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誰よりも私のファッションに厳しい男。そして、その効能

知人の中でいちばん“おしゃれ”だと思っている人(男性の先輩)に今日、会いに行く。「ブランドに詳しい」とか、「トレンドをおさえている」とか、「誰もがふりかえるようなおしゃれをしている」、とか……そういう類いのことではない。奇をてらっていないのに、佇まいがおしゃれ。ファッション業界ど真ん中にいるのに、媚びることも、流されることもせず、かたくななくらいに自分の認めるものしか認めていない頑固な姿勢。そんな人は、この人しか知らない。

確固たる美意識があり、そして、くやしいくらいにその美意識は私が考える「おしゃれ」とシンクロする。そんな人なのだ。

20年来の知り合いである。その人は悪びれた様子もなく、会う度に私のおしゃれについてIN、OUTのジャッジをくだしてくる。それに若い頃はとてもイラついていた。あまり怒らない私が怒り出して、まわりにビックリされたこともある。

しかし、通しで思い出すと、この人のジャッジにはブレがない。「大森にしか、あんなことを言ってないよ」と他の先輩に言われ、その時から口下手なあの人のコミュニケーション方法だったのかと知り、そこからは私も大きくかまえられるようになった。

そうこうしているうちに、何も言われない日は「今日はどっちなんじゃい!」と思うようになってしまった。そして、少しでもINとジャッジされると、素直に「嬉しい」と思うようになってしまった。

そして、今となっては、買い物をする時や断捨離の際に役にたてている。くやしいけれど、脳内でこの人と会話すると、ジャッジがにぶらないのだ。本当に、くやしいくらいに。

さて、今日は何を着ていこう。


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