読みたいふたり

本好きのふたりが、おすすめしたい本とその本にまつわる話を往復書簡の形でゆるーくご紹介。…

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本好きのふたりが、おすすめしたい本とその本にまつわる話を往復書簡の形でゆるーくご紹介。毎週金曜日にどちらかからの手紙が届きます! かおりとやすこ

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はじめまして

本が好きな、かおり(左の方)とやすこ(右の方)のふたりで書いていくnoteです。知り合って約15年の私たちが、好きな本の話、おすすめしたい本の話を往復書簡でご紹介。毎週金曜日に更新します。不定期でおしゃべり企画なども実施予定。 本好きな友達の雑談を聞きに来るみたいな感覚で、気楽に読みに来ていただけたらうれしいです。 どうぞよろしくお願いします。 かおり:古い建物を見るのが好き。手芸が好き。2年前からピアノを練習中(全くの初心者)。好きな作家は津村記久子、伊坂幸太郎、木皿泉

    • おひとりさま力を鍛える話~カマタミワ『ひとりぐらしもプロの域』

      やすこさんへ 前回のお手紙がイタリア人の話だったので、真っ先にヤマザキマリさんの『モーレツ!イタリア家族』が思い浮かんだんだけど、私は当面海外に行く予定もないことだし、逆に遠い異国の文化に触れずとも、自宅でひとりでも楽しいことたくさんあるよ、って本を紹介しようと思います。 この春から新たに一人暮らしを始めたばかりで不安や寂しさを感じている人も、一人暮らしって実はめちゃくちゃ楽しいのでは⁈と思える本です、多分。 カマタミワさんのひとりぐらしシリーズは2024年4月現在までに

      • しゃべりたいふたり〜第7回 脚本家に朝ドラ『ブギウギ』の裏話を聞いてきた

        かおり:ちょっと前に万城目学先生の講演会に行った話をここでしたわけだけど(しゃべりたいふたり第4回)。。。 やすこ:面白かったね!そうそう、あの時サインしてもらった万城目先生の『八月の御所グラウンド』が直木賞獲ったね! かおり:ね!いや〜、めでたい。万城目先生おめでとうございます! やすこ:おめでとうございます。なんだか我々も嬉しいよね かおり:ホント。そしてやっぱり面白いものを書く人は話も面白い。ということで、またしても作家さんのトークイベントに行ってきました や

        • イタリア人マインドをまねしたい!の話〜宮嶋勲『最後はなぜかうまくいくイタリア人』

          かおりさんへ こんにちは。 『キューバの話』で今年はちょっと遠くに行くつもりだと書いたんだけど、実はシチリア島に行こうと思ってるんだよね。前回イタリアに行ったのはなんと!四半世紀前。まあ、言ってみればメモリアルイヤーなのでもう今年いくしかない!と思いまして。 ガイドブックももちろん買ったんだけど、何かイタリアに関係する本が読みたいなと思ってこんな本を読んでみました。宮嶋勲『最後はなぜかうまくいくイタリア人』 いやあ、これがおもしろかった。イタリア人、好きだなあ。まあ、一

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          誰かに話したい人間関係の話~南綾子『死にたいって誰かに話したかった』

          やすこさんへ 新年度が始まって2週間、そろそろ疲れが溜まるころかな? 今年は4月1日が月曜日だったから、のっけから結構ハードだったね。やすこさんみたいに環境が変わると尚更でしょう。 この年になるともうそうでもないけど、学生時代は4月って毎年憂鬱だったなと思い出します。新しいクラス、新しい人間関係、人見知りの私は考えただけで嫌な緊張感でどんよりしたものです。 おばさんになってよかったことは色々あるけど、いい感じに鈍感になってあまり人見知りしなくなったのは、確実にそのひとつだ

          誰かに話したい人間関係の話~南綾子『死にたいって誰かに話したかった』

          働くということは…の話〜額賀澪『転職の魔王様2.0』

          かおりさんへ こんにちは。 実は、4月1日付で8年ぶりに異動することになったの。今の会社では30年弱働いているんだけど、全くやったことのない仕事をすることになりそうで、結構ドキドキしています。そんなこともあって、今日は最近ドラマにもなった額賀澪『転職の魔王様2.0』について書こうと思います。 『転職の魔王様』はだいぶ前に読んで、結構好きな話だったの。図書館にふらっと行ったら続編があったので、早速借りてみた。 グッときたのは第4話の「優等生は、社会に出たら気をつけないとい

