「オンライン授業の鬼十則」について教えてもらった

今春から大学講師(兼任)になりました。オンライン授業、最高です。こんなに「学ぶこと」「教えること」が面白いことだったとは初めて知りました。きっとオンライン授業じゃなかったら、教育の面白さに気づかずに講師業を淡々とこなしていたかもしれません。

ぼくの担当はマーケティング関連の授業です。受講生は2〜3年生がメインで150名ほど。受講後のアンケートを読むと「他の先生にもノウハウをシェアしてほしい」「オンライン授業が好きになった」と好評で、各回の満足度も95%を超えていたので少しホッとしているところです。

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まだ授業は指折り数えるほどしかやっていませんので何も誇れるものはないのですが、Zoomなどの使い方やオンライン授業の作法にまつわるハウツーは巷に溢れかえっているので、ここではある人から教えてもらった「オンライン授業の鬼十則」についてシェアします。ぼくもその人も教育関係者ではなく門外漢なので、いい加減なものも多いとは思うのですが、少なからず僕は授業を始めるにあたって指針づくりのヒントにはなりました。1人でもオンライン授業を提供する方の何かのヒントになりましたら。


オンライン授業 鬼十則


一、会うときよりも相手に真剣であれ
オンライン授業を格下にみていないか。むしろ、人は会うほうが怠けるし、ごまかす。コミュニケーションに無自覚になりやすい。でもオンライン授業では一人ひとりと真剣なつきあいをしないかぎり、だれもあなたから学ぼうとはしてくれない。そしてあなたが真剣かどうかは生徒がよくわかっている。

一、教えるを手放せ
あなたよりも上手に物事を教える人がいたら、その人の授業を録画して任せてしまえる時代になった。果たして、あなただけが教えられることは何だろうか。そもそもそんなものはあるのだろうか。教えることを手放したとき、あなたに残ったものを信じてみよう。

一、勉強する意味を伝えよ
対面授業とオンラインライブ授業の違いは何なのか。なぜオンデマンドではなく、ライブでする必要性があるのか。そもそも、なぜ勉強をしなきゃいけないのか。それをあなたがちゃんと腹に落ちて理解していないと学生も戸惑う一方だ。すり合わせしない限り、ボタンは掛け違うことになる。

一、地点を明らかにせよ
この授業でどこに行ってほしいのか。どこまで到達できたのか。を明らかにすること。自身の変化した値を体感してもらうことが重要になる。オンラインという無味無臭の空間において、五感を活用できない学生たちは目標到着に対してとても不安に感じている。それを解消するのはあなたの役目である。

一、共に学ぶことを恐れるな
すべての人とモノゴトから学べることがある。授業に正解もなければ、正義もない。先生と生徒がお互いで学び合うことから新しい学びを発見できる。失敗こそ共有しよう。あなたが学ぶ姿勢を彼らも見ている。学校があろうがなかろうが、オンラインになろうが、どんな立場でも、どんなときでも、自分自身が学びを止めてはいけない。

一、人間を語り続けよ
オンラインは関係をフラットにする。背の高さも関係なければ、威厳ある髭も、なんなら年齢も関係ない。会社であれば、社長も新卒一年目も同じサイズのモニターに等しく並ぶように。大事なことは、モニター越しからでも人間臭さが漂ってくるか否か。匂いを感じてはじめて生徒からの信頼を得ることができるのではないか。必要なことは建前もキレイ事も捨ててあなたが恥部をさらけ出すことだ。

一、公平で開かれた評価を下せ
0と1の世界は、誰に対しても公平で平等になれる。あやふやな評価方法ではなくオープンで公正なる評価が必要だ。空気を読んだり、忖度をしても意味がない。そのために経緯も、経過も包み隠すことなく、ルールとマナーをまっすぐに伝えること。そして、評価方法のコピーアンドペーストは害悪でしかない。

一、シンプル、テンポ、グルーヴを求めよ
シンプルな問いとシンプルな答え。テンポよい進行と一体感。モニター越しである以上、生徒から比較される対象はテレビとユーチューブであることを忘れることなかれ。決して芸人になれということではない。「書き言葉」ではなく「話し言葉」を意識して語りかけることが重要だ。そして雑談は短くだ。(ちなみに、ぼくは100分間の授業で100枚程度のスライドは用意してのぞんでいます)


一、敵は眠気ではなく集中力だ
オンラインでは眠気よりも集中力の散漫が敵となる。話が面白い人は具象と抽象をいったりきたりできる。正解を提示するのではなく、寓話(アナロジー)に眠る本質を導き出してあげること。あなたの仕事はあなたの言葉を定着させるということではなく、あなたの言葉から未来への着想を引き出すことに価値がある。独創的な結論と根拠の中に具象と抽象を用いて論点をあらわにし、静かなる熱狂の連帯を生み出せ。


一、ことばにならないことばを引き出せ
チャットは学びにおける大発明だ。手を上げて、周りの視線を気にしなくても発言できれば、その場の進行を止めずに質問もできる。チャットは雑談ではない。学生たちの本音がつまったあなたへの問いかけであり、こころの叫びだ。チャットこそがオンライン授業であなたと生徒をむすびつける生命線であることを忘れてはいけない。そして、オンラインでも対面式であってもチャットは今後必要不可欠になっていく。

以上。


実家のトイレに貼ってありそうなものばかりなのですが、自分なりに噛み砕いて実践しながら試行錯誤を繰り返す日々です。

これが正しいものなんて一つもないと思うので、いろんな人のオンライン授業 鬼十則を知ってみたいものです。

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