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親とゆっくり旅行するべきかもと思った話〜椹野道流『祖母姫、ロンドンに行く!』〜

かおりさんへ

こんにちは。
先日大きな本屋さんでちょっと読んだらものすごくおもしろくて、速攻図書館で予約したこの本について書こうと思います。椹野道流『祖母姫、ロンドンに行く!」。最近旅エッセイづいてるな、私。


椹野道流は『最後の晩ごはん』シリーズや『男ふたりで12ヶ月ごはん』シリーズがわりと好きなのですが、お医者さんだったのね…。びっくり。

正月の親戚の集まりで英国留学の思い出話をした孫娘に、祖母が「一度でいいからロンドンに行きたい、お姫様のような旅をしたい」と言い始めたことから始まる波瀾万丈の豪華イギリス旅行。フィクションともノンフィクションとも思えるエッセイは読み始めたら止まらない。

大英博物館、ロンドン塔、ハロッズにフォートナム&メイソン、ロンドン三越にオリエント急行、そして憧れのアフタヌーンティー、牡蠣を食べまくり、祖母姫のご要望はエスカレートしまくり、ともかくおもしろい。そして、五つ星ホテルの「そんなことまでしてくれるのか?!すごいな五つ星ホテル」としか言いようがないバトラーのティムをはじめとするホテルスタッフのおもてなし。孫娘を年若い秘書と認識し、事あるごとにサポートしてくれる(最後の方はもはやフィクションでは?!と思うほど)話が好きでした。ああ!本場のアフタヌーンティを私も食べてみたい!現実を忘れ、一緒に祖母姫にお仕えしながら旅をしている気分になります。

わが家の末っ子ジロは、私のすすめた本は基本的に読まないんだけど(付き合いで2−3ページ読んだらマシ)、この本はおもしろかったらしく最後まで爆笑しながら読んでいました。どうも、オリエント急行に興味を持ったらしい。「ねえ、オリエント急行ってなんでそんなに有名なの?」と言うので「それはさ、アガサ・クリスティだよ」と教えてみたけど、ピンときてなかったわね。そうかあ、若者はアガサ・クリスティ知らないのかあ(うちの子だけか?!)と若干ショックを受けました。

「でっかいスコーンにクロテッドクリームたっぷりつけて食べたいなあ」とも言ってた。まあ、それには私も同感!そして、最後のページを「またね!おそぼちゃん!」と読み上げてたわ……。「は?おそぼちゃん?!」ああ……「ねえ、ジロ!それ、おばあちゃんだから!」まあ、全編を通して祖母姫だから無理もないが、最後は私も大爆笑でした。つい、天然ジロの話になってしまいました。

それはそうと、この本はおもしろいんだけど、ところどころ祖母姫の芯の強い部分というかしっかりした考え方と本質を見極める洞察力が発揮されていて、孫娘とふたりの珍道中では終わらないの。孫娘の心をグサグサ刺す金言が印象に残ります。

ああ、私も家族と一緒ではなく親とこんなふうにふたりで旅に行く時期が来てるかもしれないと思いました。親が本当は思っているけど伝えられないこと、こんなことに興味がある人だったんだと知ること、お互いに元気なうちにそんな時間をもつべきかなと。かおりさんはそんな旅はしたことがあるかしら?今度教えてね。

2024年2月23日
やすこより


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