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コミュニケーションでよのなかをのぞく

Yononakaは、参加者が互いの意見を共有し合いながら、さまざまなテーマについて理解を深めていく、対話型のワークショップです。

テーマに関する問いかけ(お題)をいくつか出します。
その問いかけには正解がありません。
参加者は、それぞれの視点から自由に意見を交換していきます。

テーマは、私たちの日常にあふれる、よのなかの身近なモノです。
お金やロボット、時間など、誰もが話せるテーマを取り上げることで、参加者は自分ごととして積極的に意見を交わすことができます。

そのような対話を通じて少しずつ自分の視野を広げ、物事を多角的に捉える「複眼思考」を養っていきます。

よのなかには「絶対的な正解」はありません。
自分なりの見方や考え方で、よのなかをのぞき、世界60億人と脳をつなげていく。そのリテラシーを身に付ける時間が「Yononaka」です。


Yononakaの特徴

身近なモノをテーマにする

テーマは、私たちの日常にあふれる、よのなかの身近なモノです。お金やロボット、時間など、誰もが話せるテーマを取り上げることで、参加者は自分ごととして積極的に意見を交わすことができます。

たとえば、経済について学ぶ場合、「貨幣の成り立ちや歴史」といった何千年前のことから学ぶのではなく、「ピザ1枚」から学ぶことができれば興味を持てると思います。
ピザ1枚の値段を考えることで、原材料費や人件費などにも関心を持ったり、「原材料のチーズ、トマト、パンはどこで作られているのだろう?」と考えていくと、輸出入の話になって世界とのつながりも見えてきます。

そうしてどんどん考えを進めていくうちに、消費者の目線からサービス提供者の目線で物事を考えられるようにもなるでしょう。
また、生活に根差しているテーマを扱うことで、「学んだことをすぐに思い出す」ことができます。
ピザ屋さんの前を通るたびに授業を思い出すことができ、それをきっかけに親子で話し合うことで学びを深めることもできます。

正解ではなく”納得解”を紡ぐ

Yononakaのワークは 正解がひとつではありません。
いろんな考え方ができる問いを検討していくので、1人1人違った意見が生まれます。その意見を参加者同士で共有しながら、自身の「納得解」を紡いでいきます。

納得解とは、自分が納得し、他者も納得できる解答。
その過程において、納得するまで深く考える、相手に伝わるように話す、これらを自然に行うので、論理的思考力やプレゼン力が育まれます。

意見共有が習慣に!

90分間で基本5つのワークを行います。正解がひとつでない問いかけをしますので、それをまずは「個人」で考え、そして「グループ」に分かれて各自意見を共有します。その後「全体」の場に戻って、グループの代表1人からグループで話し合ったこと、それに対する自分の考えも踏まえて発表します。以上がひとつのワークの流れで、それを5回行う形です。

自分の意見をつくる(個人)

まずは個人ワーク。これは通常1分で考えます。短いと思われるかもしれませんが、その分脳をフル回転させて、集中して意見を紡ぎます。1分間で思いつかないアイデアは10分以上かけても思いつかないと言われています。

自分の意見を共有する(グループ)

参加者はグループに分かれ、各自が考えた意見を共有します。自分の意見を発表するのは確かに勇気が要ることですね。でもそれは他者のためでもありますが、自分自身にとって必要なプロセスだと思います。
自分で言葉にしてみて「ここはスラスラ話せるなぁ」とか、「ここはぎこちないなぁ」と気づく部分があります。それによって自分の考えがどの程度まとまっているか、または新たに浮かんだ考えなのかを自覚することができるでしょう。

メラビアンの法則というのをご存知でしょうか?この法則は、コミュニケーションにおいて話の内容よりも、どのように話すかの方が受け手に大きな影響を与えるという法則です。言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%の割合で、相手に影響を与えるといわれていて、話の内容(言語情報)はそこまで重要視されないということです。
つまり、「どう話すか」という話し方や態度が言葉の内容よりもインプットされるし、その人を印象づけることになります。

他者の話を聴く(グループ)

話す時と同じぐらい大事なポイントなのが「話を聴く」ことです。他者の話を真摯に聴くことで、相手にとって話しやすい環境を作り出すことができます。

例えば、自分の考えを生クリームに例えるならば、他者の意見はそれをかき混ぜるミキサーのようなものです。他者の意見に触れることで、自分の考えがより固まることもあれば、変化しないこともありますが、いずれにせよ、自分の意見に変化を与えることは大切です。そのために他者の「話を聴く」プロセスが大切です。

他者の話にリアクションを送る(グループ)

その際、ただ「聞く」のではなく「聴く」という意識が重要です。
「聴く」という漢字には耳と目と心が入っているように、耳だけでなく、相手を見て注意深く、何を考えているのか心で感じながら、耳を傾けるのが傾聴です。
その際何らかのリアクションを送ることも大切にしています。たまには、自分にはない意見を聞いて、びっくりすることもあると思います・・そんな時でも、まずは受け入れる。そのために「リアクション」を推奨しています。
話して、リアクションして、その相互のやり取りがコミュニケーションだと思っています。

