、文章力・表現力をメキメキと上げ続けるため、仲間と共に、note投稿1,000日チャレンジをスタート。

Challenge #27

昔から、血液型の性格占い(を信じている人)が苦手だった。理由はおそらく、私が「B型」だから。B型はマイペースだとかワガママだとか、良く言われた試しがなかった(今はそうでもないけど)。

「そもそも、人間をたった4つのタイプに分けるなんてナンセンス」と、B型の私は思っていた。別の血液型だったら、信じていたかもしれないが(A型の乙女座に憧れていた)。

大学2年のころ、地元のデパート2階にある書店でアルバイトをすることになった。他のアルバイトには、同世代の男性2人と女性2人、ママ世代の方が1人いた。

アルバイト初日、シフトに入っていたT君が私に声を掛けてきた。「大島さん(私の旧姓)って、何型ですか」。

ああ、またか。と思いながら、「B型ですけど」と答える。するとT君は、憐れむように私を見て、「大丈夫!性格直せば、大丈夫ですよ!」と、言いやがった励ましてくれた。

ほうほう、会って5分で、「性格を直せ」ですか。初日のため笑顔を保ちつつ、怒りの炎が燃えたぎっていた。後から聞くと、T君ともうひとりのYさんは彼女と別れて間もなく、お相手がB型だったそうだ。私が入社する前に「B型女の悪口トーク」で盛り上がっていたらしい。

だから苦手なんだ、血液型で性格を決めつける人。私とその彼女はまったく違うのに。


ある日、父の部屋のベッドに寝転がっていた。父のベッドは広くてふわふわなので、ときどき部屋に入ってゴロゴロして寛いでいた。

ベッドの右手に、ガラスの扉がついた大きな本棚があった。ガラス越しに本の背表紙をぼーっと眺めていると、文庫本のタイトルが目に入った。

『小さな悪魔の背中の窪み』(竹内久美子著)

へぇ、おもしろそう。思わず手に取って、数ページ読んでみた。

「小さな悪魔」とは、カッコウの雛のことだった。カッコウは、ほかの鳥の巣に卵を産みつけるのだそうだ。巣の主である鳥は、それと知らずに卵を温め続ける。カッコウの雛には背中に小さな窪みがある。卵から孵ると背中の窪みを使って、他の卵を巣から落とすのだとか。卵は似ていて見分けがつかないが、雛の違いは親鳥にバレてしまう。だったら、生まれてくる前に「始末する」と言うわけだ。巣の主である鳥は、「よその子」を我が子と信じ、餌を与え育てる。

しかし、我が子を殺されよその子ばかり育てていては、種の存続にかかわる。だから、進化の過程で、乗っ取られるほうの鳥は、卵の柄を変化させていった。「小さな悪魔」であるカッコウの卵と区別できるように。しかし、カッコウのほうも種を存続させていくため、追いかけるように卵の柄も変化し続ける。まさにイタチごっこだ。

これと同じことが、血液型と病原菌でも起こっているのだそうだ。遺伝子の構造で言うと、O型が最もシンプル。原型であるO型にAの遺伝子をくっつけたり、Bの遺伝子をくっつけたり、はたまた両方くっつけてみたりしたのがが、血液型なのだそうだ。

たとえば、ある地域で感染病が蔓延したとする。

病原菌は、遺伝子構造が似ている血液型の人の体内に侵入しやすい。たとえば、O型に似た病原菌が蔓延した歴史のあとには、遺伝子構造の変化が起きる。危機にさらされたO型の遺伝子にAやBの目印がつくのだ。たとえばAの遺伝子がくっつくと、A型になる。目印があれば、免疫機能が病原菌に気づいて感染を防いでくれるはずだ。しかし、病原菌も生き残らなければならない。追いかけるように、遺伝子構造を似せてくるのだ。A型も滅亡の危機にさらされると、今度はBの遺伝子をくっつけて…。巣を守る鳥と、カッコウの攻防戦と同じことが起こる。

病気が蔓延した歴史は、遺伝子レベルで「性格」に影響を及ぼす、というのが著者の考え方だ。コロナ禍で、距離を保つことを強いられてきたことを思い出して欲しい。感染を防ぐために、「ソーシャルディスタンスを保ち、衛生的にする」ことを心がける。これって、ある血液型でよく言われる、ステレオタイプな性格だ。

本を読み進めていくと後半はデータ解析が多くなり、私の頭では理解できなくなった。読了をあきらめて、元あった本棚に戻す。昔の本だし、真偽のほどは明らかではない。でも、当時はけっこう納得したな。

血液型で決めつけられることは、いまだに苦手。でも、日本人が「血液型によって性格を分類できる」と考え始めた経緯には、興味がある。血液型の性格占いは、遺伝子変化の副産物だとすると、「まぁ仕方ないか」、とも思う。

B型女子を悪く言っていた、書店アルバイトのYさん。自分もB型なのによく言うよね、とも思った。B型女である私と結婚することになるし。

ちなみに、家族(私、夫、母、息子2人)は、みんなB型。たしかにマイペースだけど、みんな性格はバラバラである。


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