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パラグライダーな日々 「遠くへ飛ぶといふこと」


ご訪問、毎度です。
パラグライダーが趣味のよねけんです。
今回はパラグライダーで遠くへ飛ぶことについて書きたいと思います。

最初にパラグライダーの講習生についての話

 いきなりですみませんが少し説明をします。パラグライダーにはライセンスがありJHF(※1)ではパイロット証を取得すると日本各地、世界どこでも一人の責任で飛ぶことが許されます。しかし、初めからパイロットになるというわけにはいかず、A級パイロット(A級生とも言う)、B級パイロット(B級生とも言う)、ノービスパイロット (以下:NP)という講習生期間があり、実技、筆記試験をクリアしてパイロットまで行きつくことになります。
 所属している獅子吼高原パラグライダースクールでは各講習生で飛べる範囲が決まっています。B級生であればテイクオフ両サイドの谷の間。NPは両サイドの南北高圧電線より内側。パイロットになれば制限はなくなります。

獅子吼高原パラグライダースクールのフライト制限 赤い円はランディング

 昔はパラグライダーの性能が良くなく、遠くまで行くとランディングまで届かないこともありました。このため経験が浅くスキルの低めのB級生はこのような制約を設けたようです。最近はパラグライダーの性能も向上し、B級生が飛ぶ範囲は両サイドの谷よりも少し広くなっているようです。

高く飛べるようになったけど・・・

 以前の記事でも書きましたが、徐々にソアリング(高度を上げる機動)のスキルが身に着くと、テイクオフ(離陸地点)から200m上がった800mとかの高度まで上がれたりするようになります。自分がB級生の時も同じで800mぐらいまで上昇して「ウェイ!」とか調子に乗りながら旋回をしていました。しかし、NPぐらいになって上昇気流を捕まえて高度を上げて、もう上がらないところまで来るとこう思います。

「高度上がったけど、で、どうしようか・・・」

 上昇することに必死(笑)で、上がっては見たものの、次にどうしてよいかわからなくなってました。
 で、同じ頃に入校したNPの人たちに聞くと、同じような答えが返ってきました。・・・なんや、他の人も結構そうなんや・・・という感じです。

とりあえず行ってみるか

 インストラクターさんからは「NPなんだから谷を越えて少し遠くに行けばいいのに」などと無線で言われたりします。B級生の時は谷から出るなと言われていて、いきなり飛んでいいよと言われても心の準備が・・・。そして、「とりあえず南北(図だと左右)の谷を越えて飛んでみるか」となります。北の方の山々の高さは南よりも低いのですが、地面に近づくと怖いという謎の感覚で山々の標高が低めの北の高圧電線の方へ飛びます。
 実は南の山の標高が高いので、山肌を上がってくる上昇気流を捕まえることを考えると南側の方が難易度が若干低いのですが、飛んだこともないので分かっていませんでした。

ランディングに届くか それが問題だ

 何せ何の知識も戦略もなく北の上空を飛ぶので、先に進むことばかり考えて上昇気流があっても突っ切って、高度ばかりが下がっていきます。こうなると、「戻ってランディングに届くか?」ばかりが気になります。行くだけ北に飛んで、慌てて踵を返して戻ってくるものですから、まるでブーメランの様なフライトログ(笑)が残るわけです。そして、高度が再び高くなることなくランディングに降りてくことになります。
 30分かけて1,000mまで上昇しても、北に行って帰ってくると10分もしないでランディングしているわけですから、やったぜ的な感覚と、なんだかモヤっとした感じが残ったりします。パイロットの方々は同じ状況でも飛び続けていますからね。

高度1,500mなんですけど 行ってみたいんです

 そんなNPの時のある日、前出の画像で行くと、右側のオレンジラインの上ぐらいで上昇し、右の緑色の手前で1,500mまで上昇したことがありました。パイロットの方々は、悠々と南の高圧電線を越えていきます。1,500mというと前出の絵では上側の枠を振り切れた上空になります。流石に南の高圧電線は越えていいだろう、いや、越えたいと思い、インストラクターさんに無線を入れます。

自分「高度1,500mあるんで南高圧越えてみていいですか?」
イントラO「今どこですか?」
自分「南高圧の手前です」
イントラO「(・・・しばし時間が) 手前で飛んでください」
自分「・・・わかりました」

 そうだよな・・・。高圧越えたかったらパイロット証取れってことだよな。そこから高度が下がり、再び1,000mぐらいまで上昇したその時、もう一人のインストラクターさんから無線が入ります。

イントラT「今どの辺ですか?」
自分「南高圧手前で高度1,000mです」
イントラT「じゃ、奥獅子吼(※2)へGo!」

 (!) 早速アクセル(※3)を踏んで南高圧を越えます。500m程進んだら、上昇気流があります。このまま進むか、ソアリングで高度を取るか迷い、アクセルを離してスピードが落ちます。

イントラT「進むか、ソアリグするか迷はない。進むなら進む。ソアリングするならソアリングをしてください。」

 おいおい、考えてることよく分かるな (-_-;)
ソアリングするでもなく、アクセルを踏むでもなく進みます。でも、目標の奥獅子吼が見えてきます。これで奥獅子吼には行ったなと思い引き返してその日は満足して帰宅しました。ちなみにその晩のビールはおいしかったです
(笑)

その時のコース (Googleさんによる再現)

奥獅子吼? いや届いてないし

 「奥獅子吼に行きました」とGPSログ(※4)をSNSにアップしたところ、インストラクターさんから「いや、届いてないし。その地点の真上まで行かないと届いたって言わない。」とのこと。
 慌てて「奥獅子吼方面に行きました」とコメントを修正することに(笑) そのあと「200m手前までは行っているから行ったと言えば行っているね」とインストラクターさんからフォローコメントがありました。その後、しっかり上を飛んで、かたき取って帰ってきたのですが、それまでに数か月の時間が掛かりました・・・とさ。

まだまだパラグライダーな日々は続きます。

【注記】
※1 JHF:日本ハング・パラグライディング連盟のこと。

役割は ❝ フライヤー会員証の発行、技能証の発行、指導員の養成、教本の発行、安全性に関する情報の提供・指導、普及振興事業の推進、各種競技会の主催および公認、競技記録に関する認定など。❞

ウィキペディアより

※2 奥獅子吼
獅子吼高原のテイクオフから南に3km程行ったポイント。山頂部分があり、登山をした人たちが休める場所がある。パラグライダーで行ったことはあるが徒歩で行ったことはない。下から手を振っている登山客を見かけることもある。

※3 アクセル
パラグライダーの速度を早くする機構の一つ。ハーネス(座椅子?シート?)の足元についていて、これを蹴り伸ばすとパラグライダーの速度が上がる。

※4 GPSログ
パイロットは飛ぶためのバリオという機器を持っており、中にはフライトの情報をGPSで記録することができるものがある。その記録のこと。

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