そのようにして、参加者全員が他者に敬意を払い、円滑なコミュニケーションができる環境を作っていきます。

自分の意見を進化させる(全体)

そして、もう一度自分の意見を考え直してみます。「Yononaka」では、他者の意見を参考にして自分の考えを進化させることを推奨しております。他者の考えを積極的に取り入れることで、自分自身の意見や考え方を拡張し、深めることができます。正解や常識に縛られない、自分ならではの意見、自分ならではの考え方を身に付けていきます。

いろんな人と関わる(全体)

子どもから大人まで、誰もが共に学べるのもYononakaの特徴です。身近なモノがテーマなので、年齢を問いません。小学生から大人まで、さまざまな年齢や状況での意見が飛び交う時間になっています。
環境や立場が違えば、意見や考え方もさまざま。話を聞いているだけでも視野が広がり、話の引き出しも増えるでしょう。テーマによっては、社会で活躍している方を「ゲスト」に招くこともあり、現実の社会や仕事についての理解を深め、サービス提供者の目線から物事を考える習慣を身につけることもできます。

いろんな人の考えに触れ、いろんな視点で考えてみる。参加者同士の脳をつなげることで、新たな生き方のヒントを見つけるきっかけにもなります。

情報編集力とはなにか

「情報編集力」とは、正解が1つではない問題を解決するチカラ、のことです。文部科学省ではこれを「思考力・判断力・表現力」と表現することがありますし、経済産業省では「社会人基礎力」と呼んだり、経済界では「問題解決能力」と呼んだりしています。

学校では、計算の方法や漢字の書き方など、たくさんのことを覚えます。
それを思い出せるかどうか、記憶力を試すのがテスト。正解をたくさん記憶しておいて、問われた問いに対して速く正確に処理できるチカラが、学校の試験では求められます。このチカラを「情報処理力」といいます。

そして、その情報処理力を活かすのが、「情報編集力」です。身につけた知識・経験・技術を組み合わせて、人生を切り拓いていくチカラ。このチカラが社会に出ると求められてきます。

遊びで例えると、情報処理力は「ジグゾーパズル」をやるときのチカラで、情報編集力は「レゴ」をやるときのチカラです。
ジグゾーパスルは、1ピースに正解の場所がひとつだけ。いかに早くすべてのピースをはめていけるか、を楽しむと思います。
一方レゴは、ピースを組み合わせて思い通りに作り出すこと、を楽しむ遊びです。ブロックを組み合わせることで、宇宙船にも家にも動物にもなる。想像力しだいで何でも作ることができる、世界観自体をクリエイトする遊びだといえます。

このように、「情報編集力」はアタマを柔らかく使って、イメージを広げられるチカラと表現されることもあります。ゲームを作り出すゲームデザイナーや、世界観そのものを生み出すアニメ作家・監督たちは、まさにこの情報編集力を活かして、よのなかを楽しませてくれています。情報編集力についてもっと詳しく知りたい方はこの本を参考にしてください。

著者の藤原和博氏は、情報編集力を高めるために「5つのリテラシー(振る舞い)」を磨くことが重要だと言われています。

①コミュニケーション・リテラシー

コミュニケーション能力と聞くと、話し手としての能力、すなわち自分の意見をはっきりと述べることや、豊富な語彙で表現する能力を思い浮かべるかもしれません。しかし、それはひとつの側面に過ぎません。ここでいうコミュニケーションのプロセスは主に3つ。「言う」「聴く」「進化させる」です。

先ほども書きましたが、自分から話すことはとても大切ですが、会話は双方向のやり取りです。そのため「聴く」ことも同じくらい重要です。
そして相手の意見を踏まえて自分の考えを再考する。それをもとに自分の意見をさらに発展させることも、コミュニケーション能力の重要な側面です。ポケモンでいうとメガ進化ですね。他者のメッセージを受け入れ、それを参考にして自身の考えを進化させる柔軟性も大切だと思います。

②ロジカルシンキング・リテラシー

これは論理的思考とも呼ばれます。物事を合理的に、順序立てて考えるプロセスを指します。プログラミング思考とも関連がありますが、場面に限定されるわけではありません。日常生活や仕事の中で、誰しもが使っています。例えば料理をする際にも活用されます。料理のプロセスを考える際に、どのような材料が必要で、それらをどの順序で使うべきか、どのような手順で料理を完成させるかを考えることは、ロジカルシンキングの良い例です。

ロジカルシンキングは、物事を考えるときだけでなく、話をする際にも活かせます。何かを依頼する時や他者の協力を得るためには、自分の考えや意見を相手に納得してもらう必要があります。納得してもらうためには、まず相手にどのように話せば自分の意見が正確に伝わるかを慎重に分析することから始めます。その上で、得られた分析結果を基にして、話の構成を考え、情報を順序良く整理してから説明します。このように段階を踏んで考えることで、伝わりやすさも一段と変わってくるでしょう。それをするためにはひとつひとつ個々の事柄を注意深く観察することも大切だと思います。

