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ちょうちょがはこんでくれた旅~前編

先日6月7日に山形を日帰り旅行した。何のために行ったのか?私の意思とは別のところでコトが動いたふしがあり、また旅行そのものではなく、その周りで起こったことにもセレンディピティを感じ、今振り返ってみてもちょっと不思議な感じが残るので、それらについて綴ってみたいと思う。


ミナ ペルホネミンと私


このタイトルで5/11にアップしたnoteの記事からすべては始まった。この記事に対するコメント数は現在34。うち、私の返信が半分だとしても、ありがたいことに17のコメントをいただいていることになるが、もちろん私は人気ブロガーなどではない。コメントをくださった方4人全員が、英語の同時通訳者でコーチングもされ、Voicyのパーソナリティとしてご活躍の田中慶子さんのリスナー仲間なのだ。

ソーイング教室に通う九州在住の方が、「ミナ ペルホネンの展覧会が6月まで福岡で開催されているらしいので行こうと思います」と最初にコメントをくださったことを皮切りに、色んなテーマで話が盛り上がる中、私も福岡でのミナの展覧会に行きたいな、と漠然と思っていた。

するとちょうどその頃、5月末で期限切れするJALのマイルを使いきれないのだがどうしたものかと、夫が相談してきた。これだ!

「わたし、それを使わせてもらっていい?」

だがよく聞くと、普通に福岡を往復するほどのマイルはなく、4つの都市の組み合わせが複数ある中から好きなものを選んで申込み、行き先は後日決まるという、ミステリーチケット(注・やぐち命名)になるという。福岡に決まらなくても、私には全国に知り合いがいるのでそれなりに楽しんで来るわ、とハッタリをかまし、福岡・熊本・新潟・札幌のうちのいずれか、という組み合わせを選んで待つ。

このことをコメント欄に書き込むと、新潟在住の方から、「その日はお休みを取っておいた方がよいかしら?」と。福岡か新潟に決まるといいな、と願っていると…

翌日、キャンセルされたという案内が来たと夫が言う。すぐに調べてくれ、どうやら搭乗者本人である私がJALのメンバーに登録してないことが原因らしいとわかり、急ぎ手続きする。完了してから再チャレンジしようとするが、日にちが経ったことで同じ組み合わせが見つからず、熊本が山形に置き換わったものを選び申し込んだ。

そして後日…
『山形』に決まったという通知がきた。

山形かぁ…。未踏の地。行って何をしようかな。とりあえずちょっと地図を見てみる。すると、降り立つ空港の近くに『天童市』があるではないか。


バタフライスツール〜柳宗理✕天童木工

実はちょうど、この記事を読んで感銘を受けていたところだったのだ。

柳氏が「手遊び」で素材を切ったり折ったり曲げたりしているうちに、脚と座位が一体化したスツールのアイデアが生まれ、それを形にするために成形合板の技術に着目したところからの、天童木工との出逢い。

戦後まもない時代に、片道約10時間の道を自らジープを運転して東京から山形の天童木工に通い打ち合わせを繰り返したという柳氏は、自らのアイデアが正確に具現化されようとしていることにわくわくし、同じく技術者の乾氏と天童木工の職人たちも、これは未来につながる技術なのだと信じ、楽しんで試行錯誤を繰り返していたのだと想像すると、時代を超えて私の心もそのわくわくに揺さぶられたのだ。

調べると、現在は新型コロナウイルス感染拡大防止のため工場見学の受け入れを休止中だとのことだが、ショールームの見学はできるようだ。

するとまた前述のnoteの記事にコメントが入り、「ミナ ペルホネンの素敵な椅子を見つけたら、それが天童木工さんの物でした。つながっていますね。」とのこと。

こうして、山形旅行の目的をひとつ見つけた。


セレンディピティ~atelierkurtz(アトリエクルツ)との出逢い


行きは山形空港9:10着、帰りは18:05発。お昼から4時間ほど、知人と会うことになったので、あとは天童木工さんの見学と山形の特産品の購入とで、いい時間になりそうだ。

知人にお渡しする関西からのおみやげを考えていた時、おすすめを訊くのにかっこうの人物が頭に思い浮かんだ。早速尋ねるとすぐに返事があり、中には私が知らないものもある。自分もどんなものか興味があるし、うち一つを旅行直前の日曜日に神戸大丸へ買いに行った。

無事にお目当てのものを手に入れ、他のお店も少し物色してから大丸を出ようとすると、外を歩く人がみな傘をさしている。雨が降り出したようだ。せっかくのおみやげが雨に濡れるのは嫌なので、雨やどりがてら1階のフロアをぐるっとまわってみることにした。百貨店でモノを見るのは久しぶりだったので、見るものすべてが新鮮に映る。

ふと、通路の中州部分に目をやると、カラフルなカバンたちが集まっている。これはアカン…私の趣味ど真ん中やないかい!もう完全にロックオン状態。店員さんが着ているワンピースのテキスタイルもフォルムもその着こなしも、カバンたちと完全にマッチしている。ステキ…。

そのコーナーをぐるっと見渡すと、1つのカバンに目を奪われた。ふらふらと吸い寄せられるように近づき、手にとってみる。もう一人いた店員さんに声をかけられ、肩から掛けさせてもらい、そのカバンについての説明を受けると、また「良」の刻印が増えていく。もうアカン。中のポケットなどの収納部分を確認しつつ、値札も見る。おっと、お値段はあんまりかわいくないのね(^^;)

でも、出逢ってしまったのだ。私は完全に落とされた。

ワンピースの店員さんが、これらのカバンたちの生みの親・kurtzさんこと、わかばやしちさこさんで、世界中からテキスタイルを集めてデザインから縫製までのすべてをひとりで行なっていて、実店舗を持たず、オンラインショップにて販売するほか、ポップアップストアとして全国の百貨店などをまわっておられるとのこと。なるほど。お値段にも納得がいく。

kurtzさんとおしゃべりし、「集めたテキスタイルを使ってモノを作っていくなんて、そんなお仕事を私もしたい!」とやや興奮気味に伝えると、「重いし大変ですよ」と話されていた。

中学生の頃、ミシン部屋にこもって自分の服を作っていたわたし。家政科を専攻するべきだったのでは、と大学を卒業してかなり経ってから思ったこともあった。その後、その界隈に近づいたり離れたりしながら現在に至る。

お裁縫界隈をずっとうろつきながら、徐々に距離を縮めてにじり寄っていこうかな、とちょうど考えていたところだった。カバンだけでなく、kurtzさんやそのお仕事に触れられたこと。これは、最近知った言葉「セレンディピティ」だと思った。


…後編につづく


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