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視聴メモ:英雄たちの選択「激突!三好長慶vs.足利将軍 〜室町幕府“終わりの始まり”〜」

作ったもののほったらかしのnoteを再開しようと思いながら、なかなかきっかけをつかめずにいて。
まずは、発信者としての定石「分野を絞る」について、どうしたものかと思い悩んで立ち止まり。そして、まだろくに記事も書いてもいないくせに、「同じく休眠中のブログとどうすみ分ければいいか」なんて余計なことも考えてしまい。

でも、とにかく試行錯誤な記事を投下していけば、そのうちなんらか収斂してくるのではないかという甘い見込みのもと、好きなテレビ番組について書いてみることにしました。

そもそも『英雄たちの選択』って?

NHKのBSプレミアムで放送している1時間の歴史番組。ナビゲーターは、国際日本文化センター教授の磯田道史さん。
公式サイトには、下記のように紹介されています。

歴史を大きく変える決断をした英雄たち。その心の中に分け入り、ほかにどのような選択肢があったのか?選択の崖っぷちに立たされた英雄たちが体験したであろう葛藤を、専門家の考証に基づいて復元。独自アニメーションなどを駆使してシミュレーションする。 スタジオには、異分野の専門家が集結。英雄たちに迫られた選択のメリットやリスクを検討し、歴史的決断の意味を深く掘り下げていく。

NHK 公式WEBサイトより https://www.nhk.jp/p/heroes/ts/2QVXZQV7NM/

で、この番組の何が面白いって、取り上げたテーマについて、歴史学者だけではなくさまざまなジャンルの専門家のコメントが聴けること。
政治学や経済学、心理学、政治哲学、あるいは独自の視点を持つ歴史小説家など、多彩なゲストがそれぞれの立場から言いたいほうだ…いや、知見を述べ合うところから、「あ!そういう視点もあるか」という気付きをもらえるんですよね。
ま、中野信子さんの「脳科学的には…」は時々眉唾なものもあるとして(いや、コメントには共感するし好きなのですけど、一応クリティカルシンキングで)笑

それに、ナビゲーターの磯田先生、「歴史が好きで好きでたまらない少年が、そのままその道を究めて、研究者をやっている」という経歴の人なので、時々熱くなって暴走したり、それに対して、大御所な歴史学者の先生が苦笑いしている風景などもいとをかし。

というわけで、「激突!三好長慶vs.足利将軍 〜室町幕府“終わりの始まり”〜」の視聴メモ

と、前置きばかり長くてごめんなさいね。
視聴メモの輝く第1回目は、2022年6月22日放送回の「「激突!三好長慶vs.足利将軍 〜室町幕府“終わりの始まり”〜」

三好長慶、戦国時代好きでないと知らない方も多いかと思います。
ま、戦国時代好きの人であっても、多くの人が好きな期間は「信長以降、関ヶ原まで」だと思うので、マイナーな存在ではあるかなと。
でも、最近とっても株が上がっている戦国武将ですね。

ちなみに、歴史クラスタだと、この「最近」というのが難しいところ。
一般人の感覚では、小説や映像作品を機に再評価が進んだことを受けて、「最近」と捉えるわけですが、アカデミズムではだいぶ前から常識ということが多々あります。

さて、なぜ株が上がっているかというと、「信長が取り組んだとされる『革新的なこと』って、だいたい三好長慶がやっていた」から。

室町幕府の管領・細川家の家臣だったものが、主家を上回る軍事力・経済力を持つまでになり、過去に父を自害に追い込んだ主君・細川晴元を圧迫してついには都から追放。(このときに晴元が将軍も連れて逃げてしまったので、後々ややこしくなるのだけど)
将軍家の復権に失念を燃やす足利義輝と対立したり和睦したりを繰り返しつつも、一時は足利家に代わって朝廷と直に結びつき、中央政権を担っていたとみなされています。
そして、個別の取り組みとしては、必要に合わせての拠点の移動、合戦での鉄砲の使用、キリスト教への寛容な対応、堺の経済力への注目と活用など、「あれ?なんか聞いたことある」という施策多数。

ただ、最盛期から終焉までがあっという間で、優良な支え手であった弟2人を相次いで亡くし、嫡男も急逝。そこから急に精彩を欠くようになり、病を得て43歳の若さで亡くなりました。
そして、家臣同士の内紛が始まり、信長入京までしばらくの間、京周辺の混乱が続くことになります。

歴史にIFはありませんが、もし長慶が、支柱たる弟たちとともに長生きしていたら、信長と同じように畿内を平定し、戦国時代の終焉が早まっていたのではということも考えられます。
(ただ、信長には、家康という強力な「後背」、武田との同盟もあって、背後の不安が少なかったのに対し、三好は360度敵だらけ。六角も畠山もまだ有力で、中国では毛利が、四国では長曾我部が台頭してくるタイミングと…なかなか厳しい状況でありますが)

三好長慶といえば、私が子どものころは、『信長の野望』で、早い時代のシナリオで出てくる大きな版図の有力大名くらいのイメージ。しかも、剣豪将軍・足利義輝のライバルとあって、ヒールの印象が強い存在でした。
でも、500年近く前の人物であっても、未だに新資料や研究成果が出てきて、評価や存在感は変化する。歴史って本当に面白いものですね。


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