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夏がきたら浴衣|着物のめきき

今年は、古着の浴衣を新しく手に入れました。
今年は今年の浴衣があるようで。

その前に、

古着(中古・アンティーク)で注意しなければならないことはたくさんあります。ありすぎるので、新調した方がいろんな意味で楽です。

特に、長襦袢や浴衣は中古だと、私はかなり慎重になってしまいます。

それらは、とても肌に近いものであり、汗が染み込むものであり、生地の劣化が著しいからでしょうか。この感覚や印象は個人差が大きいので一概にはいえませんが。

長襦袢 = 上着の下もの
浴 衣 =入浴後に着用する夕涼み

そう考えると、母親のものであってもお古を着るかな? 私は「いやぁ…」となるところ。


なのに。
古着の浴衣を手に入れようとしたのは単純に一目惚れしたから。それだけの力を持っていました。すぐに軽く調べて「逸品」だと確信。証拠も証紙もありません。もう、泥沼になっている「布フェチ」センサーが過剰反応してるだけ。抑えきれませんでした。

古着の価格は、買い入れて販売する人がつけるので、逸品も量販品も知らなければ同じです。時々、驚くほどの値段が良くも悪くもついているのは、仕方がないこと。生産者の方が見たらいずれにしてもがっかりするものでしょうか。上手く関わろうとするなら古着の買い物は新品以上に難しいと思ってしまいます。つまり失敗してもいい価格なんてない気がします。

それで、私はというと一目惚れな上に人知れず「逸品」タイプを見つけたと小躍りしたことで、所有欲がマシマシに。「節約生活」をスタートさせたばかりでも、我慢ができなくなり、購入を決断。ここは、販売を含め着物を体験してきた長い時間と大量に品物を見てきた功罪。偏っているかもしれないけれど、目利きができる方だという過信もあり、手が出るのです。

その浴衣は、手に触れてじっくり観察すると、とても細い糸で織られた布で繊細でした。綿紅梅よりも薄く感じます。細い糸の綿といえば、光沢があればスピーマコットンとかをイメージしてもらうとわかるように、いずれも高価な綿です。よくみる浴衣の生地は、綿なら、もっと太い糸で織られたものが多いと思います。私が、何も知らない時に購入した初めての浴衣は厚めの綿生地でした。おそらく綿コーマ。これは平織で、太い糸で織られた丈夫な綿で、ゴワッとして着ていても少し暑い。麻の夏着物もそうですが、細い糸で織られた布は「これが麻なの?」と思うほど薄くしなやかで軽い。もちろん涼しいです。


今回の浴衣は、古着なだけに自分のサイズにピッタリあっていなくて、細身。えっと、私の方が太いって意味です。なので、せめてもの罪滅ぼしに、自分のサイズに直すのはプロ(悉皆屋)に出さず、自分でやるという前提で購入しました。

このちょっとしたお直しというのが、面倒なものです。浴衣なんて、ちょっと袖が短くても我慢してしまえば、あっという間に夏は終わりますからね。ただ、身幅のサイズオーバーを恥ずかしいと私は感じてしまいます。「デブ線が出ている」と言われたこともあって、恥ずかしいのです。

ところが、この浴衣を素肌に羽織ってみると、今回は誤魔化して着られなくはないのがわかりました。というのも身幅がサイズ的には合わない着物なのですが、柄合わせが秀逸で、違和感がないのです。良い着物は上手な人が縫っているという例でしょうか。たかが浴衣ですけれど、大柄のデザインを流れるように柄合わせをしていて、見せたい柄を見栄えの良い場所へ配置しているのが素人目にも素晴らしい具合。

いつだったか着物の柄合わせは「センス」が問われると聞きました。つまり、縫う技術の高い職人さんでも不得意な人はできない種類の技

恐らくですが、
浴衣のような小紋で、柄合わせが難しい柄とは、

・大きい柄
・流動的な柄
・地空きの広い柄

ではないでしょうか。

だから、この浴衣の場合、私のような真性素人が仕立て直しをし、サイズがあうようになったところで、柄合わせの方が狂ってしまいまいか。全体的に調和が崩れて見苦しくなってしまいかねないのです。こういう判断を、着物の仕立てをよく知っている人はさらっと一瞬ですることでしょう。また、着物の奥の深さを感じ入ってしまい、自ずと手が止まるのでした。購入失敗か? いえ、後悔はありません。

ということで、


柳腰になります。


もうこれしかありません。


整体へ通うようになって数ヶ月経ちます。
先生が「1年後には、ここのお肉がこうなるね」(お肉!)といった、そのラインは腰からまっすぐ伸びる足を示していました。お陰で、だいぶむくみが減ってきました。足の付け根のつけ位置も変わりました。かつて着物の先生に「ソフトボール部?」「いえ、剣道部でした」というやりとりがあったほど「柳腰」は絶望的だったのですが、このまま順調ならそれなりにイケる気がしています。

ちなみに古くから言われている着物映えする体型とは、確か、

撫で肩
柳腰
華奢または小柄
のびた襟足
色白

あたり(独断含む)でしょうか。

あなたは?と聞かれると、どれもこれも半端に外れているとしか言いようがありませんが「着物が似合わない」とだけは言われたことがありません。全体的にだいたい良ければ、いいのかな。

海外の男性オリンピック選手に、ときどき「あなたは着物が似合いまーす」という人がいらっしゃいます。私の得意技は、冷蔵庫にあるもので料理をするように、そこにあるもので一瞬にして着物のトータルコーディネイトができることなのですが、お店に同伴して差し上げたいです。お役に立てると思います。

着物映えしなくても、オリンピック選手は立ってるだけで美しいのですから、何でも極めればそれだけで充分なのですが、特に何も極めてもいない場合は…少しでも理想に近づけますよう整えたいものです。



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