【逗子葉山よむ料理店】#10 丸久の、海街の夏を乗り切るゴーヤとキュウリとツナの和え物
食べることも、飲むことも大好きなこの海街の住人が愛してやまない焼き鳥屋さんがある。
逗子駅を出て、地元の人が「水道みち」と呼ぶ通りを歩いて5分。踏切を越え、こんなところにお店なんてあるのかなと不安になるころ、京急逗子線の線路に並ぶようにして年季の入った長屋が現れる。
目立つ看板はない。それでもこの存在感にピンと来たあなた、いいセンスしてます。そう、ここが今回ご紹介するお店。
「この建物に出会って、ここで何かしたいと。それで今の店を始めました」と語る店主の金子伸司さん。
踏切の音が遠くで聞こえ、すぐそばを通る電車の振動が伝わる店内には、Beastie BoysやThe Doors、Thelonious Monk、Brian Eno など、金子さんセレクトのジャンルレスな音楽が流れている。
店内や庭には、知り合いのアーティストの作品が鎮座し不思議な存在感を放つ。
「オープン当初は知り合いくらいしか来なかったけれど、次第に近くに住むアート界隈の人たちが通ってくれるようになってから軌道に乗り始めました」
栗林隆、藤堂 良門、花井祐介…この店を愛するアーティストを挙げたらキリがない。食と音楽、アートが混然一体の空間は、居心地の良さと高揚感に満ちている。
レトロで、尖ってて、オシャレで美味しい。
あらゆる境界を軽やかに飛び越える海街の焼き鳥屋、丸久。
丸久
住所:〒249-0006 神奈川県逗子市逗子2-9-27
電話:046-871-2340
https://www.facebook.com/%E4%B8%B8%E4%B9%85-354413821262206
*テイクアウトなどの最新情報は店舗のSNSをご確認ください。
一つの型に留まらず、変化を続ける
逗子で生まれ育った金子さん。一時期は都内に住み、アパレル関係の仕事をしていたという。
地元に戻るタイミングで、この建物を発見。近所の人からは廃屋として知られており、室内には囲炉裏もあったという。
不動産は運とタイミング。
金子さんも特別な縁を感じ、仲間たちとリノベーションに取りかかった。
線路脇の商いといえば居酒屋。
「それだったら焼き鳥屋」と自然に決まった。店名の「丸久」は実家がかつて営んでいた酒屋の屋号を受け継いだ。
問屋のもとで肉の扱いを学んだが、飲食の経験はなかった。「特別なことは何もしてないんですよ。しいて言えば炭火で丁寧に焼いているってこと」
今でもスタッフ全員が手作業で仕込む。タレや一品料理を含め、化学調味料や添加物は使わない。奇をてらわないシンプルな積み重ねこそ、丸久を知る全員が「何を食べても美味しい」と口を揃える理由なのかもしれない。
味に関する基本は大切に守りつつ、店内のレイアウトや、置いてある作品、流れる音楽などは通うたびに変化がある。
「一つの形に留まらず、出会いや興味の赴くままにこの建物でスタッフの皆や仲間と遊べたら」
金子さんにとって「丸久」は一つの表現活動なのかもしれない。
この作品は「焼き鳥屋」というイメージを軽々と飛び越え、これからも海街の住人や訪れる人を魅了し続ける。
これからの季節にピッタリな「ゴーヤとキュウリとツナの和え物」で家飲みの前菜として楽しんで
ちょうど今の時期、お通しで出している一品を金子さんに教えていただきました。夏野菜を沢山使い、苦味や辛み、うまみとともに食材ごとに異なる食感が食欲をそそる一品です。
このレシピの購読料824円(「ハ」ヤマと「ズ」シを「ヨ」ム)は、全額を丸久さんにお渡しします。応援の気持ちを込めて、ぜひ読んで、つくってもらえたら嬉しいです。
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