③シミュレーション・リテラシー

シミュレーション、これが起こったら次はこれが起こるだろうなと勘を働かせることです。直感や推理、そして様々なシナリオを頭の中で描くことにより、未来の出来事を予測することです。

「風が吹くと桶屋が儲かる」という言葉をご存知でしょうか。一見無関係に見える事象が連鎖反応を起こして、予想外の結果につながるということを表すことわざです。
風が吹くと、埃が立つ
→その埃が目に入ると、失明する人が増える
→失明した人は、三味線で生計を立てることが多い
→三味線の胴を張るためには、猫の皮が必要になる
→猫が狩られるので、ネズミが増えて桶が齧られる
→その結果、桶の需要が増える
→需要が増えた分だけ桶屋が儲かる
これはまさにシミュレーション・リテラシーの良い例です。

ある出来事が起こった場合にそれに続く可能性のあるシナリオを予測し、それに基づいて行動を計画する。それはつまり科学力と言ってもいいかもしれません。
科学的なデータや理論を基にして、頭の中でモデルをつくって実験し、未来を予測する。頭の中でモデルをつくるのは「仮説を作り出す」とも言い換えられます。
仮説を立て、それが違ったら「なんでだろう?」と考え修正する。何度も試して修正する、試行錯誤の繰り返しがシミュレーションリテラシーを育みます。私たちが日々活動しているロボットプログラミングもそのひとつです。

④ロールプレイ・リテラシー

ロールプレイは、「役割(role)」と「演じる(play)」を組み合わせた言葉です。営業担当者などが実際の現場で適切に対応できるように、事前に疑似体験する「ロープレ」がそうですね。お客様の役割を演じてみることで、お客様の視点から営業のあり方を理解することができます。

すなわち、他者の立場に立って考えるということです。イメージを働かせて他者の視点を理解しようとすることともいえます。これは社会でどんな役割を果たすことになるにしても、欠かせません。商品やサービスを必要とする人がどんな生活をしていて、どんな考え方でどう振る舞うのか、それを頭でイメージしてロールプレイすることが必要です。営業職はまさにそうですね。お客様になって考え行動してみることで、お客様でも見えなかったニーズを拾うこともできるでしょう。

また、情報が溢れかえり、変化が激しい現代社会において、頭の中で情報を再構築する意味でもロールプレイリテラシーは重要ですね。SNSで世界がつながり多様な価値観が許容される中で、自分とは違う立場で考えること、異なる視点で物事を見ることは、人々と協働する基盤になるでしょう。

⑤プレゼンテーション・リテラシー

プレゼンと聞くと、これも話す技術と思われますが、それだけではありません。これは、自分の考えや気持ち、感性をさまざまな形で表現し、相手に伝わるようにする技術のことを指します。それは身体でも音楽でも絵でも、ツールは問いません。重要なのは、自分のメッセージが相手にしっかりと伝えることです。

伝え方という意味では、ロジカルシンキングとは異なる側面を持ちます。ロジカルシンキングが合理的に順序立てて伝えるのに対し、プレゼンテーション・リテラシーはより感情や気持ちで伝える技術と捉えられます。言葉だけではなく、身振り手振り、表情、声のトーンなど、全身を使って伝えたい思いを表現する。欧米の方をイメージすると分かりやすいですね。
また、アーティストやスポーツ選手が自分の感情や情熱を表現することもプレゼンテーション・リテラシーの一例と言えるでしょう。


以上の5つのリテラシーを包括して「情報編集力」と呼びます。
人々とのコミュニケーションで自分にない情報を取り入れ、シミュレーションとロールプレイングで自分なりに情報を咀嚼し、ロジカルに、あるいはパッシブなプレゼンテーションを通して情報を発信する。このように情報を「編集する」チカラがあれば、仕掛ける立場に回ることができるでしょう。仕掛けるとは、サービスを受けるのではなく、提供する立場。すなわち主体的に行動し、何かコトを起こすと言い換えてもいいです。

情報を柔軟に組み合わせ、その場その場で判断しながら自ら仕掛けていく

私たちは今、価値観が多様化、複雑化し、様々な考え方が混在する成熟社会にいます。SNSをはじめとするデジタルメディアは世界中の人々を瞬時に繋げ、膨大な量の情報が絶えず流れています。このような環境下では、何が正解かを判断するのが困難で、情報を受け取ってばかりじゃ生きづらい世の中だと感じます。
そこで重要となるのが、情報を編集するということ。情報を柔軟に組み合わせ、その場その場で判断しながら自ら仕掛けていくチカラ。いかに頭を柔らかくして思考を高めていくかが鍵になってくると思います。

そういった意味合いでYononakaを月1回開催しております。毎回授業の様子をレポートにまとめておりますので、よろしければご覧ください!
問いの内容や、それに対する参加者の意見、それを踏まえたファシリテーターの感想を事細かに記しております。まるでその時間を過ごせていたかのような熱量を感じていただけますと幸いです。

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