主にロックダウンされた都市に住む、あるいは、外出自粛を促すセレブたちのライブ配信を眺めている。こちらは深夜だが、むこうは朝〜昼。Instagramの「ゲスト招待機能」をつかって、友達とのおしゃべりを互いに自宅からダラダラと流しているものが多いのだが、昨夜、ナオミ・キャンベルはパーソナルトレーナーとのレッスン風景を配信していた。

なんだか、私は人のおしゃべりや日常を眺めることで、とても癒されているようだ。

「仲の良さ」を眺めるだけでも!?

そういえば、webマガジンの運営をしている時に、「記事を読むのももちろん楽しいですが、編集部スタッフが仲良くキャイキャイしているのを眺めているのが楽しい」というようなコメントをもらったことがある。人間は、それがたとえ直接の知り合いでなくても、誰かと誰かの仲の良さそうな状態を眺めることにより、快楽が生まれるのだな、と思ったっけ。

ひとり暮しで自宅で働く友達は、Netflixのリアリティ番組『テラスハウス』を観ている理由は、「日常で雑談に飢えているから」と言っていた。それを聞いた時は目から鱗が落ちた。

ひとり暮しで自宅で働く別の友達がBGMにYoutuberの動画を流していると聞いて驚いたこともある。ラジオで音楽を聞き流しているような感覚に近いらしい。頭を使わず手を動かす作業中、聞き慣れた人の声が遠くで聴こえると安心し、作業がはかどるのだそうだ。その友達は、「Youtuberは疑似家族」だと言った。「疑似友達じゃないの？」と聞いたら、「家族に近い。ウザいと感じても離れるわけにはいかない。家の中に必要な音だ」と、分かるような分からないようなことを言っていたことも思い出す。

リモートワークはソロワーク？

リモートワークが定着し始めている。「ひとりでいると、精神的になかなかやばい」と吐露するひとり暮しの知人がチラホラ出始めている。一方で、リモートワークによって、霧散寸前のムードを醸しているチームもあるもよう。

リモートワークは、いつもメンバーがそばにいる時に比べてチームワークを強化しにくい部分はあると思います。だからこそ、リモートワークをソロワークにしない、「リモートチームワーク」づくりにもっと力を費やすべきだと思います。(中略)辛辣（しんらつ）な言葉で言えば、チームワークが弱い組織がリモートワークを行うと、チームがさらに崩れ、悲惨な状況が待っているように思います。

いきなりリーモートワークに入ってしまった難しさを抱えている人はたくさんいるのだろう。いつ何時も、いろいろなことを想定して、人と人とのつながりを強化しておくべきことの大切さを思う。

イギリスの孤独担当大臣

少し前に、イギリスでは「孤独担当大臣」なるものが存在すると知った。英政府は「孤独」で年間320億ポンド（約4.9兆円）の損失があるのだと言う。「自殺」や「ひきこもり」、「孤立」が社会問題にとりただされてきた日本はきっとそれ以上なのだと思う。その存在を知った時、日本こそ早急に設置したら良いのに、と瞬発的に思ったことを思い出す。

18年1月、メイ英首相（当時）は「孤独は現代の公衆衛生上、最も大きな課題の一つ」として、世界初の「孤独担当大臣」を任命した。

英政府は「それぞれに友人をつくることはできなくても、よりつながりのある社会を創造しようとしている」と報告書で自信を見せる。

孤独担当大臣が、「行政が介入して、それぞれに“友達関係”をつくってあげることは、ほぼ無理。それでも、行政はどのようなサポートをすべきなのか」というような発言もどこかで読んだ記憶がある。そう、友達づくりは、いくら労力とお金をかけられたとしても、他人の力（しかも行政の力）だけではどうにもならない部分が大きい。

『We Are The World』

ライオネル・リッチーが『We Are The World』の新バージョン制作を発表した。「友達」「仲間」という資産。このニュースを読んだことで、なぜか、その価値を痛感している。

今、改めてベストセラーに躍り出ているというアルベール・カミュ『ペスト』。主人公は、その中で「このいまいましい病気め、かかっていない連中まで心は感染している」と語る。1940年代と今。感染症というものは、時代を問わず、(症状に差はあれど）人間の心に与える影響にほぼ変わりはない。

最後に、SNSでシェアされていた立教大学文学部部長の新入生への挨拶を。

感染症はいつの時代においても、目には見えない得体の知れないものに対する恐怖と不安の中で、人々と社会の心を蝕んでいきます。それは、人々の連帯を崩し、利己主義を蔓延させ、差別と排除の論理を正当化させていくものです。私たちは今こそ、究極の「他者への愛と優しさ」を大切にしたいのです。

【備忘録】

昨夜の政府の発表。郵送料含め、一世帯1000円としたら、500億円。

466億円と判明（4月9日現在）。