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【最終入荷】上手宰詩集『香る日』、この4冊で最後。再入荷はありません。

 売り切れておりました上手宰詩集『香る日』を再入荷いたしました。上手さんのお手元に「もう残部がない」とのことで、今回の4冊で最後の入荷です。当店での再入荷はございません。もう取り扱えないと思うと、さみしい…!

上手宰詩集『香る日』
本扉。紙は薄グレーのレイド紙(縞のある紙)。
目次(一部)

▼こんなに美しい詩集だったのか…!

 あらためて『香る日』全篇を読んでみました。…本当に素晴らしい! こんなに美しい詩集だったのかと、感動を新たにしました。

 半年ほど前の紹介記事では、「前半の詩が抽象的・哲学的で少し難しい」「ただ、その“わからなさ”が魅力」と書きました。しかしやはり、時間が経つと違いますね。あの時“わからない”と表現したものが、実は言語の枠に収めてはいけないものだったのでは、と感じるようになりました。特に表題作「香る日」の美しさ。半年前は感受性がそこまで追いついていなかったのか、今読むと、本当に美しい。言葉で具体的に語ることのできない美しさに満ちていると感じます。

あなたたちには見えないか
太い幹に打ち込まれた光る斧が
斧を包み込むまあたらしい傷口が
傷口だけが香るのだ

上手宰「香る日」より

 こちらの表題作「香る日」をはじめ、上手さんのホームページでは太っ腹にも、『香る日』全24編の中から14篇もの詩篇がまるまる公開されています。

【上手宰ホームページ 「香る日」】
http://kamitelyric.web.fc2.com/kaoruhiA.html

 「香る日」が少し難しいと感じるときは、ぜひぜひ「水たまりに落ちた星」を読んでみてください。友情と尊敬を描いた、私が一番大好きな作品です(解説はこちらの記事へ)。次におすすめするなら「再現――城侑氏に」かなぁ…♪ いずれも、上記ホームページで読めます。

▼紙の詩集で、ゆっくり味わってください。

序詩「裏地」(一部)

 上記でご紹介した「水たまりに落ちた星」「再現――城侑氏に」は、実は、この詩集の中では比較的元気のある(?)作品です。この『香る日』は、全体的には落ち着いた雰囲気の詩集です。上手さんがホームページでこう解説していらっしゃいます。

この詩集の特徴は特にはありませんが、年をとったこと(65歳直後に刊行)、60歳で定年退職した後に書かれた詩が多いので気持ち的に落ち着いていたというのが特徴と言えばいえるかもしれません。長い時期を生きてくると、失うことも多いですが、生きてきたことの中で得た喜びも感じることができるようになりました。そうしたものを描きたいという気持ちは人生の残り時間が少なくなるほどにつよくなってきているようです。

上手宰ホームページ「香る日」の解説より

 また、震災関連の作品も収録されています。これら全体の作品を通して読者は、今自分のやるべきことを見つめ、今まで気づかなかった世界の美しさに気付くのではないでしょうか。是非、しっとりとした紙の質感をてのひらに感じながら、ゆっくりと味わっていただきたいです。

 上手さんの詩集は、古本屋にはあまり出回りません。上手さんファンならもちろん、これから上手さんの作品を読んでみたい方も、たいへん貴重な一冊となりますので、この機会にぜひお買い求めください。ずっと大切にしたい詩集になると思います♪

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