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『幸せの練習』 〜 「令和」の時代 は「思いやり」を大切に〜

先日、恵比寿の「まちのお寺の学校」寺子屋ブッダにて、井上広法さん主催「幸せの練習」というマインドフルネス・ワークショップの第2回目に参加してきました。
まず、いつもお世話になっている井上広法さんについてを簡単にご紹介すると、テレビ朝日のぶっちゃけ寺の番組で有名な方ですが、本来の姿は、以前より接する機会が減ってきたお寺というコミュニティをもっと身近な存在にしようと、「現代的な寺の役割」を再定義されている素敵なお坊さまです。仏教に加えて臨床心理学も勉強されており、今注目されている心の知性(エモーショナル・インテリジェンス)の訓練であるマインドフルネス(瞑想)を、仏教と臨床心理学の観点でわかりやすく伝えてくれる稀有な存在です。

今回のテーマは「思いやり(コンパッション)」について。

最近では「共感力」のような言われたり、ビジネスや教育、福祉など、様々なところで大切な「こころの知能指数(EQ)」とも言われています。
(以下、先日発売の参考図書です)

今回はワークショップでの学びを私なりの気づきを織り交ぜながらシェアしたいと思います。

「忙しさ」で「思いやり」を忘れかかっている現代の日本人 

「思いやり」という文化は、「おもてなし」「もったいない」と同様、我々日本人が世界に誇れる、日本文化・国民性(アイデンティティ)です。しかしながら、昨今のスマホ漬けの慌ただしい毎日、SNSやメール、インターネットで忙しい毎日。目の前のことで精一杯になってしまい、周りの人への「思いやり」を忘れがちになっているかなぁ、と感じています。
(満員電車でそんなこと感じたことありませんか?) 

あなたが「幸せ」を感じるとき

  最近、我々日本人が本来持っていた「思いやり」という素晴らしい文化ですが、相手を「思いやる」という行為、実は、我々自身も「幸せ」を感じることのできる行為であることをご存知でしょうか?

 今回、「寄付をした時」の話を例にあげて話をしたいと思います。
もしあなたに「2種類の寄付」をする機会があったとしたら、あなたは寄付をした後、どちらの方が「幸せ」を感じることができるでしょうか?

《2種類の寄付をした時に、あなたはどちらの方が「幸せ」を感じるか?》1)友人に頼まれて体の不自由な方の手術代のために10万円の大金を寄付した2)「あしなが募金箱」を募る中学生に、手持ちの100円だけ寄付したところ、去り際にその子から笑顔で「有難うございました!」と感謝してもらった

すぐに分かったかもしれませんが、答えは2)ではないでしょうか?
それは何故か?。理由は、金額に関わらず「善い行い」をした後、「ありがとう」という感謝の気持ちを返してもらったから、ではないでしょうか?
   もちろん、「寄付」をすること自体「思いやり」としてはどちらも素晴らしいことですが、、1)の行為も必要な「思いやり」です。
でも、「寄付をしたあなたが「幸せ」を感じる瞬間」、という点で考えると、人は他人のために「思いやり」ある行為をした後、人から「感謝」をされたり、そんな人間どおしの「こころのキャッチボール」が生まれる瞬間に幸せを感じるのではないでしょうか?
つまり、「幸せな」な思いやりとは、

“「幸せな」な思いやり”とは? ・利他な行動に対して得られる心の充足感  ・利他な気持ちに対して、人から「感謝」される喜び

ということになるわけです。

「思いやり(コンパッション)」を科学する

  では少し観点を変えて、「思いやり(コンパッション)」が何故「幸せ」な瞬間を生むのか?、少し科学的観点で考えたいと思います。
皆さん、愛する赤ちゃんや大好きなペットを可愛がっていているうちに、こころが癒される、そんな「幸せ」を感じる瞬間ってありませんか?
 これもまた「思いやり」のひとつです。
 この時の「幸せ」な瞬間、脳科学的に言うと「オキシトシン」という脳内からの愛情ホルモンが分泌されている、と言われています。この脳内愛情ホルモン「オキシトシン」は別名、「幸せホルモン」と呼ばれたりもします。
例えば、子供を出産した時、お母さんの脳からこの「オキシトシン」が大量分泌されるそうです。また「オキシトシン」は男性でも同様に分泌される、ということが脳科学の研究によってわかっています。
では、実際にオキシトシンを感じていただくために、ある感動的なyoutube動画を見ていただきたいと思います。
(所要時間 約10分近くあるので、時間のない方は飛ばしても結構です)

