地方公務員の面接|具体的な志望動機の罠
「地方公務員の志望動機が「観光振興したい」は「〇〇が9割」という本くらいベタ」
という記事を以前書きましたが、意外と多くの方に読んでいただけてました。ありがとうございます。
今回はその関連として、
志望動機でよくあるミス(と私は思っている)を紹介し、
その改善策をご紹介しようと思います。
よくある志望動機
先に触れておきますが、前回書いた「観光振興したい」ネタはこすりません。笑
本題に戻りまして、
よくある志望動機として以下のようなものがあると思います。
(ここで「よくある」というのは予備校や就活関係のサイトや私個人の経験に基づく見解です。)
一見、良さそうな志望動機ですよね。
相手の立場になってみる
何事も相手の立場になって考えてみることが大切だと、子供のころ言われました。
では、今回のお相手、つまり採用担当職員の立場になって考えていきましょう。
採用する側が考えていることは
志望者が「きちんと働いてくれるか」です。
きちんと働く、というのは、
・やるべきことをできる
・長期的に働いてくれる(すぐに辞めない)
・良い人間関係が築ける
他にもあるとは思いますが、このような内容がざっくりとした基準になると思います。
採用したはいいものの、指示したこともやらず、職場の人間関係は悪化し、終いには辞めてしまっては困ってしまいますから、
これは当たり前のことですね。
それでは、公務員の仕事においてもこれらが当てはまるようにアピールをしなければいけません。
そのためには、とても大きな公務員の仕事の特徴を理解する必要があります。
3年ごとの人事異動
公務員の働き方ってご存知でしょうか。
その自治体によりますが、おおよそ2,3年ごとに人事異動があり、
これまで働いていた部署とは違う部署で働くこととなります。
人事や会計などの一般企業でもあるような部署から福祉、地域振興、土木、上下水道等と挙げるときりがないくらいに自治体の仕事は多種多様であり、
それぞれがさらに細かく分かれて、一つの部署や課になっています。
ですから、数年ごとに全く異なる分野の仕事を経験することになります。
私自身も 税務関係 → 土木関係 → 教育関係 と経験しました。
この公務員の異動を「転職」しているようなものと言う方もいますが、
納得できる話です。
どんな人材が求められるか
ここまでで、
①採用する側が求めること = 「きちんと働いてくれるか」
②公務員の働き方 = 「数年ごとに全く異なる分野の仕事を経験する」
と紹介してきました。
これら2つを組み合わせると、どんな人材が公務員に求められると考えられるでしょうか?
ずばり答えは「なんでもできる(できそうな)人」となります。
こう書くと「能力が高い人」だと誤解されそうなのですが、
ここで主張したいこととは異なります。
(もちろん能力が高いに越したことはない)
違う言い方をすると
「仕事の内容に強いこだわりがある人」は採用しづらいということです。
つまり、志望動機でスゴイ熱量で、ある特定の分野への高い意識をアピールされてしまうと、返って採用しづらいんですよね。
要は扱いにくい人材だと思われてしまうんですね。
例えば先ほど挙げた例ですと、
子育て支援をしたいということを強調しすぎてしまうと、
「(もし、違う部署に配属になった場合にもきちんと働いてくれるだろうか…)」
と不安に思われてしまう可能性があるわけです。
視野が広そう、柔軟に対応できそう と思ってもらえたら勝ち
じゃあ、志望動機どうしたらよいのかと。
予備校からは具体的なエピソードを用いて、ほかの人とは異なる説得力のある志望動機にするように言われているけど。
と悩まれてしまう方もいると思います。
結論としては、視野が広く、柔軟に対応できそうだなと思ってもらうことが大切になります。
具体的には「『広く』→『狭く』の順番で志望動機を話す」です。
志望動機で最初から狭い分野の話をしてしまうと、
その部分が印象付いてしまい、先ほどのこだわりが強いと思われてしまう
悪いパターンになってしまいます。
そこで、まずは広い範囲で自分が取り組みたいことを話し、
そのあとで個別の話をしていくことが大切になります。
意外と順番が大切なんです。
「キャバ嬢が昼間大学に通っている」と聞くと、なんかしっかりした子なのかなと思いますが、
「女子大生が夜キャバクラで働いている」と聞くと、反対に良くない印象を感じますよね。
(たとえ悪いですかね…。笑)
実際に志望動機を作る
それでは、気を取り直して、実際に志望動機を作っていきます。
まずは、今手元にある内容の薄い具体的な志望動機を抽象化してみることから始めましょう。
先ほどの「子育て世帯への補助金の制度に関わりたい」という志望動機の場合、これを抽象化します。
抽象化とは、具体化の反対の意味なので、
簡単に言うと広い概念でとらえるということです。
今回の「子育て世帯への補助金の制度」は抽象化すると、どうなるでしょうか?
子育て世帯への補助金の制度は、子育てしやすい環境を作るためにある制度ですよね。
なので、「子育て世代が住みやすいまちづくり」と言い換えることができると思います。
今度は反対に「抽象化した内容を具体化」していきます。
「子育て世代が住みやすいまちづくり」は
例えば「保育人材確保」や「子育て世代のキャリア支援」などが挙げられると思います。
こんな風に具体と抽象を繰り返していくと、
深みのある内容になってきます。
それではこれを最後に志望動機へと変えていきましょう。
まずは、「広く」からでそのあと「狭く」です。
これはあくまで一例ですし、これが正解というわけではありません。しかし、具体的な1つの話だけでなく、広い視野を持っていること、それらに関心があることをアピールできます。
そして、これは様々な分野の仕事に関わっていく公務員として必要とされる要素ですので、上手くアピールすることができれば、
他の志望者と差を付けることができます。
まとめ | 公務員を辞めてもなお感じる公務員の魅力
公務員の仕事は多様な分野なうえ、関係者も老若男女と幅広く、とても複雑な構造をしています。また、時代の変化や災害などへの急な対応も求められる仕事です。
そういった意味で公務員の仕事は視野を広げることができる仕事です。当たり前のような日々の生活は実は多くの人に支えてもらっていることに気付くことができます。
これは公務員で働くメリットの大きな一つだと思います。
この記事をここまでお読みいただいている方はきっと公務員に興味がある方だと思いますが、せひとも志高く公務員にチャレンジされてみてください。
少しでも参考になれば幸いです。
それではまた。
P.S. 私は地方公務員を退職しておりますので偉そうなことは言えませんが、本当に公務員の仕事は楽しかったです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?