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上司のわかりづらい指示は加速度的にわかりづらくなるし、部下の対応速度を上回る。(悲劇)


「〇〇を△△しておいてほしい。」

このように上司から指示があったときに、

「はい、わかりました。」

と言っておきながら、

「(は? どういうこと!?」

ってなったことは、社会人の方なら一度はありますよね。

そのあと、上司がいないところで
「あの指示って、つまりこうするってことで合ってますよね?」

「いや、違うと思う。たぶん、こういうことをやってほしいということだと思うよ。」

みたいに指示を受けたメンバーで、その上司の指示の内容を分析するという
よくよく考えたら不毛としか言えない謎の時間ってありますよね。

社内の意思伝達に悩んで、時間を浪費してしまっていて、何やってんだってなっちゃいますよね。


この上司の指示がわかりにくい問題に対して、
よくある解決策は以下のようなものがあります。

「上司に指示の目的を確認する」
「5W1Hを整理する」
「上司の視点で考える」

これらは正しいと思いますし、あらゆる書籍や記事でわかりやすくまとめられているので、
改めて私が説明するまでもありません。

じゃあ、この記事では何を書くのかというと、
なぜ、この「上司の指示がわかりにくい」現象が起こってしまうかという、
構造的な原因について、仮説を立てましたので、それを紹介したいと思います。

見当もつかないような指示をされて、
上司ってバカなの?
って思ってしまいそうになるときありますが、
冷静になって考えると、
優秀な方(そうでない場合もありますが…)だから上司なわけですよね…。

この不思議な現象を見ていきましょう。



解決しなくても構造を理解するだけで気がラクになる

解決策ではなく、あくまでも構造・原因を書いていきます。

その理由は、なぜこうなってしまうのか を理解することで、
仕事に対して、少しでも前向きに取り組むことができると考えているからです。

極端な例になりますが、戦争や犯罪者の行動などに対して、
「そんなひどいことをするなんて許せない」
ではなく、
なぜ、そのような行動をとってしまったのか
を理解することで、生じた事実は変えることはできませんが、
気持ちのざわつきを抑えることができます。

人はなにかわからないことにストレスを感じます。
そのモヤモヤがある状態のままではなく、
あ、なるほど。こういう原因があったのか
と構造を理解することで、少しでもスッキリしよう、というのがこの記事の目的です。

ですので、今回は解決策というよりも、その原因・構造にフォーカスしております。

ということで、本編に入っていきます。



あいまいな指示を生む負のスパイラル

まず、前提として、
上司は部下への指示の出し方が正しいと思っている
ということを認識する必要があります。

たとえ、部下がその指示を理解できていなくても、
自分が出した指示は正しいと思っているんです。

なぜこのようなことが起きてしまうかというと、いくつか理由が挙げられます。

部下目線では
・指示の意図がわからなくても、立場的に上司に聞きづらい。もしくは聞くチャンスがない。
・指示の内容について質問すると、一回で理解できない無能なやつだと思われそうと思っている。

まとめると、「指示の意図はわからなかったけど、質問できない。」です。

一方、上司目線では
・上司は「わからなかったら聞いて。」と言った(と思っている)うえで、部下から質問がないから正しく伝わったと思っている。

「指示は上手く伝わったと思っている。」ということです。

全ての会社、組織に当てはまるわけではありませんが、
この上司と部下のズレって結構生じていると思います。

特に社長や役員など、1つ上の上司ではなく、さらにその上のポジションの人からの指示の場合、さらにこのズレが生じやすいのではないでしょうか。

そして、このズレは冒頭記載したように、
指示を受けたあと、同じチームのメンバーや同僚に相談したりすることで
上司のいないところで指示の「深読み」が始まります。


その後、仕事を完成させ、
「上司の意図」と「部下の完成品」が同じかたちをしたものになっているか、確認することとなります。

この部下の完成品の「成功」は上司の意図に沿ったものかどうか、です。
反対に「失敗」は上司の意図に沿っていないものとなります。

ここからが重要なのですが、
失敗したときに、一般的には「部下のミス」として扱われることが多いです。
なぜなら上司からすれば、指示はちゃんと伝わっていたので、
あとは正しいかたちにできなかった部下がミスをしたことが失敗の原因だと考えるわけです。

また、他の部下は自分の指示通りに仕事をしてくれているわけですから、
自分が間違っていたとは思わないわけですね。

でも、その指示通りに仕事ができた部下も、深読みの末に導いた答えだったなんてことはよくある話ですし、それは再現性のない成功と言えるでしょう。


そして、仕事が上手く進んだ場合、
その上司は成功体験をすることとなります。

その結果、これまでの仕事に自信を持つようになり、
さらに同じようなあいまいな指示をしていくこととなってしまいます。



わかりづらい指示を生む負のスパイラル

このように負のスパイラルが完成することで、
上司の指示がわかりづらい、という状況が完成されてしまうわけです。

そして、「前も同じような指示で上手くいったから」という理由で
さらにあいまいでわかりづらい指示になっていくという悪循環が生まれてしまいます。


指示する上司はフィードバックを求めるべき

全ての会社や組織に当てはまるわけではありませんが、
似たようなことになってしまっている事象は多いと思います。

この大きな原因は、上司がフィードバックを受けていないことです。

仮に、良い指示ができたから、仕事が成功した、もしくは、指示がわかりづらかったから失敗した、といったフィードバックがある仕組みであれば、
気付くチャンスはあるのですが、なかなかそうはなっていないのが現状です。

もっといえば、指示したタイミングで、
「指示の内容がよくわかりません」とフィードバックできる関係性ができていれば、
指示する側の改善が期待できます。

これは上司から部下への指示に限らず、
自分の行動や言動、仕事、勉強、またプライベートの人間関係など、
どの分野においても、フィードバックはとても重要です。

自身がまだ学生や後輩など、ポジションの低い人はフィードバックを受ける機会が多いですが、
年齢を重ねたり、キャリアアップしたりするなかで、徐々に指摘をしてくれる人は減っていきます。

そういった意味で、ポジションが上がってきた人こそ、
自らが独りよがりになっていないか、
自身へのフィードバックを意識的に要求する必要があります。


誰だって経験を重ねるにつれて、自信を持てるようになります。

自信を持てることはとても良いことです。

ただ、その分自身の行動を顧みることをおろそかにしていると、
昔自分がやっかいものだと思っていた上司のような存在になってしまっているかもしれません。



私自身も30代ですので、自分より経験の少ない人と仕事やプライベートでも関わることが増えてきました。

この記事を書いて、
改めて自らの仕事の進め方、伝え方を再考してみようと感じました。

そして、後輩であっても積極的にフィードバックをしてもらえるような関係を構築していきたいと思いました。


※今回の記事で指示がわかりづらい(指示が伝わらない)原因が上司にだけあるような書き方をしていますが、実際は部下やその環境など、いくつかの要因があると思います。
指示は、コミュニケーションの一部です。
コミュニケーションは相互の協力があって成立するものですから、
指示の出し手、受け手の両者の協力が必要というのは大前提です。


それでは、また。










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