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ANGERSWING#16

声の大きい子供が多いなと思う。
先生なのか、保護者なのか、引率している大人に対して大きな声で主張し続ける子供たち。
もちろんその中には一言も発さず、その輪に興味を示していない子供もいたのかもしれないが、ぱっと見の印象だと声の大きい子供が多いなという風になる。

声の大きな子供を見ていて、そんなに頑張って主張しなくてもいいのにと思った。
そんなに頑張らなくても大人は話を聞いてくれる、とまで書いたけど、聞いてくれない大人の方が多いのかもしれない。だから子供はあんなに頑張って主張し続けているのかもしれない。

相手にされるために、大人を振り向かせるために、その手段が大きな声で話し続けるということなのか。

でもその様子を見ていて、子供たちは誰かの話を聞くという体勢には全くもって入ってない感じがした。
人の話が聞けていないという状態。ひたすらに自分自分という立ち位置になっている。

一体いつの段階から「人の話を聞く」ということをし始めるのだろう。

わたしは恐らく声の大きな子供だったと思う。人の話を聞く体勢に入ることもないし、ひたすら自分のことを主張し続けていた気がする。

新国の研修所で【YES AND】という概念を与えてもらうまで、ひたすらに自己主張をしていた気がする。
大人になるにしたがって声の大きさは抑えられていったけど、それは外面だけの話で、内側ではひたすらに自分のことを考えていた。

とある演出家のシーンスタディの時にダメ出し中にひたすら自分の役のことばかり考えていて、他の人のダメ出し中にもずっと内にこもっていたら「お前のことだよ!」と怒鳴られたことがあった。

なので25歳くらいまでは人の話を聞けていなかった気がする。
今だってどうかは分からないけど、自分の意思としては人の話をちゃんと聞きたい。その中から何かを導き出したい。
1人で考えることは1人の時間で考えればいい。

選挙演説をしている政治家って、とても大きな声で、人を振り向かせるために主張し続けているけど、その最中って人の話を聞くという体勢には入れてないよね。
何か反対意見が飛んできた時に排除してしまう人もいたりするし。

まあこれは別の話か。

大きな声で主張し続けても多分大人は振り向かない。
だから子供の主張はどんどんエスカレートして、ヒートアップして、周りの子供達と共鳴するように声が大きくなっていく。そして周囲の状況がどんどん見えなくなっていく。

この話はそういう子供を見たというところから立ち上げたけど、大人でも追い込まれたらそうなっていくのかもしれない。
でも俳優としては周囲の状況が見え続ける必要があるし、人の話を聞くという前提がなければ対話にならない。

子供のようにただヒートアップしていくだけの展開を見ていてもあんまり面白いとも思えないし。
シンプルに人間観察的に子供たちと引率している大人のやり取りを見ているのは面白かったけど。

早く台本を使っても、使わなくても、やり取りをさ、したいんだヨ。

<日本劇団協議会主催>
日本の演劇人を育てるプロジェクト
新進劇団育成公演

劇団Q+
『ANGERSWING /
アンガーズウイング・アンガースウィング』
ー家族の庭、その香りは秘密をささやくー

脚本=弓月玲 原案・演出=柳本順也

◎日程
2024年7月3日(水)〜 7月7日(日)

◎劇場
下北沢 駅前劇場

⋱チケット発売⋰
2024 年 5月 1日(水)開始

https://www.gekidan-q.com/

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