小学生 受賞作文     松橋一太くん「天使のいもうと」発表 より(youtube)

おそらく多くの方々が、一太くんの「ありがとう」の一言から、何だか満たされた気持ちになったのではと思います。でも、よく考えてみてください。この話は、あなた自身の体験ではありません。
でも、いつの間にか脳内ホルモンが分泌されるのです。
実は、ここにもう一つの科学的な理由が隠されているのです。脳科学の世界では、これを「ミラーニューロン」と言います。視覚から入った情報から脳内で過去の体験や感情の記憶が無意識のうちに結びついて、自然に身体が反応してしまう訳です。とても不思議ですよね。

もう一つ例を挙げてみます。下の質問の答えを感じてみてください。

1)何だか「気持ちいい(快感な)」気持ちになる2)何だか「痛い」ような気持ちになる3)特になんとも思わない(普通と変わらない気持ち)

人それぞれあるかもしれませんが、大半の方は2)の「痛い」ような気持ちになるのではないでしょうか?これもミラーニューロンによる、視覚から得た情報が過去の記憶・経験を辿って、経験していないのにあたかも経験したかのようになる脳内現象です。つまり、人間の脳は実際に経験しなくても、心と身体は繋がっているのです。以上をまとめると、

<<「思いやり」の脳科学的なメカニズム>>・オキシトシン ー>脳内からでてくる愛情ホルモン(=幸せホルモン)である・ミラーニューロンー>直接体験していなくても、視覚情報で相手の気持ちを感じとり、身体反応が起きる脳(こころ)の現象。

「思いやり」とは、相手を見た時に相手の気持ちを感じとる力、そして実際に行動することで「幸せ」を感じることのできる大切な「共感力」なのです。

「思いやり」の反対の、闘争・逃走本能(脳)とは何か?

ここまで、「思いやり」の話をしてきましたが、反対に「思いやり」を阻害する要因とは一体なんでしょうか?
人類の進化の歴史を辿ると、「魚類〜両生類〜爬虫類〜鳥類〜ほ乳類」と進化してきたわけですが、一番根幹にある本能(脳機能)は、相手の攻撃から身を守り生命を維持しようとする本能、これを「原始脳」と言います。「怒り、不安、恐怖」の感情がこれにあたり、脳の一番奥深くにある「扁桃体(へんとうたい)」という箇所がそれにあたります。

(写真の握りこぶしを「脳」だとすると、握った親指(一番奥)にあるのが扁桃体の位置です)
人間は進化を遂げて、頭の前方表面の方にある前頭前野(ぜんとうぜんや)という箇所が発達したことで、理性コントロールできるようになったのですが、それでも時々、血圧が下がり、心拍数が上がり、コントロール不能になる時があると思いますが、これを「扁桃体ハイジャック」といいます。

<扁桃体がハイジャックされた瞬間> ・相手に対して、いわゆる「キレる」瞬間 (0.5秒で怒りMAXへ)・不安や恐怖心がおこる(「血の気が引く」といいますね)※ちなみに、この脳機能が制御できないのがパニック障害や不安障害です

「思いやり」をきちんとできるようになるためには、

1)怒り・強風・不安→脳の「扁桃体」の機能を抑制すること     2)理性→脳の前方にある「前頭前野」の機能を活性化させる

こころの訓練、マインドフルネス(瞑想)が必要になってくるわけです。

あなたの「思いやり」の力を鍛えるには?

ここまで、「幸せ」を感じる瞬間や「思いやり」の脳科学的な側面から説明してきましたが、では「思いやり」の力をつけるには、一体どう鍛えていったら良いのでしょうか?

