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今日、オモロイことあった?

私は15席ほどの小さなカフェで働いている。
経営はしていないが、ほぼ任せてもらっているという、「カフェ経営」が夢の人にとってはそれこそ夢のような立場をいただいている。

基本的には、営業が終わってからか始まる前にしか次の日の仕込みはやり切れないのが小さな飲食店。
帰りが遅くなる、もしくは朝が早くなる。
定休日も丸一日休めることはほとんどない。
仕入れと仕込みである。
これをサボると定休日明けに痛い目に合う。

未だに店員を目下に見るお客さまもいなくならない。
「何故にこの人に、こんなに偉そうにされねばならぬのか?」と言うこともしばしば。
気持ちが削られる。笑顔がひきつる。
そうすると「愛想がない」とクチコミされる。

でも、好きでやり甲斐あるから続けられるんだろうね。
「美味しかった!」と言ってもらえた時の喜びはヒトシオだし。
結局はそこに行き着くんだけど。

そんなわけで、基本的には家と職場の往復で1日が終わることがほとんど。
外食することは人より多いけど、なんとなくいつも「仕事が残ってる」不安から逃れられなくてソワソワしている。

帰りは深夜になることが殆どだが、大学生の息子と会話が出来るのもその時間。
彼はいつも開口1番「オモロイこと、あった?」と聞いてくる。

「ない!」と咄嗟に答えてしまうが、それもいかがなものか。
私はそんなつまらん1日を送ってるのか?
そりゃボロ雑巾のようにヨレヨレだけど、結構ゲラゲラ笑っていた記憶は、ある。
でも、なんで笑ってたんだっけ?

その「おもしろかったこと」に焦点を当てられず、「頭にきたこと」「不満」にばかり着目していないか?

よく聞くよね。
「ある車を買おうとすると、その車ばかりが街中で目につくようになる」って。

つまり、夜には家で「おもしろいこと」を語るぞと決めて1日を過ごすと、「おもしろいことアンテナ」がピンと立つ。

別に大笑いするようなことでなくてもいい。
今日来た、ちょっとイイカップル。
香水のつけ方が絶妙だったイケメン考察。
SNSで見た面白い記事。
通勤途中で見たハプニング。

「オモロイこと、あった?」と言う息子の問いは、毎日おもしろいことに溢れてた学生時代を思い出させてくれるのかも。

大人になると、「疲れ自慢」「寝てない自慢」「あちこち痛い自慢」が挨拶みたいなものになってくる。
つまんない!
そんなの、マジでつまんない!!

おもしろいことを見つける目を手に入れて笑おうよ。
大人の毎日だって、笑いに溢れてる。

#エッセイ #おもしろいこと #アンテナ



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