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「定番」を着こなしたい

先日、ブルックスブラザーズでブレザーを新調した。本当は昨年初めて購入して知った、ボタンダウンシャツのすばらしさに開眼して買い足しをしようと訪れてみて、もうさんざん買ったというのにジャケットを試着してしまったのが運の尽き?だった。もうなんていうか、本当に素晴らしいのだ。

現在絶賛紺ジャケ・紺ブレが幾たびかのトレンドとなり、手間もなくどの店先にも並んでいるが、ブルックスブラザーズのそれはトレンドのシルエットなどではなく、「ブルックスらしさ」を追求しており、翻ってそれが定番シルエットになっている。それなので、今年風の着こなしという感じではなく、それこそ永年の着こなしイコール「シンプル」に映るがこれがまたよいのだ。

表参道に移った店舗にはじめてお邪魔したのだが、わたしなぞそうそう訪れない客なのに、なんとスタッフの方がわたしを覚えていてくださった。びっくり。そして、シャツからジャケット、ボトムなどさまざま試着につきあってくださって、とてもよいお買い物体験ができた。ブルックスなどの店舗で知りたいのは「ブルックスらしさ」なのだ。それをもっとも知るのは店員さんであり、自分は職業的にも性格的にも細部をちまちま質問してしまう知りたがり癖があるのだが、うんざりすることもなく(していたらごめんなさい)実によくお付き合いしてくださった。

定番シャツは白の使い勝手が良いので、白を買い足すつもりでいたが、いろいろと試着をしていたら発見があった。たとえボタンダウンであっても、白である限りシャツにはある種のちゃんとした感が伴うということ。これをサックスブルーに変えるだけで、とてもカジュアルになり、ネイビーのブレザーと合わせると非常に新鮮に映った。これもご提案によるものだ。まあとにかく、ブルックスのシャツは何枚・何色持っていてもよいでしょう。断言できる。

ブレザーのフィット感もすばらしく、きちんと感とカジュアルさがほどよくて数あるネイビーのブレザーやジャケットのなかでも、もっぱら最近はそればかり着てしまう。やはり快適にいられるのがよい。退任したデザイナーザック・ポーゼンの最後のブラックジャケットもすばらしく良かったのだが、フォーマル感が強めで「買ったところで登場回数はどうなんだろう」との懸念があったが、やはり自分はそういうカジュアル寄りスタイルだったな、と痛感した。

しかしそのとき、合わせて薦められた綿のパンツがこれがもう、驚くほどに合わなかった。紺ブレ、ボタンダウンシャツ、綿パン、これはブルックスブラザーズのド定番スタイルであるが、自分はそのド定番はまだ着こなせなかった。要するに究極のシンプルって、人間のスタイルが投影されてしまうのではないか。スタイルとはボディのシルエットはもちろん、中身の問題。深みとか素養とか、そういったもの。まだどこかに、デザインによる主張の助けをいれないと不足の多い人間なんだと思う。あくまで個人的な意見ですが。

この数年の目標は、究極なシンプルを着こなせる人間なので、引き続き研鑽に励もうと思う…、なんて堅い話ではないのだけど、それすらも愉しいというものだ。

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