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北欧アイスランドのおしゃれ元気な絵本5選(2023年版)

北欧の洗練されたおしゃれな絵本が日本でもブームですが、そのなかでもアイスランドの絵本は愛嬌たっぷりでひと味違う。おしゃれ元気な魅力をピックアップしてみました。

元気?なまけ者?寒さをしのぐためなら何でもやっちゃうエネルギー!

 寒いアイスランドで、とにかく寒がりやの女の子スティーナ。夏でもマフラーを巻き、冬は外に出るなんてもってのほか!お部屋で暖かく過ごすため、ありとあらゆる準備をしています。

ラニ・ヤマモト (作), 朱位 昌併 (訳) 『さむがりやのスティーナ』平凡社 2021

 あったかニットに特製ゆたんぽ。ベッドから出なくて済む道具も発明します。スティーナの作る、ひとつひとつの道具や装置は、とにかく芸が細かくて、笑いがこみ上げてくるようなものばかり。それでも寒くてついにはお布団から出られなくなったスティーナのもとに、ある日、外から飛び込んできたのは・・?!
 子どもも大人も楽しめて心があたたかくなる絵本。絵本ページの紙の質感もイラストレーションの色合いも、洗練された作品です。

熊?!トトロ?!アイスランドのかいぶつたちの絵本

 かいぶつというより、熊みたいなトトロみたいな不思議な姿をしたキャラクターの登場!「おおきいかいぶつ」と「ちいさいかいぶつ」の二人(二匹?)が主人公です。物知りで器用な「ちいさいかいぶつは」は何でもできるのに、「おおきいかいぶつ」は何にもできなくて、クヨクヨ。

アウスロイグ・ヨウンスドッティル(絵・文)、 カッレ・ギュットレル(文)、ラーケル・ヘルムスダル(文)、朱位昌併(訳)『おおきいかいぶつはなかないぞ!』ゆぎ書房 2022

「でも ぼくはなかないぞ、だって おおきいかいぶつだから」と涙をこらえつつ最後は大泣きする姿と、ちいさいかいぶつの意外な弱点もユーモラス。元気カラーの絵もキュートで、3才くらいから読めそう。

かいぶつなのに、おばけがこわい?!

これも「かいぶつ」(アイスランド語や周辺諸語ではskrimsliと言うらしい)シリーズの1冊です。屋根の上の物音にビクビクするちいさいかいぶつ。「ぼくにはこわいものなんてないさ」と強がるおおきいかいぶつ。

アウスロイグ・ヨウンスドッティル(絵・文)、 カッレ・ギュットレル(文)、ラーケル・ヘルムスダル(文)、朱位昌併(訳)『まっくらやみのかいぶつ』ゆぎ書房 2022

 物音の正体は、ヘビかな?どろぼうかな?きっと、おばけだ! おおきいかいぶつとちいさいかいぶつは、力を合わせて追いはらいます。でも本当におばけだったのかな?
 かいぶつなのに、魔法の力もないし、強くもない。ミョーに人間的な姿に笑ってしまいます。

神話のようなスケールの大きさ。トロルの恋の物語

 原作は1981年、邦訳は1993年に出版された作品で、アイスランドの伝説と自然を大きなスケールで描いた、面白くてちょっぴり悲しい絵本。
 この絵本に出てくるトロルたちは、とってもなまけもの。でも、巨大なトロルが100年に一度掃除をすると山や岩が崩れ、1000年に一度料理をすると火山が爆発する。だから、トロルがなまけものでちょうどいいんですって。

ヘルガドッティル(作)、ピルキングトン(絵)、やまのうちきよこ(訳)『女トロルと8人の子どもたち アイスランドの巨石ばなし』偕成社1993

 ある日、女トロルのフルンブラは、みにくい男トロルに恋をし、やがて8人の男の子を産みます。毎日お乳をあげて一生懸命育てるフルンブラ。ある日、お乳がとまると同時に、父親である男トロルのことを思い出します。
 日が暮れてから、8人の子どもを連れて、男トロルのもとへ出発するフルンブラ。そして、短い春の夜が明けたとき・・・。

 現代の創作絵本では、あまり見ない展開ですが、自然と対峙して生きていた昔の人々の厳しい暮らしを垣間見るかのよう。そして、女トロルが子どもたちに注ぐ大きくて深い愛情が胸に沁みます。

いつも楽しいことを探してるグンニョーナおばあちゃん、いざ町へ!

 田舎の広い農場で、牛やメンドリや羊、猫といっしょに暮らすグンニョーナおばあちゃん。屋根には芝生が張ってあって、花が咲いています。あるとき、おばあちゃんは病気になり、田舎から町へ出てきます。

ブライアン・ピルキントン(絵)、インギビョルグ・シーグルザルドッティル(作)、はじあきこ(訳)『やねの上にさいた花』さ・え・ら書房 2006

 お話の主人公は、おばあちゃんが住むことになったマンションの向かいの部屋の「ぼく」。グンニョーナおばあちゃんの新しい部屋は真っ白な壁があるだけで、つまらなかったけど、ベランダからは海と山が見えました。そして、おばあちゃんはすぐに活動を開始します。種をまいて花を育てます。田舎からメンドリたちも連れてきちゃいます。もちろん、町へ遊びに行くことも忘れません。そして「ぼく」は、いつもおばあちゃんと一緒にワクワク。

 文章の多い絵本だけれど、ぐいぐい引き込まれて読みふけってしまいます。あれ?そういえば、おばあちゃんの病気はどうなったんだろう?!


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