ANGERSWING#40
稽古が始まって、台本読みに入る前に雑談の時間がある。
演出の柳本さんがあるお題を出して、それに関する話を出演者の中で交わしていくという時間。
ある時のテーマで「好きなもの」みたいな感じだった気がするけど、その時にわたしは【地下鉄空間に滲み出ている地下水】の話をした。
古めの地下鉄ホームでぼーっとしていると水の音が聞こえてくることがある。
線路の向こう側の壁とかをみると水のミネラル成分なのか分からないけど、銅色になった壁を滴る地下水を見つけることが出来たりする。
綺麗な水だとはまあ思わないけど、でも地下水と聞いた時になんとなく飲める可能性を感じてしまって、でももちろん飲もうとは思わないし、触りたくもないのだけど、でもでも綺麗な水の可能性を捨てきれない感じがたまらない。
昨日、上野駅の地下で水が流れ続ける浅い側溝を見つけた。雨が降っていないのに水が流れ続けている。しかも側溝には綺麗な苔が生えている。地方の清流とか綺麗な水路にしか生えないような色鮮やかな苔。
実際のところ、その水がどこから流れてきているのかは分からないけど、どうしても地下水の可能性を感じてしまう。
やっぱり地下水はそこら辺の川を越える圧倒的な清潔さがあるのではないか。
東京23区内の川では感じることのできない清い流れ。
清い流れのそばには良い空気も一緒に流れているような気がしてならない。
でも浅く狭い側溝を流れているし、繁華街も近い上野なので、清い空気の流れはせいぜい側溝から5cmほどのところにしか存在していない気はする。
地方に行って嬉しい気持ちにさせられるのは、水路を流れる綺麗な水だったり、その中でそよぐ美しい水草だったり、そこを泳ぐ小さな魚だったりする。
そういう光景って本当にずっと見ていられる。心が浄化される感じがする。
東京にいて、それに近い感覚を手に入れるために僕は地下鉄空間から滲み出る地下水に可能性を見出そうとしているのかもしれない。
規模が大きくなればなるほど、清い流れを維持するのは難しくて、だから東京ではせいぜい幅10cm程度の浅く狭い側溝でしか清さを維持できないのかもしれない。
規模の小ささを揶揄されることもあるだろう。
でも僕はだからこその美しさと儚さを感じているし、規模の大きさでしか物事を語れないことはとても寂しいことだなと思う。
清さは人の心に響く。そう信じて、わたしは流れていこうと思うヨ。
<日本劇団協議会主催>
日本の演劇人を育てるプロジェクト
新進劇団育成公演
劇団Q+
『ANGERSWING /
アンガーズウイング・アンガースウィング』
ー家族の庭、その香りは秘密をささやくー
脚本=弓月玲 原案・演出=柳本順也
◎日程
2024年7月3日(水)〜 7月7日(日)
【公演スケジュール】
7/3(水)W 19時~
7/4(木)S 19時~
7/5(金)W 14時~/S 19時~
7/6(土)S 13時~/W 18時~
7/7(日)W 12時30分~/S 16時30分~
【チケット】
前売一般 = 4,500円
当日一般 = 5,000円
U22= 3,000円
◎劇場
下北沢 駅前劇場
⋱チケット発売⋰
2024 年 5月 1日(水)予約受付開始!
●ご予約URL
https://act-pit.com/events/view/?eid=0kDlB28a
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