小説公募という名の青春、あるいは。2(~2年目)

※※本記事は続きものの「2」番目の記事になります。
興味を持ってくれた心優しい方は、「1」の記事をまず読んでいただくことをおすすめします。


一年目 後半

創作、界隈……?
この時よみいに衝撃走る。だってそうでしょう。こちとらずっと孤独で死にそうになりながら創作続けてきたというのに、創作を共通言語として仲良ししてる界隈がこの世に存在する?
けしからん。バカにするのも大概にしろよ。こちとら真面目にやってるのにサークル気分でやりやがって。
……。
…………。
……………………。
………………………………いいから俺も混ぜろよ。

といった具合で、僕は電撃一次通過というできたてほやほやの戦績を引っ提げて創作界隈に殴り込みにかかります(twitterアカウントを作るだけともいう)。とはいえ、長年SNSすらろくに使ってなかったのでいきなり運用の仕方から迷います。というか、そもそも誰をフォローすればいいんだ?

あれこれ悩んだ末に、ひとまず僕は「電撃一次」で検索をかけ、同じ土俵で戦うライバルたちをフォローすることにしました。
五十人ほどフォローして、出来上がったタイムラインを眺めて一言。

「楽しい……」(陰キャ特有の腹から声出せ案件)

まるで、毎日が祭りのようでした。つい数日前まで凍てつく孤独で指を切りそうになりながらキーボードをタイプしていた僕にとって、そこは天国でした。絵に描いたようなタイプの陽キャはおらず、みんな穏やかで、でも不思議とツイートはウィットに富んでいて、とにかく住みやすい水だったのです。もうここにいられるなら創作とかしないでいいや。仲間内で一生くだらない話してたい。そもそも創作って何それ、おいしいの? 
そう思い始めた僕は、しかしとんでもない事実に気付きます。

創 作 界 隈 な ん だ か ら 創 作 し な い と 人 権 な い の で は?

雷に打たれた思いでした。そう、奇しくも僕は楽しいコミュニティを失わないためにも、創作から逃げられなくなってしまったのです。
TLのみなさんは毎日のように進捗状況をツイートしていて、毎週のように選考通過報告が飛び交い、僕ひとりだけアニメの話をし続けるだけなのは少し気が引けました。負の原動力とでもいうのでしょうか。とにかく、僕にとっては創作界隈に居場所がなくなってしまう、という理由が創作をやるひとまずの動機になりました。だっておら、この村さ追い出されちまったら友達いなくなっちまうもん……。

話は変わり電撃。電撃大賞といえば、(昔は違ったらしいですが)二次選考と三次選考の結果が同時に発表されます。八月十日に。
僕が優先的に電撃サバイバーをフォローして回っていたのも会って、八月になると心なしかTLがそわそわと浮足立っていくのを間近で感じながら、一緒に結果を待ちました。

実はこの頃、僕は電撃大賞スレに張り付いていました。スレには毎年雑誌をフラゲした人が前日に結果を乗せてくれる文化がありました。なので、僕は九日の夜、スレが更新されるのを更新連打で待ちました。

その時は、突然訪れました。

結果は三次通過。

外は台風が接近する大雨暴風。僕は傘を投げ捨てて街を走り抜けました。絶叫しながら。ピロウズの「funny bunny」を聴きながら。「君の夢が叶うのは 誰かのおかげじゃないぜ」。よみいとかいう歌詞に自分重ねニキ乙。お前まだ夢叶えてねえから。

とにかく、ここで確信が生まれます。

あ、これ、受賞するな。

俺、分かるんだ。流れってやつ? まあ、応募原稿読み返したらさ、これがめちゃくちゃ”面白い”の。だから、俺達はもう、大丈夫だ――――。


はい。これもワナビあるあるですね。高次まで残ると、調子乗って受賞以外見えなくなる。いや、マジでそうなんすよね。なんでだろうね。受賞確率まだここから十分の一とかなのにね……。

まあ、結果から言いましょう。四次落選でした。
電話が期間中に来なかったことから薄々感づいてはいたんですが、それでも最後まで心のどこかでは、「俺には連絡忘れただけだろ」と本気で思っていました。
公式発表、最終候補十人の中に自分の名前はありませんでした。

それを見て、やっと実感しました。ああ、俺、落ちたんだ。届かなかったんだ。自分の名前がないあの感覚、なんなんでしょうね。本気でやればやるほど、「あっけない」感が強いというか。まあ、なんだかんだみんな我が子(作品)には自信があるんすよ。

とはいえ、四次落選だからまあ受賞ラインすれすれだったのかな、なんて思うじゃん。全然そんなことなかったね。え? なんでそんなこと分かるのかって?

選評ってやつがありましてね。電撃大賞の場合は一次通過者全員に送られるんですが、これがまた優れもので、ストーリーやキャラクター、文章力など各項目別にABC評価してくれるんですよ。だから、自分がどれだけ、どうして届かなかったかまで大体わかるんです。

僕の世界破壊爆弾『音楽ミイラに花束を』の評価は要約するとこうでした。

「設定はいいね。それで四次までは進めてあげたよ。でも、それ以外は……まあ……ね……(精一杯のフォロー)」

受賞間違いなしとか考えてたのが恥ずかしくて死にそうでした。選評、マジで全部納得できたんですよね、書いてあること。だからこそ、顔が火を噴きました。

僕の公募生活一年目は、こうしてビターエンドしたのでした。


二年目


二年目なんですが……えー……特筆すべきところは特にありません。
なんかあるやろ、って感じなんですが、マジで何もありません。

創作にもある程度慣れちゃって恥ずかしエピソードもなければ、公募戦績も一年目と同じ(四次落選)で華がないし……。

作品で言えば、長編二作目『オトナ前夜のキャラクター・キャロル』という作品を書きました。内容としては、「大人になるのに資格が必要になった世界で、資格取得期限が迫ってもなお資格が与えられない男女二人が、世界の秘密に迫っていく」話です。いや、設定はいいのよ。設定は。(自画自賛)

まあ、案の定四次落ちだったよね。設定だけだったからね。

強いて言うなら、公募戦績何一つ進めてないのに、創作界隈の中の立ち位置がめちゃくちゃ中心寄りになりました(自分で言うな)

友達が増えたのも大きいですし、何より25回(一年目)の電撃四次組がめちゃくちゃ仲良くて、そこがある種幅を利かせてたので(悪い意味ではない)僕もついでに界隈の中心の輪に入れてくれたんですよね。


ということで、「よみいはるかワナビ界隈成り上がり物語」次回予告。

……そんな話じゃなかったね。じゃあね。

3につづく……

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