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5歩目 * 終わって、始まる

決めてからは、早かった。


善は急げ、退職の意思を早く伝えないと。
ただ休日だしどっちにしろ在宅勤務なので
迷ったけれど直属の上司にメールを送ることにした。

ここで大切なのは、引き留められないこと。
そして、出来るだけ穏便に。
辞める意思は固いこと、
やろうとしている事があってその為に辞めたいこと
それをきちんと盛り込みつつ
やろうとしている事については多少それっぽい内容にしておいた。
 
そして仕事の状況を考慮しつつ、辞める日にちをはっきりと決めて
なんと言われてもその日を動かさないこと。
有給休暇を消化することも計算に入れて決めること。

熟慮に熟慮を重ねて辞めたい旨を書き連ね、
そっとメールの送信ボタンを押した。


もちろん、翌朝すぐに電話がかかってきた。
わたしの意思が固いのは伝わったようで
次の日から出社していいと言われ
辞めるための準備に入った。
さらに上の上司と話し、社長とも話し、退職願を出し
日々の仕事をしつつも膨大な量の引き継ぎをして
メールを送ってから3週間後にはもう
最後の出社日を迎えていた。

辞めたら周囲に迷惑がかかるとか
生活が困るとか
他にいい仕事がないかもとか
考えてたこともあったのが嘘のように順調に
全てを終えた。

何人もの同僚が惜しんでくれたし、プレゼントもくれた。
嬉しかったし、なんとなく名残惜しい気持ちや
申し訳ない気持ちもなくはなかった。


けれど、一歩会社の外に出たら
そこにあったのは、とてつもない解放感。
そして昂揚感。

これから、はじまる。

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