「明」を含む140字小説3編

今季「140字小説コンテスト」に応募した小説をまとめます。

「明」を含む140字小説5編

1

月明かりに照らされた、道なき道を行く。独り暮らしのお客様にお薬を届けに。駅から3時間。お客様はご無事だろうか。歩みを速める。明かりだ。あの家だ。「遠くまでありがとうねえ」「いえいえ、お待たせしました」「あの人と暮らした家で過ごせるのもあなたのおかげよ、さあ上がって。今日はお鍋よ」

2

「明朝決行。備えて待て」練りに練った計画が、決行の日を迎える。明朝。手荷物を携えた集団が目的地に集まる。「皆の者、かかれ」一斉に懐中電灯が2階の窓を照らす。「なんだねこれは」「おはようございます社長。明かり作戦です。今日は遅刻していただくわけには」「日光浴が日課なのに、興醒めだ」

3

同級生をかばった陽葵がはぶられて3ヶ月。向日葵のような彼女から明るさが消え、そろそろ進級が危ぶまれる。私は手紙を送るのが精一杯だった。電話が鳴る。「ごめん葉月。私転校する。でも、この手紙の束は宝物だから。ありがとう」やっと前に進めたんだね。「私こそ助けられなくてごめん。元気でね」

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今季の文字「明」を使った140字小説5編をお送りしました。
応募は以下の通りです。

こちらのアカウントで、素敵な作品の数々が掲載されています。

今回、かなり悩みました。
年間4回開催、一回3作品までとなり生まれ変わった「季節の星々」。
滑り込んだものの、正直納得のいくものではありません…
今回お題が「明」とあたたかい作品が多そうなので、選ばれる作品が楽しみです。

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