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また逢う日まで

父の呼吸が止まった、と聞いたのは晴れた日の暖かい朝だった。
仕事を休む連絡をし、急がなくて良いから、という母の言葉が頭に流れる中準備を進めた。
3時間後くらいには地元に着き、忙しなく動く兄と母の姿に状況を察した。
父が死んだのだ。

それでも死亡診断を受けるまでには時間がかかり、正式な判定が下ったのはその2、3時間後だった。施設に行き父の顔を見た。2週間前に帰った時と同じ、黄疸で黄色くなった穏やかな寝顔。

闘病中に鬱を患うようなことはあっても、終末期には取り乱すこともなく穏やかに過ごしたという。そう聞いて不思議と私は誇らしく感じていた。

火葬場の空きが無いという理由で亡くなった6日後に教会で葬儀が行われた。
想定していたよりも沢山の方々が参列してくださり、家族一同で驚いた。愛され、愛した人だったのだなぁ。
祈りと賛美をささげながら、私はそこにある確かな喜びを感じていた。
父はひと足早く、天国への階段を登っていくようである。

私は、その時まで生きよう、と胸に決めた。

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