自分を信頼すると同時に疑って乗り越えようとすることで書けるもの

ヒューマンアカデミーのシナリオ科の授業。後期2回め。隔週で短編を書いて、それを添削指導&次書くテーマの見つけ方指導をやっていうる。いやー、今回、学生の短編がグッとうまくなった。覚醒したッて感がある。

自分マトリクスーってのは、自分に関することを猛スピードで書き出す方法。詳しくは『自分だけにしか思いつかないアイデアを見つける方法―“企画の魔眼”を手に入れよう』(米光 一成/日本経済新聞出版社)を読んでねーをして、その中から1つ、2つキーワードを選んで、そのキーワードのキーワードを書き出す。というワークを、1つ前の授業でやった。
キーワードマトリクスのワードをいくつかあげてもらって、気になるワードについてわいわい対話する。その対話の中から書くコトを見つけてもらった。

これがよかった。どこからか借りてきたような設定で書いていた学生が、自分の実感から地続きな世界で短編を書いてきた。そうすると選ぶ言葉から違ってくる。

たとえば「卓球王国」という短編。「格技室」とか「粒高」とか、ちゃんと言葉が選べている。「卓球王国」というタイトルも、最後に卓球専門店の店名だとわかるのがいい。

他の学生も、実体験をベースに放課後居残る少女を描いたり、大好きな特撮の現場を描いたりしている。書く場面をありありと実感していると、自分を信頼して書ける。そうなると無駄な形容も取れ、紋切り型に陥ることも減る。同時に、自分のなかにあるあの実感をどう描くか、自分の書いたものを疑いながらそれを乗り越えようと言葉を選ぶ。推敲する。無理した気取りも取れる。

ぐっとおもしろくなる。

学生も「書けた」って実感が持てたようで、「今回の課題は?」と自分から言ってきた。書きたそうだったから(課題があるのは隔週だから、ほんとうは課題なしの週なのだが)「続き書いたら提出して」と言っておいた。

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