マガジンのカバー画像

こちらリヤド、43℃

112
リヤドでの見聞録と生活記録(2015-2021)。自分の話す練習を兼ねた試験放送:こちらリヤド、43℃ on stand.fm https://stand.fm/channels… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

109. エピローグ

ヒジュラ暦1443.6.27 (2022.1.30) 昨年末、6年間のサウジアラビアでの仕事を終えて、日本に帰ってきた。 6年前、なかなか来られない国だから、記録をしておこう思って「こちらリヤド、43℃」を書き始めた。当初は2,3年のつもりの記録だったが、縁あって6年間書くことになった。 6年間で0から109まで話を書いてきた。ざっと見返してみると、序盤は生活面でのカルチャーショック的な話が多い。中盤以降は仕事の話なんかも入ってきて、そこでの異文化体験などがあり、終盤はパ

108. 歯型のついた羊羹

ヒジュラ暦1443.3.27 (2021.11.2) 前回の一時帰国からリヤドに戻ってきて、そろそろ1年経とうとしている。リヤドに戻る時には、フリーズドライのお味噌汁、ふりかけ、カレーのルーといったリヤドでは手に入らなくて、かつ日持ちがするものを持って帰ってくる。それを一年かけて、ちびちび食べては遠い日本を思い出す(笑) そうはいっても、私はそれほど日本食の何かが恋しいみたいなことはほとんどないのだけれど、あんこだけは別だ。リヤドでは和菓子も手に入らないので、リヤドに来て

107. ネガティブフィードバックとコップの水

ヒジュラ暦1442.9.19 (2021.5.1) かれこれ5年の付き合いになるサウジ人の友だちが先日、私に 「最近、気づいたんだけど、私と違って駄々さんは意見を言う時、いつも間接的だよね」と。 *駄々さんとは「私」のこと。 彼曰く、私は、〇〇と思う!とか、好きだ、嫌いだをはっきり言わないと。どうも日本人はそういうところがあるんじゃないかと。 おそらく、それは正しいと思う。異文化間コミュニケーション関係の本を読むと、ほとんどと言っていいほど、日本(人)は「間接的」とか

106. お別れのスタイル

ヒジュラ暦1442.8.21 (2021.4.3) 日本は桜がきれいな季節のようだ。SNSできれいな写真をよく見かける。桜が舞い散るこの時期は出会いや別れの季節でもある。 リヤドに住み始めて5年以上経つが、送別会なるものに参加していないことに気がつく(日本人コミュニティは別として)。ただ単に呼ばれていないということも考えられるのだけど、どうも、日本に比べると「送別会」のようなものは少なそうだ。 毎年、驚くことがあって、前学期まで同じ学部で働いていた先生が、新年度になると

105. 想像以上に表現豊かなサウジアート

ヒジュラ暦1442.5.24 (2021.1.8) 以前に比べると、宗教的な厳しさが緩くなってきた印象のサウジアラビア。そうは言っても、アートの分野は表現の自由という意味では、まだまだ、難しい部分も多いのかなと思っていた。 先日、Misk Art Instituteという所で開かれていた美術展に行く機会があった。Misk Art Instituteはムハンマド皇太子によって設立されたMiSK Foundationの支援のもと運営されている団体で、サウジアラビアの芸術の支援

+29

104. リヤドの生活30枚/1825日

103. East Meets Middle East

ヒジュラ暦1442.5.5 (2020.12.20) 4か月ぶりリヤドの自宅に帰ってきたら、賞味期限が過ぎている食品が増えていた。その中の一つにお茶の葉があった。といっても、もともと既に賞味期限が切れていたのだけど、捨てるのももったいないし、そのうち飲むかもと置いていたものだ。 しかし、日本からお茶を買って戻ってきたので、もう、この賞味期限切れのお茶を飲む可能性は低そうだ。捨てるのももったいないしどうしたもんかなと思っていた。 そんな時、ふと、一時帰国している時に何度か