          働くということは…の話〜額賀澪『転職の魔王様2.0』

          定番だけど面白い、最後の晩餐の話〜オカヤイズミ『おあとがよろしいようで』〜

          やすこさんへ この往復書簡を始めてみてしみじみわかったけど、やすこさんは食べ物の話が好きだよね! だったらこういう本も好きかな? オカヤイヅミさんの『おあとがよろしいようで』 オカヤさんは食べるのも呑むのも好きで、大食いではないけどずーっと食べ続けていたい、食べ終わるのが嫌というタイプの食いしん坊。何事も終わるのが嫌で、だから人生も終わるのが嫌。死ぬのがものすごく怖いんだって。 『人生最後に食べたい物』も「せめて死ぬのが怖くなくなるもの食べたい(でも何かはわからない)」

          定番だけど面白い、最後の晩餐の話〜オカヤイズミ『おあとがよろしいようで』〜

          神保町で古本と美味しいものを堪能したい!と思った話〜原田ひ香『古本食堂』〜

          かおりさんへ こんにちは。 かおりさんは神保町の古本屋巡りをしたことはある?私は、ないんだよね……。この本を読んで、絶対に神保町で古本屋巡りをして、美味しいものを堪能したい!と思ったわ。今日は原田ひ香『古本食堂』について書きたいと思います。 北海道の帯広で静かに暮らしていた珊瑚さんが、神田神保町の古本屋さんになる話。古本屋を営んでいた兄の滋郎さんが急逝し、お店とビルを相続することになるんだけど、珊瑚さん家族の人間関係を紐解きつつ、古本と神保町の美味しいものが満載の本なんだ

          神保町で古本と美味しいものを堪能したい!と思った話〜原田ひ香『古本食堂』〜

          しゃべりたいふたり〜第6回 本屋さんに出かけよう_大型書店編〜

          かおり:さて!MARUZEN&ジュンク堂書店新静岡店に着きました。ジュンク堂が好きって言ってたけど、どんなところが好きなの? やすこ:そうねえ、棚かな。 かおり:え?棚って本の並べ方とか選書とかそう言うこと? やすこ:ううん。単純に本棚の感じ。ぜーんぶ木じゃんね。なんか落ち着くんだよね、ジュンク堂に来ると。 かおり:本棚の色とか?そんなこと考えてみたことがなかった。お店によってそんなに違いある?。 やすこ:うん。結構違うよ。なんかこの本棚好きなんだよね。そうそう、ジ

          しゃべりたいふたり〜第6回 本屋さんに出かけよう_大型書店編〜

          潔い生き方に憧れる話 ~宮島未奈『成瀬は信じた道をいく』~

          やすこさんへ NHKあさイチの内田也哉子さんの出演回、私も見ていました。落ち着いた語り口と独特の存在感、さすが樹木希林の娘、只者ではないなと見入ってしまったよ。 樹木希林さんのことが私は大好きでした。女優としての素晴らしさは言うまでもないけど、それ以上にご本人の強烈な存在感、嘘や忖度のないストレートな発言、自分を大きく見せようとしないところ、他人からどう評価されようが喜びも落ち込みもしない、どんな状況も『面白がって平気で生きればいい』と言える肝の座り方。クールなようでも滲

          潔い生き方に憧れる話 ~宮島未奈『成瀬は信じた道をいく』~

          これは本格フレンチだと思った話〜内田也哉子『BLANK PAGE』〜

          かおりさんへ こんにちは。 久しぶりに読み終えるのがもったいないと思う本に出会いました。この間ね、あさイチを見てたら内田也哉子さんが出てたの。樹木希林さんと内田裕也さんの一人娘でもっくんの奥さん。もちろん彼女のことは知っていたし、内田裕也さんの喪主挨拶のインパクトといったらなかったから、興味はあったんだよね。 彼女が両親を立て続けに亡くし、その空白を埋めるべく会ってみたいと心から思った人との対談集を出したと言っていて。これはぜひ読みたいと、勢いでぽちっとした本、内田也哉子

