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結婚生活。そして、ピーナツバターとアップルパイ

夫はピーナツが好き。柿の種のピーナツだけを選って食べていて驚く。けれど、ピーナツバターには興味がない。私は逆で、柿の種にピーナツは必要ないと思っているのに、塩気の塩梅が良いピーナツバターに出会うとうれしくなる。

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夫はアップルパイが好き。フレッシュな林檎はさほどでもないらしい。私は逆にアップルパイが苦手。火を通して歯応えがなくなった林檎に対する違和感がどうしてもぬぐえない。あのシャリシャリ、サクサク感こそ命。林檎は歯応えが9割。

互いに感じる「好き」「嫌い」が互いに解せなかったことは多々ある。でも、しばらくすれば、「そんなことは当たり前」という事実に気がつく。

「好き」も「嫌い」もおしつけない。あくまでも「個」と「個」。いくら時間をともにしても、1+1は、1+1のまま。

あなたはこういう人だ。

そう言われて心地よいのは恋愛状態にある時と占い師に言われた時だけ。たいていの場合、「それは単なる私の一面だ」と思うだけのような気がする。

皆それぞれが、多面体である複雑な私。どんなに愛し愛されても、どんな人なのかを相手自身が感じているように言い当てることは永遠に不可能だと思う。自分だって言葉にできないのに。

ただ、一緒にいる小さな意味を日々見つけてゆくしかないのだと思う。

相手の全てを知っているわけではないし、相手の「好き」や「嫌い」に共感することはできなくても、相手を理解しようとすることはできる。相手が「喜びそう」「怒りそう」「困りそう」…それらを想像することはできる。

初めて訪れたお店でアップルパイを見つけたら、買って帰る。そして、アップルパイを頬張る夫の横で、私はピーナツバタートーストを頬張る。

「夫婦仲が良いですね」とよく言われるが、秘訣はそんなことのような気がしている。

今日の一品

今日の一皿

熊本市・喫茶中川のピーナツバタートースト。

今日の一冊

今日の一本









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