まず、これまでのまとめの全体像をイメージ画でまとめてみました。

<マインドフルネスから「思いやり」の力へ>1: マインドフルネス(心の鍛錬)によって、「心を整える」2: 日々のマインドフルネスによって、・ 前頭前野(理性制御)が活性化されて、より理性的になる  ・扁桃体(怒りや恐怖の本能)が抑制され、本能な情動が制御できる3: 脳科学的に、 ・ミラーニューロンによって、相手の気持ちにより「共感する」・他者を「思いやる」気持ちによって脳内から「愛情ホルモン」の オキシトシンが分泌される

では、「思いやり」の気持ちは、どのようにしたら鍛えることができるのか?
ここで大切な訓練が「慈悲の瞑想」と呼ばれる、「思いやり」の瞑想です。
マインドフルネス(瞑想)のベースは自分自身の心の鍛錬がベースですが、ここでは他者へ心を向けて(イメージ観察して)マインドフルネスを実践してゆきます。(観察瞑想と呼ばれるマインドフルネスです)

<<慈悲のマインドフルネス瞑想>>(自分に対して)私はしあわせでありますように私の悩み苦しみがなくなりますように私の願い事が叶えられますように私は幸せでありますように(家族や親しい人に対して)私の親しい人はしあわせでありますように私の親しい人の悩み苦しみがなくなりますように私の親しい人の願い事が叶えられますように私の親しい人は幸せでありますように(全ての人に対して)生きとし生けるものがしあわせでありますように生きとし生けるものの悩み苦しみがなくなりますように生きとし生けるものの願い事が叶えられますように生きとし生けるものは幸せでありますように

目を瞑って、相手をイメージしながら、リラックスして坐骨に重心を置いて、深呼吸しながら、心の中で声を出して(できれば小さな声で呟いて) 瞑想をしてみましょう。

先程の心満たされたような気持ちになれたのではないでしょうか?
これを毎日、数分間でいいので繰り返し実践して行くと、自然と相手に対して寛容的になり、「思いやり」の力がついてくるようになります。

仏教の教えー「自利利他」の精神

最後に忘れてはならないこと。それは仏教でいう「自利利他」の精神です。
仏教の教えでは、まずは自分に愛情を補充することが大切だと言われています。
「情けは人のためにならず (人は自分も含む)」諺にありますが、まずは「自分を大切に」が第一です。また心理学の世界でも「セルフコンパッション =自己効力感」という言葉がありますが、まずは自分があってこその他者です。
飛行機や緊急の救助でも、まずは自分の安全を確保するのが優先、さもなければ助けられない、といわれるのは、そういう理由です。

そして、今回のワークショップの最後に「BEAUTIFUL NAME」という名の素敵な「自分への思いやり」の瞑想を実践がありました。
これは、自分に対して、「自分の様々なニックネーム」を使って自分自身に対して「慈悲の瞑想」をおこなう訓練です。「XXXくん、・・・してくれてありがとう」というように、自分自身に呟くだけでも、なんだか心が満たされた気持ちにになれますよ。

今回の井上広法さんの「幸せの練習」、とても楽しい「幸せ」の学びです。仏教というと「宗教っぽい」と誤解されがちですが、我々日本人の生活や多くの諺には、実は沢山の仏教や神道の考え方が入っています。
そして現代は先の見えない時代だからこそ、こうした「日本人の心」を大切に、毎日の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?

興味がある方は、こちらの井上広法さんの本より是非学んで、理解を深めてみて下さい。(今回のワークについても書いてあります)

また、井上広法さんによるマインドフルネスワークショップや他、お坊さんによる各種素敵なワークショップが開催されていますので是非仕事・学校帰りに足を運んでみてください。

↓詳しくはこちらのリンクより 「まちのお寺の学校」寺子屋ブッダ(恵比寿)

それでは、皆さんの毎日の生活が幸せになりますように。。

You Only Live Once...(YOLO - - - 人生は一度きり、大切にしましょうね)

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