内館牧子『老害の人』がボードゲーム小説だったよ!
内館牧子『老害の人』がボードゲーム小説だったよ!
帯には「10万部突破!」の文字とともに、(80代・男性)(70代・女性)(70代・女性)(60・女性)による推薦コメント。軽快に読めるし、高齢者向けライトノベルの傑作といった感。
『老害の人』の中で「老害」として大暴れする主役が、戸山福太郎85歳。池袋の会社「雀躍堂」二代目だ。
「雀躍堂」は、ボードゲームを作っている会社。人間の一生をゲームにした「一寸先ゲーム」、野球盤双六、将棋ゲーム、以後ゲーム、動物の成長を競い合うゲームなどなど。
で、いまは三代目の純市が社長。
“純市はコロナに襲われる以前から、家族で楽しめるアナログなゲームを守ってきた。コンピュータゲームが爆発的な人気を博しても、「家族」というマーケットは絶対に底を打たない。そう信じていた。そして、それは『外出自粛』で形になった”。
この背景設定だけじゃなく、この小説、ボードゲームが大活躍するのだ。テーマのひとつが「遊ばないと老害になっちゃうよ」である、と言ってもいい内容だ。
たとえば、こんな場面がある。
ちょっと落ち込んだ福太郎が「俺も含めて、人生終点の者ばっかりだもんなァ」と孫に愚痴ると、孫が言う。「双六じゃ終点って言わねえだろ。あがりだろ。ジイちゃん、俺が中学だったかの時、教えてくれたじゃん」。
「奪陣」というオリジナルのゲームも登場する。こんなゲーム。
“単純な陣取りゲームなのだが、先々を読んで後退や三回のパスが許されており、個人の性格がくっきりと出る”。三人プレイのゲームで、ゲームの様子も少し描かれる。
いや、それどころか後半に、なんと……と、何が起こるか書きたいが、ネタバレとか気にするネット上には書きにくい。
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