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将棋がまったくわからないくせに将棋の本が好きな話〜大崎善生『聖の青春』〜

かおりさんへ

こんにちは。
突然ではありますが、今年は藤井聡太八冠の年と言っても過言じゃないくらい将棋で盛り上がった年だったね!と、もっともらしいことを言っていますが、題名を見てもらえばわかるように、実は将棋の駒さえ並べられない私です……。

そもそもオセロでさえ子どもにも余裕で負けるくせに、なぜか昔から将棋の本が好きなんだよね。何十時間も戦うことがまずすごいし、一手に何時間も思考することはもはや理解ができないし、それなのにたったの一手で勝ったり負けたりするという真剣勝負になんかロマンを感じるのかもしれない。

さて、将棋の本といえば一番最初に思いつくのは言わずと知れた名作!羽海野チカ『3月のライオン』。

うちの花が買い揃えていて、家族揃ってみんな大好き。あかりちゃんもひなちゃんも零くんも本当に幸せになってほしい、といつも思う。そして、二階堂晴信君が新刊で表紙になっていると「まさか晴信ぼっちゃんこの巻でいなくなったりしないよね」とドキドキします。みんな晴信ぼっちゃんが好きすぎるのです……。

今回はその晴信ぼっちゃんのモデルとなったであろう天才棋士村山聖九段のお話について書きたいと思います。大崎善生『聖の青春』

マツケンで映画化もされたけど、先にこの本を読んでしまっていたので、映画は見ていないんだよね……。(結局、好きな本の映画は見たくない私)筆者の大崎さんは『将棋世界』の記者だった方で、村山九段とは深い関わりをもっていた。だから、全編を通して、本当に村山九段が大好きだったんだなということが伝わってくる。

幼いころから病と戦い続け、命のすべてをかけて将棋に向き合った村山九段。羽生九段と同世代で怪童と言われ、何度も何度も病で倒れながらもA級まで上り詰め、名人に手が届きそうなところまで突き進む様子は壮絶としか言いようがない。

29歳で亡くなることを知りながら読んでいくわけなんだけど、村山九段の努力がどうか報われてほしいと願う気持ちでいっぱいになる。

そして、村山九段のおちゃめな部分も随所に織り込まれていることで、感情移入しちゃうんだよね。少女漫画と推理小説に埋もれて暮らす様子やお風呂や散髪が大嫌いなところやご両親には反発しながらも全面的に甘えているところとか師匠との深い付き合いとか本当に愛すべき人だったんだろうなと思う。

読後はものすごく濃厚なドキュメンタリーを見たような気持ちになって、しばらく現実に戻れないくらいのインパクトがある本です。

もっともっと村山九段を理解したかったら、将棋を覚えるしかないんだけど、それはたぶん無理。村山九段という愛すべき怪童の人生をなぞったことで満足!と思うのでした。(向上心のかけらもない……)

そして、これからも藤井八冠をわからないなりに応援し、召し上がった将棋メシの記事をじっくり読むんだろうと思います。あれ?もしかして、かおりさんは実はすっごく将棋が得意だったりする?今度教えてくださいませ。

2023年12月1日
やすこより

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