          これは本格フレンチだと思った話〜内田也哉子『BLANK PAGE』〜

          急にゼロ距離で迫ってくる介護の話~細川貂々『親が子どもになるころに』

          やすこさんへ 先週の『祖母姫、ロンドンへ行く』の話、楽しく読みました。小説かと思っていたらエッセイなんだね。 おばあちゃんになって、孫娘にアテンドしてもらっての姫のような贅沢旅行、夢だわあ。 お金もだけど、海外旅行に行けるような元気があるってことがまず大事だよね。 やすこさんのご両親はまだお元気そうなので、ぜひ今のうちに一緒に旅行しておくといいと思う。 私も去年、親と旅行に行ったんだけど、脚が悪いと観光地に行っても「しんどいから座って待ってるわ」とか言われちゃうし、食が細

          急にゼロ距離で迫ってくる介護の話~細川貂々『親が子どもになるころに』

          親とゆっくり旅行するべきかもと思った話〜椹野道流『祖母姫、ロンドンに行く!』〜

          かおりさんへ こんにちは。 先日大きな本屋さんでちょっと読んだらものすごくおもしろくて、速攻図書館で予約したこの本について書こうと思います。椹野道流『祖母姫、ロンドンに行く!」。最近旅エッセイづいてるな、私。 椹野道流は『最後の晩ごはん』シリーズや『男ふたりで12ヶ月ごはん』シリーズがわりと好きなのですが、お医者さんだったのね…。びっくり。 正月の親戚の集まりで英国留学の思い出話をした孫娘に、祖母が「一度でいいからロンドンに行きたい、お姫様のような旅をしたい」と言い始め

          親とゆっくり旅行するべきかもと思った話〜椹野道流『祖母姫、ロンドンに行く!』〜

          愛の不時着もK-POPも知らない私がハマった韓国小説の話~ファン・ボルム『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』

          やすこさんへ 最近、世の中何度目かの韓国ブームみたいね。私は韓流ドラマもK-POPもさっぱりなんだけど、なぜか今、韓国の小説にハマってます。 翻訳ものって読みにくいのもあるけど、私がこれまで読んだ韓国の小説はどれもすごく読みやすかったし、読めば読むほど日本人と韓国人って似てるんだなあと思わされます。儒教の影響で年上の人を敬う(少なくとも表面上は)ところ、他人の目を気にするところ、女性の社会的立場が低いところ、いい学校行っていい会社に入って高給取りになってこそ成功みたいなプ

          愛の不時着もK-POPも知らない私がハマった韓国小説の話~ファン・ボルム『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』

          しゃべりたいふたり〜第5回 本屋さんに出かけよう_個人書店編〜

          やすこ:今回の『しゃべりたいふたり』のテーマは本屋さん!お互いの好きな本屋さんを紹介していこうと思います。 かおり:好きな本屋さん。。ぶっちゃけよく行く本屋さんは近くのショッピングセンターに入っているチェーンの本屋さんかTSUTAYAなんだけど、今回はやすこさんに静岡市の個人書店『HIBARI BOOKS』さんを紹介したい。 やすこ:私、個人書店ってほとんど行ったことないかも。 かおり:そうなの?まあそうか。便利でわかりやすい場所には大きい本屋さんがあるから、そっちの方

          しゃべりたいふたり〜第5回 本屋さんに出かけよう_個人書店編〜

          中高生のころをうっかり思い出してしまった話〜ヤマシタトモコ『違国日記』後編〜

          かおりさんへ こんにちは。 前回のお手紙、かおりさんのこの漫画に対する「好き!」がダイレクトに伝わってきました。 『異国日記』をお正月に一気読みして、これはぜひふたりでこの物語について書きたいなって思ったんだ。私はね、この優しい物語を読んで、いろいろと昔のことを思い出してしまいました。 不器用な槙生ちゃんと姉の遺児である朝の物語。 昔の私が登場人物の中で誰に似ていたのかを考えると、たぶん朝のお母さんである実里さんに近いんだよ。「こうあるべき」「こうしなくてはいけない」そ

          中高生のころをうっかり思い出してしまった話〜ヤマシタトモコ『違国日記』後編〜