102. 散歩の楽しさと駅の関係

ヒジュラ暦1442.4.28 (2020.12.13) 一時帰国している間に、よく散歩をした。その中でよくしていたのが、線路沿いを歩くようなコースをとり、行きは歩き、帰りは電車で戻るというようなことだ。 私が一度に通して歩ける距離としては1時間から1時間半、距離にして6,7キロぐらいだったと思う。川崎市のあたりだと、私が一度の散歩で歩ける距離が2つか3つ先の駅だった。当たり前だが、1つとして同じ駅はなく、駅を境に街の雰囲気も変わったりして、それがおもしろかった。 改めて

101. 一時帰国からリヤドへの帰還

ヒジュラ暦1442.4.27 (2020.12.12) 天の声で7月末に日本に一時帰国することになり、先日、再びリヤドに帰ってきた。4か月ちょい日本にいたことになる。 日本に戻ってから、ちょこちょこ書きたいことはあったのだけど、「こちらリヤド、43℃」というタイトルで書いているので、なんとなく、書きにくかった(笑) もともと、今年の夏休みは一時帰国はあきらめていた。3月以来ずっと新規の感染者が増え続けていて7月上旬くらいには1日の新規感染者が4000人に達していた。人口

100. 何か課題をください。

ヒジュラ暦1442.3.17 (2020.11.3) 学生に試験を返却してから数日は気が重い。なぜかというと、学生が減点を補うためにあれやこれや私に交渉を持ちかけてくるからだ。 Zoomで会議に入ってくるとき、いつもなら「おはようございます」の挨拶だけして、全員がそろうまですぐにミュートにする学生が、「おはようごさいます。先生、どうですか」「お元気ですか」とか言ってくる。明らかに不自然だ。会話の糸口をさぐりに来ている(笑) 会話で来る場合もあれば、whatsappなどの

99.Zoom授業雑感-2画面環境を求めて

1.なぜ2画面かヒジュラ暦1442.2.17 (2020.10.4) 2020年3月の学期途中より遠隔授業が始まり、どうにか学期を終え、夏休みをはさみ、9月になり新学期が始まった。まだ、しばらくは遠隔授業をすることになっている。 初めてのZoomを使って試行錯誤をした数ヶ月でわかったことは、今の私に必要なのは、とりあえず2画面ということだった。いつも13インチのノートパソコンで授業をしているのだが、私の目肩腕はやられてしまった。画面の前にいる時間が長くなり、操作が複雑(画

98. 見えないものにどう向き合うか

ヒジュラ暦1441.10.28 (2020.6.20) 外出規制が始まり、家に閉じこもるようになって3か月が経った。1年の25%を屋内で過ごしたのかと思うと、けっこう長かったものだと思う。 過去形で書いているのは、一応、サウジでは今日(6/20)で外出禁止令の措置が終わる予定だからだ。このひと月で、サウジは段階的に外出禁止措置を緩めていて、6月に入り、その最終段階のフェーズになった。マッカ(メッカ)市を除いては全国的に外出禁止は午後8時から午前6時までとなっている。モスク

97.Eid Mubarak!-ラマダン終わる

ヒジュラ暦1441.10.01 (2020.5.24) イード ムバーラク!(イードおめでとう!) こちらでは昨日でラマダン(第9の月)が終わった。一か月間の日中の断食が終わったことになる。そして、今日からの3日間 or 4日間はイード・アル=フィトルという祝日になる。日本で言うなら、お正月に近いめでたさがあると思う。通常なら、この時期は家族、親戚で集まって盛大に祝う。これまで、私も何度かお邪魔させてもらったことがある。去年はこんな感じだった。 今年はどうかというと、

96. 家の中での現実逃避(頭皮)

ヒジュラ暦1441.9.23 (2020.5.16) 外出禁止(制限)令が出て、2ヵ月近くなるが、サウジの感染者数は増え続けている。ただ、死者の割合は0.6%と世界の数字7%と比べるとかなり低く、ニュースなどを見ていると、そこが強調されているように思う。 一方で感染者数が減る傾向がない中でラマダン中に外出制限を緩めたのは良い手とは思えなかったが、ラマダン中でさえも24時間外出禁止令じゃやってられないという国民感情に配慮したものだったのかもしれない。 結果的にラマダン中は