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たとえ蝶の羽が落ちても

注意:この記事には東日本大震災の描写が含まれています。


2011年3月11日14時46分。
学校が休みの期間に入っていたので、金曜日で平日だったけど家に母と二人でいた。
確かデザートとして甘いものを食べていたその後のことだっただろうか。

突然、大きな揺れが襲った。
反射的にテーブルの下に潜る。
言葉にならない恐怖。
家具が飛び、本棚が倒れ、食器がぶつかり合う大きな音。
とにかくすべての物たちが動いて音を鳴らす。
今まで経験したことのない揺れに、この世の終わりを思った。
そのうち口から叫びとなって出てきた言葉。

神様のなさる通りになりますように。

助けてくださいとか、守ってください、という言葉は不思議と口にしなかった。
悲痛な祈りが涙と共に溢れ出た。


本震のあとすぐに停電し、水道・ガスなどライフラインが全て止まる。
テレビもつかないので外の現状がわからない。
そのあと何回あったか分からないほど続く余震。
夜中に明かりのつかない部屋で体験する地震は恐ろしかった。
僅かに充電が残るノートパソコンで、ゲームをして気を紛らわせた。

金曜日に地震が起こり、ライフラインが復旧したのは月曜日のことだ。
元通りの生活に戻りつつあっても、心で受けた傷はなかなか癒えなかった。
急に十歳ほど幼くなってしまったような、脆い精神状態。
ひとりでは何にもできなくなってしまったようだった。

あの日のことを思い出すことは今でも容易い。
これからも決して忘れないだろう。
一年前に書いた曲が、震災後10年という節目の年に生まれたことで何らかの縁を感じる曲となった。

I fall all over again
木の葉の戯れを受け止めて
今 そっと土に還る
再び生まれくる朝を待ちながら

(「Butterfly Wings」より)

失われた多くの命に哀悼の意を捧げる。
すべては巡りゆくもの。
血は違えど世界は再び朝を迎えるのだ。

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