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ブラジルのトランプとアマゾン森林火災。そして、地球の酸素不足。

アマゾンが燃えている。過去、例を見ないほどの森林火災だ。

フランスのマクロン大統領は、Twitterで「私たちの家が燃えている。言葉通りの意味で。アマゾンの森林=地球の酸素の20%を作り出す肺に、火がついている。これは国際的危機だ。G7サミットの参加国の皆さん、2日後にはまずこの緊急事態について話し合いましょう!」と発信した。


私たちの生活に直結する問題

生物の多様性の宝庫である森林が燃えることで、稀少なる生命が絶滅の危機にさらされている。アマゾンは地球温暖化の緩和に大切な役目を担ってもいる。地球上の生態系がくずれる。もちろん農業の分野、とりわけこの火災は、政治的、国際的な問題が絡んでいるため、農作物の輸出入などに影響がすぐに表れるだろう。


ブラジルの“トランプ”、ボルソナロ大統領

ブラジルの“トランプ”とも呼ばれるボルソナロ大統領は、地球温暖化に懐疑的見解を示しているらしい。アマゾン地域の開発を容認しており、違法伐採と焼き畑農業が急増中。その焼き畑農業が、今回の森林火災の原因だとも言われている。

INPE(ブラジル国立宇宙研究所)は7月、6月のアマゾンでの森林減少が前年同月比で88%増加したとのデータを発表した。これに対しボルソナロ氏は「焼畑」の時期に過ぎないと主張。INPEのリカルド・ガルヴァン所長がうそをつき、政府に損害を与えようとしていると非難した。ガルヴァン所長は解任させられた。ボルソナロ氏は大統領選中には、熱帯雨林を傷つける行為への罰金を引き下げ、環境省の影響力を縮小するつもりだと公約していた。


ボルソナロ大統領のブラジル国内の人気

驚くことにボルソナロ大統領のブラジル国内での支持率は高いのだと言う。「今日」「明日」を生き抜かねばいけないブラジルの人たちにとって、「地球の明日」を考えることは難しいのかもしれない。

ボルソナロ大統領は、森林火災の拡大の責任は政権を破壊しようとするNGOにあるという新しい持論を持ち出してきた。ブラジル国外の人にとっては衝撃的な発言だったが、国内の支持者には真実として響いている。ボルソナロ氏の国内人気は今も高い。

一方で、ボルソナロ大統領がブラジルの対外イメージを損なうことで、大豆や牛肉の輸出に影響が出るのではないかという懸念も出ているようだ。


『ブラジル 消えゆく民主主義』

つい最近、NETFLIXにてドキュメンタリー『ブラジル 消えゆく民主主義』を観ていた。自分たちの力で勝ち取った民主主義の下、2000年代に経済的躍進を遂げたブラジルが、現政権の極右大統領を選ぶまでのドキュメンタリーだ。今、“当たり前”だと手中にあると思っているものが、あまりにもあっけなくスルスルと指と指の間からすり抜けていく。ドミノが倒れるように、砂の城が波にさらわれていくように……

先日の参議院選の選挙結果などと照合し、考えさせられることが多い作品だった。日本も対岸の火事ではない。


共有資源を争いなしに管理するために

今回の森林火災で、“利己”の考えが、世界的なインパクトを引き起こすことを私たちは目の当たりにしている。「どのようにすれば共有資源を争いなしに管理できるかについて考察し、地域主体による管理のあり方を提言」し、アメリカ合衆国の政治学者であり経済学者のエリノア・オストロム氏はノーベル経済学賞を受賞した。

自分も近視眼的に自己都合でものを考えすぎていないか。森林火災の早期解決を願いつつ、日々の生活を思う。

【メモ】

ボルソナロ大統領は23日夜、国民に向けテレビで演説。「森林保護は我々の義務であり、違法な伐採やアマゾンを危機に陥れる犯罪行為と闘う」と軍が主導して違法伐採や延焼を防ぐ方針を表明した。


アマゾンの森林火災についてはInstagramにも写真を投稿して、「世界最大の熱帯雨林であるアマゾンは、気候変動を解決するために欠かせません。アマゾン無しには温暖化を食い止めることはできない」と、保護活動に加わるよう訴えている。

【後日談】


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